これは次の記事の続きです。
前編では先進国債券インデックスファンドの為替ヘッジ効果を確認しました。後編では新興国債券インデックスファンドの為替ヘッジ効果を確認します。
前編をまだ読まれていない方は先に読まれることをおすすめします。
為替リスク
先進国と新興国では新興国の方が為替リスクが大きい(為替変動率が高い)と言われます。比べる国によって変わるでしょうが、一般的にはそう考えて良さそうです。
また、ヘッジコストは対象通貨の金利と円の金利差で決まるらしいので、新興国の方がヘッジコストがかさむと思っていいでしょう。
比較対象
JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラスをベンチマークにしていて、運用期間が長いFunds-iシリーズで比較します。なお、先進国債券はヘッジ有りは遅れて設定されましたが、新興国債券は同時に設定されています。そのため比較可能期間も長くなっています。
2010年12月から2018年8月10日まで
比較期間は2010年12月1日から2018年8月10日までです。
赤のラインがヘッジなし、緑のラインがヘッジありです。
変動率(=リスク)はヘッジ有りの方が小さいです。でもどちらが有利か(リターンが高いか)は比較期間で大きく変わります。
先進国債券もそうでしたが、予備知識なしにこのグラフを見せられてどっちがいいか選べと言われたら迷いませんかね。どっちもどっちだなと。
次からは比較期間をずらします。
2012年12月から2018年8月10日まで
これならヘッジ無しの方がいいと思いませんか。いや、リスクが低い方が絶対いい、という方はヘッジ有り一択ですが。
2014年12月から2018年8月10日まで
ヘッジ有りの圧勝です。
2016年12月から2018年8月10日まで
ヘッジ無しの圧勝です。
2017年12月から2018年8月10日まで
変動率は高くともヘッジ無しでいいと思ってしまいます。
積み立てシミュレーション
比較期間によってリターンは大きく変わることが分かりました。では多くの受益者が選択するであろう積み立て投資ではどちらが有利でしょうか。次は2010年12月から2018年7月まで毎月初に5万円積み立てた時のリターン比較です。凡例の右側にある利益率に着目して下さい。
この比較期間だとヘッジ無しの方がわずかならより有利でした。
2011年12月から2018年7月
この比較期間もヘッジ無しの方が有利でした。
2012年12月から2018年7月
この比較期間はヘッジ有りの方が有利でした。また、ヘッジ無しだと含み損の期間が長いです。為替ヘッジの効果を実感できますね。
2013年12月から2018年7月
この比較期間もヘッジ有りの方が有利でした。また、ヘッジ無しだと含み損の期間が長いです。為替ヘッジの効果を実感できますね。
2014年12月から2018年7月
この比較期間だとヘッジ無しの方がわずかに有利でしたが、ヘッジ無しは含み損の期間が長いです。
2015年12月から2018年7月
この比較期間だとヘッジ無しの方が有利でしたし、ヘッジ有りの効果は実感できないです。
2016年12月から2018年7月
この比較期間だとどちらも含み損ですがヘッジ無しの方が含み損が少ないです。
2017年12月から2018年7月
この比較期間だとどちらも含み損ですがヘッジ有りの方が含み損が少ないです。
リスクの低下を望むなら
積み立てシミュレーションの途中経過を見ると、リスクが高いヘッジなしだと含み損の期間が相対的に多く観測されます。これを嫌うなら、リスクを低下させたいなら為替ヘッジのコストを支払う価値はあると思います。でも、含み損の状態で積み立て投資すると基準価額が上がった時により含み益を大きくできますから、リスクが低い=より利益が上がるとは限りません。それはその時の相場次第、運次第です。
問題は長期で見た時に基準価額が右肩上がりなのかどうかです。先進国債券もそうでしたが、債券インデックスファンドの基準価額の変化よりも為替変動率の方が圧倒的に大きいためにこのような不安定な、為替ヘッジの効果があったりなかったりするような気がしています。
結論:為替ヘッジの効果を認めます
Funds-i 新興国債券の過去の実績での話ですが、リスク(変動率)を減少させる効果があるので、そしてヘッジ無しの方が確実にリターンが高いわけでもないので、為替ヘッジは悪くないと思いました。でも実際にヘッジ無しより有利かどうかは時の運なのも確かです。
楽天バランスファンド3姉妹においても同程度の効果が得られるなら十分競争力があると思います。是非そうあって欲しいものです。