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NASDAQ100 3倍ブルの運用コストと評価

大和アセットマネジメントはiFreeシリーズでレバレッジ型ファンドに力を入れています。そして別系統の商品でもレバレッジ型ファンドを多数設定しています。その棲み分けの基準は想像するしかないのですが、iFreeシリーズは信託期間を無期限としているようです。別系統の商品はそうでもないです。

NASDAQ100 3倍ブルはiFreeレバレッジNASDAQ100の姉妹品と言えそうな商品ですが、腹違いの姉妹かと思うほど異質です。

更新情報

参照しているデータを最新版に更新しています。

NASDAQ100 3倍ブル

2020年10月23日に税抜き信託報酬1.4125%で設定されました。高いですね。iFreeレバレッジNASDAQ100(2倍ブル型)が0.9%なので、レバレッジの倍率相応という見方もできますが、それでも高いと思います。

  • 目論見書には連動債券と株価指数先物取引を組み合わせて運用するとありますが、運用報告書によると資産の全額を連動債券に投じています。この連動債券がNASDAQ100指数の日々の値動きの3倍を目指します。
  • 円で為替ヘッジされます。
  • (予定では3年延長しますがそれでも)信託期間がたったの6年しかなく、2026年10月に償還されます。(延長は予定で、2022年7月に決定されます。)
  • 入時手数料税抜き3.0%が設定可能で、証券会社を選ばないとしれっと徴収されます。
  • 5大ネット証券を含む10社で販売されています。(意外なことに大和証券では扱いがありません。)

もちろん、つみたてNISA適格ではありません。

レバレッジをかける仕組み

次はiFreeレバレッジNASDAQ100の組成内容です。

iFreeレバレッジNASDAQ100の組成内容

引用:iFreeレバレッジNASDAQ100の目論見書

iFreeレバレッジNASDAQ100は、E-mini NASDAQ100種株価指数先物取引(図の右上)を利用することで2倍のレバレッジをかけています。

次はNASDAQ100 3倍ブルの組成内容です。

NASDAQ100 3倍ブルの組成内容

引用:NASDAQ100 3倍ブルの目論見書

NASDAQ100 3倍ブルは図の右上にある「連動債券」しか売買しておらず、この連動債券が3倍のレバレッジをかけています。連動債券そのものを運用しているのはボルト・インベストメンツ・ピーエルシーで、その経費率は0.3%です。

iFreeレバレッジNASDAQ100は大和アセットマネジメントが(先物取引を利用して)2倍のレバレッジを為替ヘッジ付きで行うのに対し、NASDAQ100 3倍ブルはそういうめんどうなことをしてもらった債券を売買しているだけのようなものです。

運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。iFreeレバレッジNASDAQ100と比較しています。

運用報告書から計算したトータルコスト表

NASDAQ100 3倍ブルの隠れコストは極小ですが、これは債券を売買するだけだからと言えます。パフォーマンス債券の経費率を含む信託報酬が支配的ですが、トータルコストは1.5%を超えます。

この高コストなNASDAQ100 3倍ブルは、受益者の期待に応えることができているでしょうか。

TQQQ

NASDAQ100でブル型と言えばTQQQ(ProShares社のETF)が超有名です。これは3倍です。日本の証券会社では買えません。

次はTQQQのトータルリターンと、レバレッジのかかっていないQQQのトータルリターンの比較(円換算後)です。TQQQの設定直後を避けた2010年3月1日から2021年12月30日までです。縦軸は対数です。

TQQQのトータルリターンと、レバレッジのかかっていないQQQのトータルリターンの比較グラフ

赤のラインがTQQQ、緑のラインがQQQです。2012年以降はTQQQの圧勝です。でも比較期間を変更すると印象は大きく変わります。3倍のレバレッジは魔法でもマジックでもありません。

