次の記事でeMAXIS Slim先進国株式の7割程度はS&P500であると書きました。まだ読まれていない方は先に読むことをおすすめします。
ではS&P500と並んで人気の高いVTIと比べるとどうなのか調べてみました。eMAXIS Slim先進国株式を買うとVTIをどれぐらい買っているのと同じなのか興味がわいたのです。
以下、eMAXIS Slimをスリムと表記します。
検討に使ったデータ
この記事で検討に使ったMSCIコクサイのデータはこちらから、VTIのデータはこちらからダウンロードしました。でもこの2つのデータ、そのままでは比較しにくいので僕はプログラムを書いて処理しました。
保有比率は当然変動しますので参考値程度として下さい。また検討結果の正しさは保証できませんのでご了承ください。
スリム先進国株式の66%は米国株式
スリム先進国株式はMSCIコクサイをベンチマークにしています。MSCIコクサイの保有銘柄一覧から米国株式を抽出すると66%でした。残りの34%は日本を除いた先進国です。次はスリム先進国株式の報告書からの抜粋です。
引用:スリム先進国株式報告書
ここでは米国が66.97%ですが、これは毎月変わります。
米国株式の銘柄数は
MSCIコクサイの総銘柄数は1316です。うち米国株式は632です。一方VTIは2855です。バンガード社の資料によると保有銘柄総数は3628ですが、うち773は保有比率が0%です。また、2855のうち保有比率が0.01%未満とされているものは1721にもなります。そりゃ全部で100%のパイを2855銘柄で分け合えば均等割でも0.035%です。無理やり円グラフにするとこんな感じです。途中から細すぎて見えません。
米国株式数で見ると、VTIの方が2223銘柄も多いです。この分だとVTIにはMSCIコクサイにない多くの中・小型株が入っていそうですね。
MSCIコクサイの63.4%はVTIの84.7%に相当
MSCIコクサイとVTIが共に保有している(重複している)銘柄の総数は617でした。つまり、VTIの2855銘柄のうち617銘柄しかMSCIコクサイには含まれていないということです。では保有比率はどうでしょうか。
この比較ではMSCIコクサイの保有比率を0.66で割ることでMSCIコクサイの米国株式内での保有比率としています。
順位は似ています。上位は大差ないです。保有比率は微妙に違いますね。同じ時期のデータではないのであまり細かいことを言っても意味ないかも知れません。
詳しく見たい方はエクセルファイルがこちら(MSCIコクサイとVTIの投資先比較)にあります。
上の表の続きです。
で、この表にある(=共通して保有している)銘柄の保有比率の合計ですが、VTIは84.7%です。つまりVTIの15.3%はMSCIコクサイには含まれていない、VTIを特長付けている銘柄となります。
一方MSCIコクサイは99.82%なので、MSCIコクサイの米国株式は全部VTIに入っていると言えます。そりゃそうでしょうね。
僕はMSCIコクサイでいいです
S&P500とVTIはどちらも米国株式100%で、米国株式が好調ならどちらを買っても大きな利益を上げられるでしょう。どちらがより有利かは過去については分かりますが、未来にどうなるかは分かりません。ですからS&P500にすべきかVTIにすべきか悩む人も多いことでしょう。
でも僕は、MSCIコクサイにはS&P500が丸ごと入っていることが分かっているのでそれで満足です。米国株式が好調なら十分その恩恵を受けられます。VTIが利益をもたらしてくれるならS&P500も同じで、MSCIコクサイも相応に利益を得られる、それで十分です。
楽天全米株式 vs スリム米国株式(S&P500)
この2本のインデックスファンドの対決にはとても興味があります。1つは純資産総額(または総口数)の伸びです。つまりは人気です。もう1つはパフォーマンスです。ベンチマークが異なるので同じ土俵での比較はできませんが、単にどちらに投資した方が有利なの?というのはいつも気にすべきことだと思います。インデックス投資の目的が資産形成であるなら間違いなくそうです。
パフォーマンス比較では銘柄数の違いとトータルコストが影響するはずです。将来が楽しみです。