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楽天VTI、楽天VT、SBI VOOとVTI、VT、VOOではどちらがおすすめですか?

じゃんけんで勝つには後出しすれば良いのですが、サービス競争で後出しするならより強い手を出す必要があります。さらに後出ししてくる競合の手も予想しながらです。

昨年末、証券会社は海外ETFの買付手数料の無料化を競い合っていました。口火を切ったのはDMM.com証券でしたが、マネックス証券が出した対抗策は、買付手数料をキャッシュバックするものの、税金を除くという中途半端なものでした。SBI証券は税金も含めてキャッシュバック、システム対応できたら無料化という好ましいものでした。楽天証券は最初から無料化で応じました。

そしてSBI証券は2020年5月15日から、キャッシュバックを無料化に変更しました。楽天証券と同じになったわけです。(対象となるETFは限られています。)

この競争のおかげで、VTI、VT、VOOは(証券会社を選べば)買付手数料無料で買えるようになりました。これにより、それら海外ETFを自分で買う時の大きなデメリットのひとつが解消されました。では、楽天VTI、楽天VT、SBI VOOと、買付手数料が無料になったVTI、VT、VOOではどちらが有利なのか、実際の過去データを使ってシミュレーションしました。

シミュレーション方法

楽天VTIとVTIの比較を例に説明します。楽天VTとVT、SBI VOOとVOOの比較方法も同じです。

  • ある月額予算で月初にVTIを買います。円をドルに替えて、買える株数だけ買います。予算の余り(端数)は翌月に回しません。
  • 楽天VTIは設定日直後に恥ずかしいことが起きているのでそれを外して2017年11月から毎月初に積み立てします。シミュレーションに使ったのは楽天VTIの基準価額データです。
  • SBI VOOは設定直後を避けた2019年11月からです。
  • 円をドルに転換する為替手数料は4銭とします。SBIネット銀行+SBI証券でしか4銭にはできないと思います。
  • VTIの買付手数料は無料です。比較期間の最初からそうしています。
  • VTIの取引価格データはYahoo!ファイナンスから、保有株数に応じてもらえる配当金のデータはこちらから取得しました。
  • 円換算用データはこちらから取得しました。
  • VTIの配当金に10%の米国課税を適用、さらに20.315%の国内課税を適用します。
  • VTIの配当金を貯めたものが一株の取引価格を超えたら翌月月初に再投資します。
  • 楽天VTIの積み立て金額は、VTIと比較するため、VTIの購入にかかった費用(=購入代金+為替手数料)とします。
  • もちろん特定口座(源泉徴収あり)での比較です。
  • 2020年7月末時点の楽天VTIの税引き後リターンと、VTIの税引き後リターン(こちらはドルのまま評価、配当金の残りを含む)を比較します。
  • なお、実際にVTIの税引き後評価額を円で手にするには、売却時の為替手数料と売付け手数料が必要になります。
  • 参考として買付手数料の場合が出てきますが、その場合、全期間において消費税率を10%にしています。

最初に楽天VTI(楽天全米株式)とVTIの比較を行います。そのあとで、楽天VT(楽天全世界株式)とVTの比較、SBI VOO(SBIバンガードS&P500)とVOOの比較をします。

楽天VTIとVTIの比較

月額予算5万円の場合

月額予算5万円でVTIを買う場合のシミュレーションです。まず買付手数料無料化前です。

月額予算5万円でVTIを買う場合のシミュレーションのグラフ(買付手数料無料化前)

青のラインは税引前評価額の差で、楽天VTIーVTIです。黄色の丸で囲ったところのヒゲは無視して下さい。

青のラインは赤の矢印の水準からスタートしています。0.5%ポイント程度です。これは予算5万円でVTIを買うと、買付手数料が税込み0.495%と、為替手数料が1ドルあたり4銭(0.04円、非課税)かかるからです。

次は買付手数料無料化後です。

月額予算5万円でVTIを買う場合のシミュレーションのグラフ(買付手数料無料化後)

買付手数料が無料化されたので、青のラインの開始水準が大きく下がりました。青のラインは右肩下がりで推移しますが、配当金が出るタイミングで階段状に上がります。これは、楽天VTIは配当金を国内課税なしで再投資するのに対し、VTIは国内課税されてしまうからです。また、月額予算5万円だと、この期間では一株しか再投資できませんでした。

