農林中金全共連アセットマネジメントは、農中<パートナーズ>シリーズで知られていますが、それらは農林中央金庫専売商品です。一方、NZAMシリーズは一般販売商品で、農林中央金庫では扱っていません。
NZAMベータ日経225は、やる気に欠ける信託報酬で参入して来ました。思ったとおり、不人気で売れていません。しかも現物株運用ではない残念な商品です。
NZAMベータ日経225
2020年2月13日に税抜き信託報酬0.16%で設定されました。当時の最安水準は0.14%だったので、もう少しやる気を出して欲しかったです。
- 商品名に「ベータ」とありますが、目論見書を見る限り普通のインデックスファンドです。
- NZAMベータ日経225は一般販売商品で、SBI証券、楽天証券、松井証券、マネックス証券、auカブコム証券、SMBC日興証券が扱っています。
- つみたてNISA適格です。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。
隠れコストは標準的な水準よりわずかに高いですが、そもそも桁が小さいので、支配的なのは信託報酬です。
現物株運用ではありません
株式に投資するインデックスファンドは、指数に忠実な運用をするのに「先物」の利用は必須だと言われます。が、通常5%程度、多くても10%未満で十分だと思われます。その場合、現物株運用であると表現されます。
現物株運用で、運用に問題がないなら、経験的に基準価額の推移は想定したものになります。リターン比較結果が、運用コスト差を反映したきれいな直線になるのです。
ところが、インデックスファンドの中には先物比率が高く、その結果リターン比較結果が激しく暴れるものも散見されます。NZAMベータ日経225もそうです。
NZAMベータ日経225は先物比率が30%程度もあります。ニッセイ日経平均、iFree日経225、スリム国内株式(日経平均)は数%しかありません。
同じマザーファンドを利用する、農中<パートナーズ>つみたてNISA日本株式日経225も現物株運用ではありません。
リターン比較
先物比率が高いのでリターン差が暴れるのは分かっていましたが、その推移は予想外なものでした。
スリム国内株式(日経平均)との比較
次はNZAMベータ日経225の設定直後を避けた、2020年3月2日から2021年5月14日までの、スリム国内株式(日経平均)との比較です。
青のラインはリターン差で、NZAMベータ日経225ースリム国内株式(日経平均)です。右肩上がりで推移しているので、NZAMベータ日経225の方が低コストです。いやいや、それはおかしいでしょ。でもこれが現実です。
青のラインが暴れているのは、NZAMベータ日経225の先物比率が高いためです。次は2020年7月からの比較です。
青のラインはわずかながら右肩上がりです。信託報酬差が0.02%ポイントある日経平均インデックスでリターンが逆転している理由を、僕は説明できないです。
ニッセイ日経平均との比較
次は2020年3月2日から2021年5月14日までの、ニッセイ日経平均との比較です。ニッセイ日経平均の税抜き信託報酬は0.14%です。
青のラインはNZAMベータ日経225ーニッセイ日経平均です。ニッセイ日経平均とスリム国内株式(日経平均)のリターンはほぼ同じなので、こうなるのは当然です。そして、やはりNZAMベータ日経225のリターンはおかしいです。
野村つみたて日本株投信との比較
次は2020年3月2日から2021年5月14日までの、野村つみたて日本株投信の比較です。野村つみたて日本株投信の税抜き信託報酬は0.17%です。
青のラインはNZAMベータ日経225ー野村つみたて日本株投信です。これも、NZAMベータ日経225のリターンがおかしいことを証明しています。
売れていません
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は0.58億円しかありません。
設定日の純資産総額が0.1億円ありましたが、これは運用側による初期投資と思われます。明らかに不人気です。
商品に知名度がなく、信託報酬も最安ではなく、主にネット証券でしか扱っていないのではこうなるのも無理はないでしょう。
評価:買う価値ありません
日経平均連動インデックスは現物株運用ができて当たり前です。それなのにNZAMベータ日経225の先物比率は30%近くあり、現物株運用とは言えません。その結果、指数に忠実な運用ができていません。(あの程度の暴れは許容するという考えもありますが、僕は嫌いです。)
現実のリターンは、信託報酬が0.02%ポイント安い商品よりもわずかに高いのですが、そうではあってもNZAMベータ日経225は避けた方がいいです。
農林中金全共連アセットマネジメントには、高い先物比率を引き下げる努力をして欲しいですね。