ツイッターにNISAのロールオーバーの話題がありました。その中に、ロールオーバーのメリットが分からないからロールオーバーしないで課税口座に移し、新たにNISAで買うというツイートがありました。
ここで問題です。次の2つはどう違うでしょうか。5年後の税引き後利益を考えて下さい。投資対象商品はニッセイ外国株式で、5年後の基準価額は現在より高いものとします。
- 5年前に120万円投資したNISAをロールオーバーし、さらに特定口座で120万円買い付ける。
- 5年前に120万円投資したNISAはロールオーバーしないで特定口座へ移動、新たにNISA口座で120万円買い付ける。
直感的に前者(ロールオーバーする)の方が有利な気がする人、多いと思います。でもどれぐらいの差が生まれるのか、そのイメージをつかめる方は少ない気がします。え、僕ですか?もちろん無理です。なのでプログラムを書いてシミュレーションしました。
比較方法
次の2つの投資方法における、税引き後評価額をグラフにプロットします。
- 5年前に120万円投資したNISAをロールオーバーし、さらに特定口座で120万円買い付けます。
- 5年前に120万円投資したNISAはロールオーバーしないで特定口座へ移管します。新たにNISA口座で120万円買い付けます。
税引き後評価額の計算方法です。
- 口座に関わらず一括投資します。つまり5年前の年初と、そこから5年後の年初に120万円ずつ買い付けます。投資元本はどちらも240万円です。
- 投資対象の基準価額は期待リターンを決めて数学的に生成したものを使います。
- 比較期間は便宜上2020年1月から2029年12月末までの10年間とします。
- 特定口座では利益に20.315%の譲渡税がかかるものとします。
比較結果
グラフの見方
赤のラインがロールオーバーあり、緑のラインがロールオーバーなしの税引き後評価額の推移です。赤の矢印の位置で元本を120万円追加しているので、評価額が跳ね上がっています。なおこのグラフだと、赤のラインと緑のラインは後半もほぼ重なってしまっています。
青のラインは税引き後評価額の差です。差が生まれるのは後半の5年間です。投資期間10年の最終日の税引き後評価額の差は20,253円です。
期待リターン年率4%
次は控えめに期待リターンを年率4%とした場合です。
12,304円の差が生まれました。利益率の差は0.51%ポイントです。
期待リターン年率5%
次は普通に期待リターンを年率5%とした場合です。
20,253円の差が生まれました。利益率の差は0.85%ポイントです。
期待リターン年率6%
次は強気に期待リターンを年率6%とした場合です。
30,712円の差が生まれました。利益率の差は1.28%ポイントです。
期待リターン年率7%
次は取らぬ狸の皮算用で期待リターンを年率7%とした場合です。
44,085円の差が生まれました。利益率の差は1.84%ポイントです。
ロールオーバーのメリット
NISAのロールオーバーのメリットは、非課税期間の延長(5年間)です。基準価額の上昇が期待できるなら、ロールオーバーしないで課税口座に移管された場合より税金面で有利です。
同じ投資元本で、投入タイミングが同じでも、ロールオーバーするのとしないのとでは、税引き後評価額に差が生まれました。その差は、期待リターンに比例して(複利効果が作用し)大きくなります。その差をどう評価するかは、みなさん次第です。
なお、5年前に買ったのはニッセイ外国株式だったけど、これから買うならオール・カントリーがいいやというように投資対象を変更したい場合は、問答無用でロールオーバーしないのがいいと思います。