農中<パートナーズ>つみたてNISA米国株式S&P500は農林中央金庫専売商品なので、このブログの読者のみなさんには縁がないと思われます。受益者にコスト意識があれば、選択肢に上がらない商品です。
なお商品名が長いので、ここでは「つみたてNISA米国株式S&P500」と略します。
つみたてNISA米国株式S&P500
2017年12月10日に税抜き信託報酬0.45%で設定されました。高いです。先行したiFree S&P500の税抜き信託報酬が0.225%だったので、やる気がないのは明らかです。以来、信託報酬は引き下げられていません。
つみたてNISA適格ですが、農林中央金庫専売商品です。おそらく、コスト意識のない顧客をターゲットにしているのでしょう。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。スリム米国株式(S&P500)と比較しています。
隠れコストが異様に高いです。次は隠れコストの明細です。
保管費用がべらぼうに高いです。
信託報酬が支配的ですが、トータルコストは0.68%と、10年前のローコストファンドの水準です。いまどきS&P500インデックスにそんなコストを負担する価値はないです。
VOOトータルリターンとのリターン比較
次はVOOトータルリターンとの比較です。つみたてNISA米国株式S&P500の設定直後を避けた、2018年1月4日から2020年11月30日までです。
青のラインはリターン差で、VOOトータルリターンーつみたてNISA米国株式S&P500です。つみたてNISA米国株式S&P500はVOOを売買しているわけではありませんが、青のラインの傾きからつみたてNISA米国株式S&P500の運用コストの大きさが(相対的にですが)分かります。
次はVOOトータルリターンの運用コストを年率0.70%ポイント増量したものとの比較です。
この比較結果は、運用報告書から計算したトータルコストに一致します。
スリム米国株式(S&P500)とのリターン比較
次はスリム米国株式の運用が安定した、2018年11月12日から、2020年11月30日までのスリム米国株式とのリターン比較です。
青のラインはスリム米国株式ーつみたてNISA米国株式S&P500です。株価暴落時に凹んでいますが、それを除くときれいな右肩上がりの直線です。その傾きは、運用報告書から計算したトータルコスト差に一致しています。
売れ行きは
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は30億円です。
設定日の純資産総額が20億円ぴったりだったのですが、それは運用側の初期投資のように思えます。
次は設定日の純資産総額を無視したものです。設定日翌日からの資金流出入の様子が分かります。
きれいな形状をしています。安定した資金流入がありますね。人気の高いS&P500インデックスにしては資金流入ペースが低いですが、高コスト商品ながら一定の顧客を獲得していることがうかがえます。
評価:コスト意識があれば避けられるのに
つみたてNISA米国株式S&P500は高コストなので、スリム米国株式(S&P500)などと比べて確実にリターンが劣ります。指数が同じなので、負うリスクも同じですが、負担するコストが高い分、損する結果になります。
それは受益者にコスト意識があれば、避けられます。でも農林中央金庫からこの商品を買っている受益者にとって、ネット証券で自分で商品を選択するというのは敷居が高いのかも知れません。