TQQQトータルリターンとNASDAQ100 3倍ブルのリターン比較

ではTQQQトータルリターン(ドルのまま)と、NASDAQ100 3倍ブルを比較します。NASDAQ100 3倍ブルの設定日直後を避けた2020年11月5日から2022年5月31日までです。NASDAQ100 3倍ブルは為替ヘッジありなので、円換算していないTQQQトータルリターンと比較しています。

TQQQトータルリターンとNASDAQ100 3倍ブルのリターン比較グラフ

赤のラインがTQQQ、緑のラインがNASDAQ100 3倍ブルです。青のラインはリターン差で、TQQQトータルリターン(ドルのまま)ーNASDAQ100 3倍ブルです。

青のラインの傾きは、TQQQとNASDAQ100 3倍ブルのトータルコスト差を示しています。TQQQの経費率は0.95%です。NASDAQ100 3倍ブルはそれより高いです。トータルコスト差は年率2%ポイント以上ありました。

次は2022年年初からの比較です。

TQQQトータルリターンとNASDAQ100 3倍ブルのリターン比較グラフ、2022年から

青のラインはフラットなので、直近ではNASDAQ100 3倍ブルのトータルコストは改善傾向だ推測できます。

iFreeレバレッジNASDAQ100との比較

次は2倍ブル型であるiFreeレバレッジNASDAQ100とNASDAQ100 3倍ブルの比較です。NASDAQ100 3倍ブルの設定日直後を避けた2020年11月5日から2022年6月17日までです。

iFreeレバレッジNASDAQ100とNASDAQ100 3倍ブルのリターン比較グラフ

強気相場では青のラインが示すリターン差が広がりますが、弱気相場での下落が激しく、ボックス相場では伸びません。この比較期間だとどちらも残念な結果なんですが、NASDAQ100 3倍ブルのリスクの高さが目立ちます。

NASDAQ100 3倍ブルの運用コストの高さに納得できるかどうかは、受益者次第ですね。

為替ヘッジの効果

NASDAQ100 3倍ブルは円で為替ヘッジされます。それを好ましく思うかどうかは受益者によって異なると思いますが、その(コストの必要な)為替ヘッジはどれぐらい効いているのでしょうか。

次はQQQトータルリターンの日々の値動きをドルのままで3倍にしたものと、NASDAQ100 3倍ブルの比較です。

QQQトータルリターンの日々の値動きをドルのままで3倍にしたものと、NASDAQ100 3倍ブルの比較グラフ

青のラインはQQQトータルリターン(3倍ブル型、ドルのまま)ーNASDAQ100 3倍ブルです。青のラインの傾きは運用コスト差を示しますが、その様子から為替ヘッジは効いていると考えられます。

売れ行きは

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は53億円です。

NASDAQ100 3倍ブルの設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

高コストで信託期間が短いにも関わらず、そこそこ売れています。次はiFreeレバレッジNASDAQ100もプロットしたものです。

iFreeレバレッジNASDAQ100もプロットしたグラフ

緑のラインがiFreeレバレッジNASDAQ100です。この比較は不適切な気がしますね。

評価:リスクの高さを理解できる人向きの商品です

NASDAQ100指数に3倍のレバレッジをかけたいけどTQQQは日本の証券会社では買えないし、iFreeレバレッジNASDAQ100では物足りないし、という人には高コストですが購買意欲を刺激される商品でしょう。

でも信託期間が(延長されても)たった6年しかなく、2026年10月に償還されます。償還前にNASDAQ100指数が暴落して評価損で終わる可能性も十分あります。この、ガチホしていればいずれ回復するという望みを持てないリスクを理解せずに買ってはいけません。

3倍ブル型商品に投資したいけど、米国籍ETFより手軽に投資できる投資信託を好む人にとって、NASDAQ100 3倍ブルは良い選択肢になり得ます。高コストですが、強気相場では圧倒的なパフォーマンスを発揮します。でも弱気相場では高コストかつレバレッジによりダメージが大きくなります。

もちろん、信託期間がさらに延長される可能性もありますが(人気が高ければなおさら)、それを前提とするのは危ないでしょう。

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