一般人ならVTIより楽天全米株式を買う方が有利です。VTIやVTなどの海外ETFを熱心に勧めるETFマニアの甘言に乗ると、将来きっと後悔します。良質なインデックスファンドという選択肢があったことを知らないまま、人生を終える可能性もありますが。
読者の方から質問を頂きました。VTIの代わりにSPTMではどうですか?というものです。調べてみました。
SPTMは良くVTIと比較される超ローコストETF
SPDRポートフォリオ米国トータル・ストック・マーケットETFは、良くVTIと比較される超ローコストETFです。ベンチマークは2017年11月16日より前はRussel 3000指数、2017年11月16日以降はSSGAトータル・ストック・マーケット指数です。
経費率はVTIと同じ0.03%です。組み込み銘柄数はVTIの3,624に対しSPTMは2,626と、VTIの方が1,000銘柄も多いです。
リターン比較方法
次の条件でリターンを比較します。
- 国内の特定口座での比較です。
- 楽天全米株式またはSPTMを購入する月額予算を5万円とします。
- 楽天全米株式は設定日直後に恥ずかしいことが起きているのでそれを外して2017年11月から毎月初に積み立てします。
- 円をドルに転換する為替手数料は4銭とします。SBIネット銀行+SBI証券でしか4銭にはできないと思います。
- 購入時手数料は購入代金の0.45%で最低0セント、最高20ドルとします。
- 毎月の購入予算5万円ぴったりにはETFを買えませんが、端数は翌月に回しません。
- SPTMの保有株数に応じてもらえる配当金に10%の米国課税を適用、さらに20.315%の国内課税を適用します。
- 配当金を再投資する場合だけで比較しますが、配当金の再投資は毎月初の積み立て時にまとめてSPTMを購入することで行います。
- 楽天全米株式の積み立て金額は、SPTMと比較するため、SPTMの購入にかかった費用(=購入代金+為替手数料+購入時手数料)とします。これ以上公平な比較方法はないでしょう。
- 外国税額控除は無視します。
なお、説明の都合上SPTMも楽天全米株式も楽天証券で購入するものとし、過去の購入に対しても上記ルールを適用します。
VTI、VOO、SPTMのトータルリターン比較
次はVTI、VOO、SPTMのトータルリターンの比較です。2011年年初から2019年10月31日までです。
利益率は265.3%から266.0%でした。切り出す期間で変わりますが、この比較期間では大差ありませんでした。VTIとSPTMのどちらが良いかは、VOO(S&P500種指数に連動)とVTIのどちらが良いかという議論と同じだと思っていいでしょう。
VTIと楽天全米株式のリターン比較
最初におさらいです。次のグラフの青のラインは、VTIを自分で買った場合の評価額と、楽天全米株式の評価額の差を示しています。
青のラインはプラス圏内を推移しています。楽天全米株式の方が有利です。
SPTMと楽天全米株式のリターン比較
SPTMと楽天全米株式は無関係なので、青のラインは暴れます。でも傾向として青のラインはプラス圏内を推移しています。SPTMより楽天全米株式の方が有利です。
年に1回100万円の投資なら
次は年に1回100万円を投資する場合です。
1回に100万円だと取引手数料の上限が20ドルであるため負担率が減ります。そのため青のラインは0.25%あたりからスタートしています。この比較期間だと2019年は評価額に差がありません。これを見てどちらが有利と判断するかは皆さんにおまかせします。
まとめ:一般人ならSPTMより楽天全米株式が良いです
そもそもSPTMと楽天全米株式には直接の関係がないので、何を比較しているのかに注意を払わないと誤った印象を持ってしまいます。仕組み上、海外ETFが良質なインデックスファンドに比べて不利なことは変わりません。
よってVTIとSPTMの違いがどう影響するかという話になります。ベンチマークが違いますし、取引価格が違うので買いやすさ、配当金の再投資のしやすさも違います。が、一般人にとって海外ETFへの投資は賢明な選択肢ではないので、たとえSPTMがVTIより魅力的に見えても、楽天全米株式が良いというのが僕の考えです。主義主張ともポジショントークとも言います。判断を下すのはみなさん自身です。