債券

ニッセイ国内債券の運用コストと評価

連動する指数が同じで、信託報酬も同じなら、差が出るのは隠れコストぐらいのものだと思われるかも知れません。多くの場合はそうですが、ニッセイ国内債券は運用の中身にも注意が必要な商品があることを教えてくれています。

ニッセイ国内債券

2015年1月29日に税抜き信託報酬0.310%で設定されました。当時はこれでも単独最安水準でした。その後4回引き下げられています。

信託報酬引き下げ履歴表

現在0.120%が最安水準で、5商品が並んでいます。

債券100%のファンドはつみたてNISA適格になれないため、もちろんつみたてNISA適格ではありません。また、iDeCoでの取り扱いはないようです。

運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。スリム国内債券と比較しています。

運用報告書から計算したトータルコスト表

他の国内債券インデックス同様、計上されているのは監査費用だけです。隠れコストは極小で、信託報酬が支配的です。でも、ニッセイ国内債券には運用コスト以外に問題がありました。

リターン比較

登場する国内債券インデックスのベンチマークはみなNOMURA-BPI総合指数です。そのため運用に問題がない場合、リターン差は運用コスト差を示します。運用に問題がある場合、高い確率でそうだと分かります。

スリム国内債券とのリターン比較

次はスリム国内債券の設定直後を避けた、2017年3月15日から2020年9月11日までの、ニッセイ国内債券との比較です。

ニッセイ国内債券とスリム国内債券のリターン比較グラフ

青のラインはリターン差で、スリム国内債券ーニッセイ国内債券です。これは期待通りではないです。運用コスト差はほとんどないので、青のラインはほぼフラットになるのが期待値です。

次は同じ期間における、スリム国内債券とたわら国内債券の比較です。

たわら国内債券とスリム国内債券のリターン比較グラフ

リターン差はあってもこの程度が期待値なんですが、ニッセイ国内債券は運用コスト以外の要因でリターンが劣化しているようです。

eMAXIS国内債券とのリターン比較

次はニッセイ国内債券の設定直後を避けた、2015年2月16日から2020年9月11日までの、eMAXIS国内債券との比較です。

ニッセイ国内債券とeMAXIS国内債券のリターン比較グラフ

黄色の丸で囲ったところでリターン差が乱れています。

Funds-i 国内債券とのリターン比較

次は同じ比較期間における、Funds-i 国内債券との比較です。

ニッセイ国内債券とFunds-i 国内債券のリターン比較グラフ

同じ位置に乱れがあります。

次はeMAXIS国内債券とFunds-i 国内債券の比較です。グラフのスケールは同じです。

eMAXIS国内債券とFunds-i 国内債券のリターン比較グラフ

乱れがありません。よって、リターン差が乱れた要因はニッセイ国内債券にあると判断できます。

ニッセイ国内債券は組込銘柄数が極端に少ない

次は月次報告書から拾った、組込銘柄数です。

主な国内債券インデックスの月次報告書から拾った組込銘柄数一覧表

eMAXIS国内債券、スリム国内債券の月次報告書には銘柄数の記載がありませんでした。(運用報告書の組込銘柄一覧を数える気になれませんでしたが、それぐらいたくさんあります。)

ニッセイ国内債券は桁違いに少ないです。過去の運用報告書も見ましたが、30から40銘柄程度でした。

目論見書にはこうあります。

ニッセイアセットマネジメント株式会社と株式会社ニッセイ基礎研究所が共同開発したクオンツモデル「国内債券インデックスモデル」を利用し、ポートフォリオを構築します。

引用:目論見書

また、こう明記されています。

〈基準価額と指数の連動性に関する留意点〉
ファンドはNOMURA-BPI総合の動きに連動する投資成果をめざしますが、当該指数の構成銘柄すべてを組入れないこと、資金の流出入と実際の銘柄等の売買のタイミングのずれ、売買時のコストや信託報酬等の費用を負担することなどから基準価額と当該指数との動きが完全に一致しないことがあります。

引用:目論見書

運用コストを削減しつつ指数との連動性を高めるのは、運用会社の腕の見せ所です。めったに話題に上がりませんが、指数の指示通りに馬鹿正直に(完全法で)売買すると運用コストが高くなるため、現実的な売買に抑え込む工夫をしているそうです。それは広く受け入れられているので、ニッセイ国内債券の組込銘柄数が極端に少ないのがダメというわけではありません。

が、ごまかしの効かない基準価額データを比較した時に、首を傾げたくなるようではダメでしょう。リターン差の乱れは少々あるものの、運用コストが明らかに安いのであればまだ評価できるかも知れません。いや、それは指数に忠実であることを重視する人には許容できないですね。

売れ行きは

次は設定来の資金流出入額の累計の推移グラフです。純資産総額は82億円です。

ラインの形状は、人気が頭打ちであることを示しています。良くあるパターンで、こうなると盛り返せないことが多いです。

次はたわら国内債券とスリム国内債券もプロットしたものです。

たわら国内債券とスリム国内債券もプロットしたグラフ

緑のラインがたわら国内債券、青のラインがスリム国内債券です。ニッセイ国内債券は信託報酬引き下げに積極的だったにも関わらず、早く設定された優位性を活かすことができなかったようです。

評価:おすすめする気になれません

ニッセイ国内債券の運用コストは最安水準だし、信託報酬引き下げに積極的です。が、人気は頭打ちだし、組込銘柄数が桁違いに少なく、指数に忠実な運用でないところがあります。そのため、ニッセイ国内債券をおすすめする気になれません。

ひいき目に見なくても、スリム国内債券の方が良い選択肢なのは明らかです。

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