青のラインは運用コスト差のために右肩下がりになりつつも、全体としては右肩上がりで推移しています。税引き後リターンはVTIの方が2.89%ポイント有利でした。

月額予算50万円の場合

買付手数料無料化前です。

月額予算50万円でVTIを買う場合のシミュレーションのグラフ(買付手数料無料化前)

月額予算を10倍に増やしたのに、青のラインはまだ0.5%ポイント程度からスタートしています。買付手数料は税込み0.495%で上限は税込み22ドルでした。購入額をもっと増やさないと取引手数料の負担率は下がりません。

次は買付手数料無料化後です。

月額予算50万円でVTIを買う場合のシミュレーションのグラフ(買付手数料無料化後)

月額予算が50万円になると、この期間で合計17株再投資できています。再投資できるとその分も取引価格の上昇の恩恵を受けて増えるため、楽天VTIとの差が開きにくくなりました。

税引き後リターンはVTIの方が2.26%ポイント有利でした。

1,000万円一括投資してガチホする場合

余裕資金と度胸がある人でないとできません。買付手数料無料化前です。

VTIに1,000万円一括投資してガチホする場合(買付手数料無料化前)

1,000万円一括投資できるなら、SBI証券の買付手数料は22ドルだったので負担率を小さくできました。0.023%などの、きっと気にしない額です。為替手数料は0.037%程度の負担なので、青のラインはずっと下からスタートしています。

次は買付手数料無料化後です。

VTIに1,000万円一括投資してガチホする場合(買付手数料無料化後)

税引き後リターンはVTIの方が4.15%ポイント有利でした。

楽天VTとVTの比較

月額予算5万円の場合

月額予算5万円でVTを買う場合のシミュレーションです。買付手数料無料化後です。

月額予算5万円でVTを買う場合のシミュレーションのグラフ(買付手数料無料化後)

税引き後リターンはVTの方が1.94%ポイント有利でした。

VTに1,000万円一括投資してガチホする場合

VTに1,000万円一括投資してガチホする場合(買付手数料無料化後)

税引き後リターンはVTの方が3.13%ポイント有利でした。

SBIバンガードS&P500とVOOの比較

比較可能な期間が短いですが、長期的にはVTIやVTと同じ傾向を示すはずです。

月額予算5万円の場合

月額予算5万円でVOOを買う場合のシミュレーションです。買付手数料無料化後です。

月額予算5万円でVOOを買う場合のシミュレーションのグラフ(買付手数料無料化後)

税引き後リターンはVOOの方が2.89%ポイント有利でした。

VOOに1,000万円一括投資してガチホする場合

VOOに1,000万円一括投資してガチホする場合(買付手数料無料化後)

税引き後リターンはVOOの方が2.03%ポイント有利でした。

結論:どちらが有利かは人によって変わります

この記事が比較した、楽天全米株式とVTI、楽天全米株式とVT、SBIバンガードS&P500とVOOの違いはこうです。

  • 運用コスト(保有コスト)はVTIの方が年率0.2%ポイント程度有利です。(VTは0.25%ポイント程度有利です。VOOはまだ分かりません。)
  • 購入時のコストは為替手数料だけVTI/VT/VOOが不利ですが、これは相対的に小さいです。
  • 配当金の再投資効率は、楽天全米株式/楽天全世界株式/SBIバンガードS&P500にかないませんが、課税の繰り延べ効果が出るまでには年数がかかります。
  • VTI/VT/VOOは売却時に手数料がかかります。(この記事では無視しています。)

また、税引き後の評価額の差を見ると、ETFの方が有利となっていてびっくりしたかも知れません。非課税口座なら、グラフの青のラインの通りとなります。

僕は、一般人はまず、つみたてNISA口座で楽天全米株式/楽天全世界株式/SBIバンガードS&P500を買い、まだ余裕があるなら楽天証券の定口座にて楽天カード決済で買うのが良いと思います。(残念ながらSBIバンガードS&P500は楽天証券では買えません。)自分でVTI/VT/VOOを買おうと思う前に、楽天全米株式/楽天全世界株式/SBIバンガードS&P500の運用コストを負担することで得られるメリットについて良く考えるのがいいと思います。

また、そもそもつみたてNISA口座ではそれらETFを買えません。これは合理的な制約だと思っています。

海外ETFを買うデメリットが気にならない方は、この記事で考慮していない要素も考慮した上で好きな方を選択すれば良いです。

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