近年iFreeレバレッジシリーズに代表される、レバレッジ型ファンドの組成が増えています。米国株式を対象にしたものが目立ちますが、国内株式を対象にした商品もあります。One日本株ダブル・ブルはそのひとつです。
One日本株ダブル・ブル
2017年11月30日に税抜き信託報酬0.85%で設定されました。当時でも、日経平均に連動するインデックスファンドの信託報酬は0.20%未満が当たり前でしたから、かなり強気の設定と言えます。レバレッジ2倍で信託報酬は4倍というところです。
- 商品名からは分かりませんが、株式指数の先物取引により、日々の基準価額の値動きが日経平均の値動きの2倍程度となることを目指します。が、日経平均以外の指数に変更することもあるとしています。
- 信託期間が5年しかなく、2022年11月25日に償還されます。
- 購入時手数料税抜き2.0%が設定可能です。金融機関を選ばないと徴収されてしまいます。
- 運用会社はアセットマネジメントOneです。
- 現在31社で販売されていますが、驚いたことに楽天証券では扱われていません。
もちろん、つみたてNISA適格ではありません。
この商品に投資する人は対象とする指数を気にしないかも知れませんが、目論見書にはこう明記されています。
当面は、主として国内上場の日経平均株価(日経225)を対象とした株価指数先物取引を利用します。なお、市場動向などの変化に対応して流動性や効率性などを考慮し、日経株価指数300、東証株価指数(TOPIX)を対象とした先物取引、シンガポール取引所(SGX)上場の日経225株価指数先物取引(SGX Nikkei 225 Index Future)などを利用することがあります。
引用:目論見書
そもそもブル型ファンドは長期投資に不向きと言われますが、信託期間が5年しかないことはそれをみずから証明しているようなものですね。でも上手に活用することで利益を上げている人もいるはずです。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。たわら日経225と比較しています。
One日本株ダブル・ブルの隠れコストはたわら日経225よりはずっと高いですが、全く気にならない水準です。支配的なのは信託報酬で、トータルコスト0.97%は高いと感じます。
次は隠れコストの明細です。
売買委託手数料の違いが大きいです。なお、レバレッジをかけることで生じる金利は運用報告書には出てこないものと思われます。
たわら日経225とのリターン比較
次はOne日本株ダブル・ブルの設定直後を避けた、2017年12月15日から2021年4月16日までの、たわら日経225との比較です。
赤のラインがOne日本株ダブル・ブル、緑のラインがたわら日経225です。青のラインはリターン差で、One日本株ダブル・ブルーたわら日経225です。
2倍のレバレッジをかけているので、変動率が大きいです。2021年のバブリーな強気相場ではたわら日経225を引き離していますが、それを除くと魅力的な投資対象に見えません。
NZAMレバレッジ日本株式2倍ブルとのリターン比較
次はOne日本株ダブル・ブルの競合商品と言える、NZAMレバレッジ日本株式2倍ブルとの比較です。NZAMレバレッジ日本株式2倍ブルの設定直後を避けた、2020年4月1日から2021年4月16日までです。
青のラインはNZAMレバレッジ日本株式2倍ブルーOne日本株ダブル・ブルです。思ったよりも暴れが少いことに驚きました。この様子だと、NZAMレバレッジ日本株式2倍ブルの方が低コストですね。
短期売買のおもちゃにされています
次は設定来の純資産総額の推移です。現在の純資産総額は23億円です。これは基準価額の影響を受けます。
激しく変動しています。次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。これは基準価額の影響を受けません。
左端が浮いているのは、設定時の純資産総額がぴったり1億円あったためです。おそらく運用側による初期投資と思われます。
日経平均連動ファンドも短期売買のおもちゃにされる傾向がありますが、One日本株ダブル・ブルは完全におもちゃにされています。基準価額の推移と並べると受益者の行動が良く分かります。
上:基準価額の推移
下:資金流出入額の累計の推移
コロナショックによる株価暴落時にたくさん買われ、回復すると売られ、直近ではコロナショック前に投入された資金も引き上げられています。でもこれがきっと、One日本株ダブル・ブルの正しい売買の姿ですね。
評価:NZAMレバレッジ日本株式2倍ブルの方がいいです
あくまで短期売買目的で日経平均の2倍ブル型ファンドに投資したい場合、One日本株ダブル・ブルよりNZAMレバレッジ日本株式2倍ブルの方がいいです。
- NZAMレバレッジ日本株式2倍ブルの方が低コスト。
- NZAMレバレッジ日本株式2倍ブルは信託期間が無期限。
信託期間が無期限なら、暴落時に大きくマイナスになっても回復を待つ選択肢があります。その選択肢は、ないよりはあった方がいいでしょう。