株式と逆の値動きをする債券を混ぜることのメリットを調べたk㎝3sさんの記事に刺激されました。
VTIとTLTを56:44で組成するとシャープレシオが最大になり、リターンの劣化を抑えつつリスクを低減できるという評価です。VTIはおなじみの米国株式に投資するETF、TLTは米国の20年超の長期国債に投資するETFです。
先進国株式に先進国債券を混ぜるのは、長期投資を前提とすると意味がないことが分かっているのですが、VTIとTLTLではどうでしょうか。調べました。
更新情報
- 参照しているデータを最新版の更新しました。
- データは全てトータルリターン(円換算後、配当金は米国10%課税のみで再投資)としました。
おことわり
これはk㎝3sさんの記事の内容に反論するものではありません。
比較方法
VTIと、VTIとTLTを56:44で混ぜたもの(毎月リバランス)を比較します。どちらも参照しているデータはトータルリターンです。
以降、単にVTI、TLTとあってもそれらは「円換算後のトータルリターン」です。
VTIとTLT
次はVTIとTLTのリターン比較です。2002年9月2日から2020年9月30日までです。
赤のラインがVTI、緑のラインがTLTです。TLTは変動率(ボラティリティー)が小さいですが、過去18年間で見たリターンは高いです。
VTIとTLTを56:44で混ぜた合成結果もプロットしました。
青のラインが合成結果です。いい感じですね。
リスク比較
次は月次で求めたリスク(変動率)を年率換算したものです。
債券を混ぜることで、リスクが大幅に低減されているのが分かります。
リターン比較
リターン比較は、比較する期間によってその印象が大きく変わります。
2003年1月から2020年9月まで
2016年までは債券を混ぜたことのメリットを実感できました。2017年以降はそうでもないです。
2006年1月から2020年9月まで
これは凄いですね。
2009年1月から2020年9月まで
債券混ぜない方が良かったと思ってしまいます。
2012年1月から2020年9月まで
これは凄いですね。
2015年1月から2020年9月まで
債券混ぜない方が良かったと思ってしまいます。
2018年1月から2020年9月まで
微妙です。
2年単位で比較
ここらは2年単位でリターンを比較します。時期によって有利、不利が大きく変わります。
どんどんスクロールして流し見して下さい。
2003、2004年
2005、2006年
2007、2008年
2009、2010年
2011、2012年
2013、2014年
2015、2016年
2017、2018年
2019、2020年(9月まで)
結論:先進国株式+先進国債券よりずっと良い
株式と逆の値動きをする債券を混ぜることにより、変動率は大幅に抑えられました。比較期間によっては、リターンを劣化させずにリスクを減らせることも確認できました。が、長期間で見るとリターン差が開く傾向にあります。
先進国株式に先進国債券を混ぜた場合、パフォーマンスの劣化が大きかったです。それと比べると、米国株式に米国長期債券を混ぜたものの印象は悪くありません。でも、変動率の高さを気にせずに買い持ちを継続できるなら、株式に債券を混ぜる必要はないと考えます。ここは、人によって見解が分かれるところでしょう。