現在、つみたてNISA適格の投資信託は186本もあります。当然、人気はピンキリで、絶望的に売れていない商品もたくさんあります。
「人気」を測るには明確な指標が必要です。この記事では「資金流出入額の累計」を採用しました。2020年の資金流入額ー資金流出額がプラスで大きかったものが、人気が高かったと判断しています。これには異論もあろうかと思いますが、少なくとも、2020年の受益者の行動を反映していることは確かです。人気があればより多く買付され、不人気ならば買付されないか売却されるからです。
なお、つみたてNISA適格商品は特定口座、一般NISA口座、iDeCo口座などでも買われているでしょうが、その内訳までは知り得ません。よってこれは、「つみたてNISAで買われている人気商品ランキング」ではありません。
おことわり
僕ができるのは計算結果を並べたリストを公開することであって、それら商品の未来がどうなるかは予測できません。今後、時間はかかろうとも人気を獲得して(繰上償還の目安である)10億口を超えられるかも知れませんし、総口数が少なくても、つみたてNISA適格というバッジが重荷になって繰上償還されることはないかも知れません。
表の見方
リストが長いので分割しています。資金流出入額の累計でソートしています。
- 単位はどれも「億」です。
- 資金流出入額の累計がマイナスのものは赤字にしています。
- 2020年末の純資産総額、総口数も表示しています。総口数が10億未満のものは赤字にしています。
- つみたてNISA適格商品で、2019年末までに設定された商品のほとんどを対象にしています。
1位から40位まで
表が長いので分割しています。まず40位までです。
- TOP3は米国株式インデックスでした。スリム米国株式(S&P500)の圧勝ですが、楽天全米株式を上回ったSBIバンガードS&P500も凄いです。
- 5位のオール・カントリーは、人気の資産クラスが先進国株式から全世界株式に移りつつあることを示唆していますね。
- 11位、12位はブレないセゾン投信の2商品でした。人気は安定しています。
41位から80位まで
資金流出額が急激に少なくなってきました。
81位から120位まで
- 81位以降は、1年間で10億円の資金流入すらないものばかりです。
- 総口数が10億に満たないものも散見されます。
121位から160位まで
- 総口数が10億に満たないものがゴロゴロあります。
- 資金流出で終わったものも出てきました。
161位以降
不名誉なワースト2はひふみでした。特にひふみプラスにはイナゴと揶揄される受益者が多かったのでしょうか、資金流出額が半端ないです。
グラフにすると一目瞭然
グラフにしました。
横軸は順位で、左側が1位です。2020年に売れた(資金流入額が多かった)のは、一握りに過ぎないことが良く分かります。
まとめ:トータルコストと人気に注意しましょう
投資信託は粗製乱造される傾向にあります。つみたてNISA適格となるには厳しい条件をクリアしないといけないため、「地雷」とか言われるひどいものはそもそも排除されていますが、それでも極端に総口数が少ないものには繰上償還のリスクが付きまといます。
また、純資産総額が少ない、あるいは競合と比較して資金流入のペースが遅い場合、その商品は競争力を失うだけだと思われます。投資信託が売れるようにするのは(人気商品にするのは)簡単ではないわけですが、そのためには運用会社の投資が必要な場合もあるでしょう。それは信託報酬の引き下げだったり、販促活動だったりしますが、その原資は純資産総額から得られる信託報酬なので、結局「勝者が全部持っていく」図式になると思われます。
- 極端に不人気な商品は、繰上償還リスクがあるので避けた方がよいでしょう。
- 同じベンチマークの商品から選ぶなら、トータルコストと資金流入の様子(=人気)を気にすべきです。