インデックス投資

暴落時に積立投資をやめると損してしまいます

米国株式は2019年11月頃から、気持ち悪いぐらいの強気相場が続いていました。いくらなんでもこれはバブルじゃないの?と思う人もいた中、2020年2月21日から急落し始めました。

次はスリム先進国株式の、2019年11月から2020年3月6日までの、基準価額の推移です。

スリム先進国株式の、2019年11月から2020年3月6日までの、基準価額の推移グラフ

変動しながらも右肩上がりで推移して来ましたが、突然失速します。直近では過去に経験のない乱高下を繰り返しました。そうするとメディアが騒ぐので、普段株価に関心のない投資家の耳にもそういう(ノイズになりかねない)情報が入ってしまいます。

まだこの程度の下落は「暴落」と呼べるほどではないものの、ではどれだけ下落したら暴落と呼べるかについての明確な定義はありません。どこまで下がるかも分かりませんし、いつ回復に向かうのかも分かりません。そのため、暴落に不慣れな投資家の中には、大きくなった含み損に不安を感じている人もいることでしょう。

でも次の2つはやめましょう。

  • 含み損の大きさに恐怖を感じて売却する。(俗に言う「狼狽売り」)
  • 積立設定を解除してしまう。

なぜなら、この2つは損する結果につながる可能性が高いからです。(絶対と言えないのは、対象がリスク資産だからです。)

楽観的な未来予測

現在の株価下落は、中国発の深刻な問題によるところが大きいと思われます。この問題がいつ終息し、株価がいつ回復に向かうかは、誰も正確に予測できません。これまでのところ、大した影響はないとしていたアナリストの予測がことごとく外れたと、分かっているに過ぎません。

次は予知能力がない僕の未来予測を含む、スリム先進国株式の基準価額の推移です。

未来予測を含む、スリム先進国株式の基準価額の推移グラフ

黄色に塗ってある部分が未来予測です。気温が上がる夏には問題が終息して、株価も急速に回復するというシナリオです。

次は最高値からの下落率をプロットしたものです。

最高値からの下落率をプロットしたグラフ

最大下落率は22%程度なので、暴落と言うほどではなく、調整程度です。この記事ではあえて、この楽観的な予測をもとに話を進めます。また、調整程度の下落ですが、これを暴落と表現します。

積立投資を継続した場合

2019年年初から、スリム先進国株式に積立投資をしているAさんに登場して頂きます。Aさんは特定口座で毎月初5万円を積み立てています。

3月に始まった暴落は気になりましたが、積立設定を解除せず、そのままにしておきました。次はその積立シミュレーション結果です。

積立投資を継続した場合のシミュレーション結果のグラフ

青の丸で囲ったところは含み損になっていますが、気にしないことです。年末の評価額は、利益率14.4%でした。

積立投資を休止した場合

同じ条件で積立投資していたBさんは、株価の急落にビビってしまい、2020年3月から積立設定を解除してしまいました。そして、株価が回復しても積立設定を復活させませんでした。積立設定を一度解除すると、復活させるには心理的抵抗もあり、そうなってしまうのも無理はありません。

積立投資を休止した場合のシミュレーション結果のグラフ

年末の評価額は、利益率14.6%でした。Aさんより多いです。が、Aさんの投資元本が120円なのに対し、Bさんの投資元本は70万円しかありません。投資家は利益率を誰かと競っているわけではなく、インデックス投資の目的は資産形成なので、リスク資産の評価額を増やしたいわけです。そのためには(無理のない範囲で)投資元本を大きくすることが必要です。

積立投資を休止し後再開した場合

ではBさんが、株価の回復傾向が明らかになった10月から積立投資を堺したらどうなっていたでしょうか。

積立投資を休止後再開した場合のシミュレーション結果のグラフ

投資元本は15万円増えましたが、利益率は13.2%に下がってしまいました。積立投資を継続した方が、利益率が高く、評価額も大きくなったのです。

それは、株価暴落時(基準価額が大きく下がっている時)は、より安く買えるから(平均取得価額を下げられるから)です。つまり、暴落時に積立投資を休止するのは極めて非合理と言えます。せっかく安く買えるチャンスなのです。そして安く買えたことで、基準価額が上昇した時に大きなリターンを得ることができるのです。

暴落を乗り越えてきました

次はMSCIコクサイをベンチマークにしている、日興インデックスファンド海外株式の2001年10月からの、基準価額の推移です。

日興インデックスファンド海外株式の2001年10月からの、基準価額の推移グラフ

青の丸で囲ったところがリーマンショック、黄色の丸で囲ったところがチャイナ・ショックです。リーマンショックの後はしばらく低迷が続きますが、その後素晴らしい成長を遂げます。チャイナ・ショックは、今から見れば大したことはありませんでした。

含み益がマイナスになったから、先行きに不安を感じて、もっと損失が増えるのではないか、そのように考えて売却してしまったら、そこで損失が確定してしまいます。確約はできませんが、待っていれば株価は回復する可能性が高いです。過去もそうでした。だからそれを信じて買い持ちを続けることです。

また、積立設定を解除すると、せっかく安く買えるチャンスを逃してしまいます。

安く買えるの意味

次は僕が特定口座で買っているスリム先進国株式の要約です。楽天証券です。

特定口座で買っているスリム先進国株式の要約

現在の評価額は、保有口数✕基準価額で決まります。積立投資、スポット購入でスリム先進国株式を買う時に、基準価額が下がっていれば、より多くの口数を買うことができます。これが「安く買える」の意味です。

一方、利益率は平均取得価額と基準価額の比率で決まります。基準価額が下がっている時に買うと、より多くの口数を買うことができ、平均取得価額が下がります。

気絶するのもアリ

「ほったからし投資」というセールストークがありますが、僕はこの表現が嫌いです。なぜなら、リスク資産に投資している状態で情報収集を怠ると、機会損失をする可能性が高いからです。

  • 少額非課税制度などの有利な制度の誕生も知らなければ、活用もできません。
  • 楽天カード決済で積立投資するとポイントが付与されるような、革新的なサービスの登場も知らなければ、恩恵にあずかれせん。
  • 同じベンチマークに連動する商品でよりローコストな商品が登場も知らなければ、新規投資をそちらに変更することもできません。

が、暴落時に不安になって買い持ち、積立投資の継続ができるかどうか心配なら、株価が回復するまで気絶するのもアリです。同じ境遇のインデックス投資家はたくさんいるはずです。そして、暴落を乗り越えられた人だけが、将来大きなリターンを手にできるのです。

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