積み立て投資(=ドルコスト平均法)は有利でも不利でもないという意見があります。僕はこの考えには賛同しません。基準価額が変動しながらも右肩上がりで成長するなら、一括投資の方が有利なのは統計的に証明できますが、普通は一括投資できません。
- 一括投資するだけの余裕資金がない。
- 一括投資後に基準価額が下がると高値掴みをしたと高い確率で後悔するため、よほどの覚悟がないとできない。
ですから(多くの場合)積み立て投資するしかないわけで、一括投資できない人に一括投資と積み立て投資のどちらが有利かと言う話をしても建設的ではありません。そして、積み立て投資には特有のメリットがあります。確かに投信の売り手が都合の良い説明に利用している面はありますが、許容範囲だと思います。(投信の販売ではもっとひどいことが平然と行われているようです。)
これを踏まえた上で、たまには積み立て投資の良さ、メリット、効果を実感してみましょうというのがこの記事のお題です。
2018年の相場
次はスリム先進国株式の基準価額の年初からの推移です。
右端は7月27日です。1月下旬の最高値の後、2月に始まった10%程度の下落、4月から回復傾向ではあるものの上がってはまた下がる不安定なものでした。最近ようやく1月下旬の最高値近くまで回復しました。
凡例の右側にある利益率は年初に一括投資した場合のものです。ではこの基準価額が下がって含み損になっている期間に積み立て投資を継続していたらどうなっているでしょうか。こんな、あからさまに積み立て投資が有利な条件で比較するなんてズルいと思いますか?でもまあたまにだからいいじゃないですか。
前説
- 毎月初に5万円を積み立てます。
- シミュレーションの関係上、月初の営業日が約定日です。
- グラフの階段状のラインは元本の推移です。元本のラインより赤のラインが下にある時は含み損の状態です。
スリム先進国株式
一括投資よりも有利です。基準価額が戻ると含み損から含み益に変わる様子が分かりますね。
楽天全米株式
米国株式100%なので1月の最高値を余裕で超えています。
年初に一括投資した場合も4.4%の含み益があります。次は積み立て投資です。
含み益が7.5%もあります。楽天全米株式に年初から積み立て投資していた人はしばらく続いた含み損の状態を嘆いたかも知れませんが、現在は十分満足していることでしょう。ただしそれは積み立て投資を継続した人だけが手にすることのできる果実です。
iFree S&P500
これも米国株式100%なので1月の最高値を余裕で超えています。
年初に一括投資した場合も3.9%の含み益があります。次は積み立て投資です。
含み益が7.2%もあります。以下同文です。
楽天全世界株式
新興国株式と国内株式の戻りが悪いので1月の最高値まで戻せていません。
年初に一括投資した場合は含み損です。
でも積み立て投資なら含み益が3.6%あります。積み立て投資の良さが十分発揮されています。
ひふみプラス
大方の予想を裏切って登場です。さすがのひふみプラスも戻りが悪いです。
年初に一括投資した場合は含み損です。
それでも積み立て投資だと1.8%の含み益があります。ここで、「なんだ、2018年に限ればひふみプラスより楽天全米株式の方がよっぽど有利なんじゃないか」と思った人もいることでしょう。確かにそうですが、短期的には何が利益が上がるかは目まぐるしく変わるので分かりません。長期的には大きく差が付くことも良くありますが、前もって予測できません。
でも親しい友人が楽天全米株式とひふみプラスの二択で迷っていると言ったら、僕は間違いなく楽天全米株式を勧めます。
セゾングローバルバランスファンド
tsumiki証券の取扱商品に選ばれた、アクティブファンド四天王の一人です。セゾングローバルバランスファンドはインデックスファンドだと思っているなら、それは間違いです。つみたてNISAの適用申請をアクティブファンドで行っています。
バランスファンドで新興国を含んでいるものは結果的に基準価額の戻りが悪いのはやむを得ないです。それを責めるつもりはありません。
年初一括投資だと含み損ですが、積み立て投資なら含み益があります。でもこのパフォーマンスに満足するのは難しいでしょうね。
スリムバランス
この内容でスリムバランスを登場させないわけには行かないでしょう。
スリムバランスのパフォーマンスが悪いのは次の記事に書いた通りです。
積み立て投資でかろうじて1.0%の含み益ですが、これでは満足できないでしょうね。現在は負っているリスクに見合ったリターンが得られていない我慢の時期、ということですね。
結論:積み立てを継続するのが一番です
この記事で取り上げた期間は積み立て投資のメリットを実感しやすい相場でした。でも現実の基準価額データを使った例なので、都合良く作成されたドルコスト平均法の説明資料よりはよっぽど現実味があると思います。
積み立て投資を継続していれば、こういうメリットを享受できることもあります。もし積み立て投資をバカにしているブログ記事を目にしても気にせず(その記事はおそらくアクセス数狙いでしょう)無視しましょう。そして相場が上がっても下がっても予定したペースで積み立てを続けましょう。
でも基準価額が下落している時に追加投資できるならした方が有利です。相場(基準価額)が下落した時に「何もするな」と説いている書籍がありますが、その著者は本の印税を追加投資に回します。積み立て投資を継続させるために何もするなと言っているのだとしても、読者をバカにした意見だと思います。
僕は次が正解だと信じています。
- 相場(基準価額)が下落してもそのまま積み立て投資を続けましょう。
- もし余裕資金があるなら追加投資しましょう。その方が有利です。(平均取得価額を下げられるからです。)