ウルトラバランス世界株式の運用会社であるアストマックス投信投資顧問株式会社は、2021年3月8日に「PayPay投信アセットマネジメント株式会社」に改名されました。そして同日に次の2商品が設定されました。
- PayPay投信日経225
- PayPay投信NYダウ
どちらも信託報酬が単独最安水準と意欲的な設定です。また遅れてPayPay投信NASDAQ100も設定されましたが、こちらも単独最安水準と、やる気を出しています。
PayPay投信NYダウ
2021年3月8日に税抜き信託報酬0.18%で設定されました。それまでの最安水準0.21%より0.03%ポイント安い、意欲的な設定です。
- ほぼ現物株運用です。
- 最後発ですが、隠れコストが低水準なら十分戦えると思われます。
- 扱っているのは楽天証券を除く5大ネット証券とPayPay銀行だけです。
- つみたてNISA適格ではありません。(NYダウ指数が指定インデックスではないため、設定から5年以上経過しないとそもそも適格申請できません。)
運用コスト
設定されたばかりで運用報告書が公開されるのは1年後になります。それまでは公式な運用コスト(トータルコスト)は不明ですが、ごまかしの効かない基準価額データからある程度推測できます。
リターン比較
DIAトータルリターンとの比較
NYダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ)に連動するETFにDIAがあります。次はPayPay投信NYダウの設定直後を避けた、2021年4月7日から2021年7月30日までの、DIAトータルリターンとの比較です。
青のラインはリターン差で、DIAトータルリターンーPayPay投信NYダウです。右肩上がりなので、DIAトータルリターンの方が低コストです。
iFree NYダウとのリターン比較
次はiFree NYダウとのリターン比較です。2021年4月7日から2021年8月20日までです。
青のラインはiFree NYダウーPayPay投信NYダウです。青のラインの傾きから、iFree NYダウの方が低コストだと言えます。また、PayPay投信NYダウの運用は安定していると思われます。
iFree NYダウの税抜き信託報酬は0.225%で、PayPay投信NYダウの方が0.045%ポイント安いのですが、ごまかしの効かない基準価額データはiFree NYダウの方が低コストであることを示しています。投資信託あるあるです。
次はiFree NYダウの運用コストを年率0.22%ポイント増量したものとの比較です。
青のラインはフラットに近付きました。よってPayPay投信NYダウのトータルコストはiFree NYダウよい0.22%ポイント程度高いと推測できます。
NZAMベータNYダウ30との比較
NZAMベータNYダウ30の税抜き信託報酬は0.21%ですが、運用報告書から計算したトータルコストは0.5079%と高コストでした。
次は2021年4月7日から2021年8月20日までの、NZAMベータNYダウ30とのリターン比較です。
青のラインはPayPay投信NYダウーNZAMベータNYダウ30です。時々段差ができていますが、右肩上がりでも右肩下がりでもないので、この2商品のトータルコストは変わらないと推測できます。
不人気です
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は2.62億円です。
設定直後は買われましたが、だんだん失速して頭打ちになるという良くあるパターンです。これは厳しいですね。
NYダウ指数はS&P500やVTIのような高い人気は見込めないので、地道な営業活動と低信託報酬に恥じないトータルコストの低減化が必要でしょう。
評価:運用コストの削減が必須
設定後4ヶ月の様子だと、PayPay投信NYダウはNZAMベータNYダウ30並に隠れコストが高いです。それはiFree NYダウとのリターン比較にもはっきり表れています。
PayPay投信の知名度は高くないと思いますが、グループで総力を上げれば変えられるでしょう。でもその前にまず運用コストの削減が必須です。現状は、信託報酬は最安だけどトータルコストは普通に高いです。その信託報酬に見合う運用コストを目指して欲しいものです。