商品の選択肢は限られますが、為替ヘッジの有り無しが選べるインデックスファンドがあります。金融機関の窓口で販売されているものだと販売側の売りたいものに誘導されている可能性があるので、受益者の自然な選択結果ではないかも知れません。でもその実情は知り得ません。分かるのは純資産総額を集められた方が売れていたということだけです。
表の見方
- 2行一組で、ヘッジ無し、ヘッジ有りの順で並んでいます。
- 信託報酬は税込みです。
- 純資産総額の多い方を太字にしています。
- 商品名は正式なものではなく適宜省略し、ヘッジ有りは「H型」で統一しています。
なおデータは全てYahooファイナンスから取得しました。
先進国債券
商品名 | 設定日 | 信託報酬 | 純資産総額(億円) |
eMAXIS先進国債券 | 2009/10/28 | 0.648% | 137.5 |
eMAXIS先進国債券 H型 | 2016/07/01 | 0.648% | 0.66 |
たわら先進国債券 | 2015/12/18 | 0.1836% | 41.1 |
たわら先進国債券 H型 | 2016/10/03 | 0.216% | 1.0 |
Funds-i 外国債券 | 2010/11/26 | 0.594% | 17.0 |
Funds-i 外国債券 H型 | 2013/09/12 | 0.594% | 9.3 |
SMTグローバル債券 | 2008/01/09 | 0.54% | 162.9 |
SMTグローバル債券 H型 | 2013/12/27 | 0.54% | 25.9 |
ステートストリート先進国債券 | 2016/05/09 | 0.1836% | 0.27 |
ステートストリート先進国債券 H型 | 2016/05/09 | 0.216% | 63.9 |
ステートストリート先進国債券のみヘッジ有りが売れています。それ以外はヘッジ無しが大きく差を付けています。
新興国債券
商品名 | 設定日 | 信託報酬 | 純資産総額(億円) |
eMAXIS新興国債券 | 2009/10/28 | 0.648% | 55.7 |
eMAXIS新興国債券 H型 | 2016/07/01 | 0.648% | 0.32 |
Funds-i 新興国債券 | 2010/11/26 | 0.648% | 0.82 |
Funds-i 新興国債券 H型 | 2010/11/26 | 0.648% | 24.6 |
eMAXIS新興国債券はヘッジ無しが売れ、Funds-i 新興国債券はヘッジ有りが売れています。僕は受益者が自分の判断だけで買っているならこのようにはならないと思うので、これは売りての働きかけによる違いだと想像します。
先進国株式
商品名 | 設定日 | 信託報酬 | 純資産総額(億円) |
つみたて先進国株式 | 2017/08/16 | 0.216% | 11.2 |
つみたて先進国株式 H型 | 2017/08/16 | 0.216% | 0.38 |
たわら先進国株式 | 2015/12/18 | 0.216% | 260.6 |
たわら先進国株式 H型 | 2016/10/03 | 0.216% | 30.3 |
Funds-i 外国株式 | 2010/11/26 | 0.594% | 101.4 |
Funds-i 外国株式 H型 | 2013/05/07 | 0.594% | 34.1 |
iFree 外国株式 | 2016/09/08 | 0.2052% | 14.8 |
iFree 外国株式 H型 | 2017/08/31 | 0.2052% | 3.0 |
ステートストリート先進国株式 | 2016/05/09 | 0.216% | 14.3 |
ステートストリート先進国株式 H型 | 2016/05/09 | 0.2376% | 50.8 |
日興インデックスファンド海外株式 | 2001/10/17 | 0.9072% | 107.3 |
日興インデックスファンド海外株式 H型 | 2001/10/17 | 0.9072% | 8.9 |
先進国債券と同じくステートストリート先進国株式のみヘッジ有りが売れています。それ以外はヘッジ無しが大きく差を付けています。
ヘッジ有りは売れないと分かっていても必要?
商売であり競争ですから、ヘッジ有りが売れないと分かっていても他社対抗上両方揃えておくことが必要なのかも知れません。
あるいは、ヘッジ無しの方が圧倒的に売れると分かっていても、少しでもいいから売上の足しにしたくてヘッジ有りを用意するのかも知れません。
為替ヘッジをどこでやるか
為替ヘッジ有りのインデックスファンドがファミリーファンド方式の場合、そのマザーファンドも為替ヘッジ有りだろうと思いました。例えば次はつみたて先進国株式の目論見書からの引用です。
引用:目論見書
引用:目論見書
Funds-iシリーズは外国株式も先進国債券もそうです。
ところがたわら先進国株式は違います。
引用:目論見書
マザーファンドは為替ヘッジなしで、ベビーファンドでヘッジをします。SMT債券インデックスもそうです。
引用:目論見書
次のグラフで分かるように、Funds-i 外国株式ヘッジ有りと、たわら先進国株式ヘッジ有りのリターンの差は気にするほど暴れておらず、トータルコストの差を示せています。
よって為替ヘッジ有りのマザーファンドを持っておらずベビーファンドで為替ヘッジをすることがダメとは言えません。(でも、マザーファンドを1つ用意するのが大変なことは容易に想像できるので、手抜きっぽい印象があるのは確かです。)
ヘッジコストは見えません
ヘッジコストは「コスト」と言われるのだから運用報告書に記載されるかと思ったのですが、僕が調べた限り全く記載されません。つまり、ヘッジコストを受益者がいったいいくら支払ったのか運用報告書からは読み取ることができません。またひとつ投信の暗黒面を見たような気がしています。
おそらくヘッジコストはファンドが買っている株式や債券の価格に反映されるためそのようになっている(見えない)のだと思います。でも受益者としては知りたいところですね。
ヘッジコストは2つの通貨の金利差で決まるので、為替ヘッジする通貨が分かっているなら調べることは可能だと思われますが、楽天バランスファンドのようにいろいろ混ざっている場合は一般人には無理ですね。運営側もわざわざ公表しないでしょうね。そのため為替ヘッジがどれだけ効果的だったか(またはそうではなかったか)、それにどれだけヘッジコストがかかったか(=リターンを劣後させたか)は分からずじまいになります。
よって楽天バランスファンド3姉妹のパフォーマンス評価は、こまかいことには立ち入らずにリターンや変動率(リスク)を自分が比べたい似たような組成のファンドと比較することになります。