ウルトラバランス世界株式の運用会社であるアストマックス投信投資顧問株式会社は、2021年3月8日に「PayPay投信アセットマネジメント株式会社」に改名されました。一般的な指数に連動する商品に、PayPay投信日経225、PayPay投信NYダウがありますが、どちらも信託報酬が単独最安水準と意欲的な設定です。
そしてPayPay投信NASDAQ100も単独最安水準の信託報酬で攻めてきました。ところがごまかしの効かない基準価額データは高コストであることを示しています。
PayPay投信NASDAQ100
2021年6月29日に税抜き信託報酬0.38%で設定されました。NZAMベータNASDAQ100、eMAXIS NASDAQ100の0.40%より0.02%ポイント安い、業界最安水準です。やる気を感じます。
- 現物株運用です。
- 最後発ですが、隠れコストが低水準なら十分戦えると思われます。
- 扱っているのは楽天証券を除く5大ネット証券とPayPay銀行、新生銀行だけです。
- つみたてNISA適格ではありません。(NASDAQ100指数が指定インデックスではないため、設定から5年以上経過しないとそもそも適格申請できません。)
運用コスト
運用報告書が公開される2022年8月頃までは公式な運用コスト(トータルコスト)は不明ですが、ごまかしの効かない基準価額データからある程度推測できます。
リターン比較
ベンチマークがNASDAQ100指数の商品と比較します。PayPay投信NASDAQ100の設定直後を避けた、2021年7月15日から2022年4月8日までです。
iFree NEXT NASDAQ100とeMAXIS NASDAQ100の比較
運用が安定しているiFree NEXT NASDAQ100とeMAXIS NASDAQ100の比較を見ておきます。
現在、この2商品のトータルコストはほぼ同じです。リターン差を示す青のラインが真っ平らなのがそれを示しています。(直近ではeMAXIS NASDAQ100の方が低コストですが、このスケールだと分かりません。)まぐれではこうはなりません。
iFree NEXT NASDAQ100との比較
次はiFree NEXT NASDAQ100との比較です。グラフのスケールは同じです。
青のラインはリターン差で、iFree NEXT NASDAQ100ーPayPay投信NASDAQ100です。右肩上がりの傾向から、PayPay投信NASDAQ100の方がトータルコストが高いことが分かります。さらに、階段状になっているところは運用に難があったことが推測されます。
でも最近は青のラインがフラットに近くなっています。次は2022年年初からの比較です。右軸のスケールを拡大しています。
この様子だとまだiFree NEXT NASDAQ100の方が低コストです。そして、やはり段差が気になります。
eMAXIS NASDAQ100との比較
次はeMAXIS NASDAQ100との比較です。グラフのスケールは同じです。
当然、iFree NEXT NASDAQ100との比較結果と同じになります。
NZAMベータNASDAQ100との比較
次はNZAMベータNASDAQ100との2022年年初からの比較です。右軸のスケールを拡大しています。
PayPay投信NASDAQ100のトータルコストはNZAMベータNASDAQ100と同程度だと思われますが、段差がある分PayPay投信NASDAQ100は評価が下がりますね。
売れ行きは
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は10億円です。
安定した資金流入が続いていましたが、やや頭打ち傾向です。また、人気のNASDAQ100指数連動インデックスにしてはペースが遅いです。
次はiFree NEXT NASDAQ100、eMAXIS NASDAQ100、NZAMベータNASDAQ100もプロットしたものです。
緑のラインが業界の先駆者であるiFree NEXT NASDAQ100、青のラインがeMAXIS NASDAQ100、紫のラインがNZAMベータNASDAQ100です。PayPay投信NASDAQ100とNZAMベータNASDAQ100の厳しい現状が良く分かります。
評価:おすすめしません
信託報酬は業界最安水準ですが、トータルコストは(最近は改善されたものの)ライバルより高いです。また段差が気になります。運用に不安を感じます。
組成内容は申し分ないのですが、現状だとおすすめできません。PayPay投信NASDAQ100は運用を頑張らないといけないですね。
インデックスファンドも競争が激しく、信託報酬を少し安くしたからと言って人気が出るとは限りません。PayPay投信NASDAQ100は楽天証券が扱っていない(PayPay投信日経225もPayPay投信NYダウもそうです)ので、そもそも競争上不利です。別の販路を開拓する必要があるかも知れません。
商品が、あるいはシリーズが人気を獲得するのは容易ではありません。PayPay投信シリーズは戦い方を工夫した方がいいように思います。