バランスファンド

グローバル3倍3分法ファンドの厳しい現状

グローバル3倍3分法ファンドは2018年10月4日に設定された、これまでになかったタイプのバランスファンドです。新しい試みなので、いわば、受益者から集めた資金を使って目論見通りのリターンが得られるかどうか実験するようなものです。過去のデータを使って行うバック・テストではうまく行っても、現実に設定して運用するとダメなことがあるのは、業界の専門家も認めるところです。

グローバル3倍3分法ファンドの受益者が期待したリターンを得られるかどうかは、既存のインデックスファンドよりも未知数なわけですが、期待通りなら素晴らしい結果が得られます。期待通りではないにしても、既存のインデックスファンドの代わりに投資していた場合よりも高いリターンが得られたなら、グローバル3倍3分法ファンドのコストがどれほど高くとも、結果的に「賭けには勝った」ことになります。問題はこの賭けのリスクの高さです。

グローバル3倍3分法ファンドは設定来素晴らしいパフォーマンスを発揮していました。そして異常なスピードで純資産総額を増やしました。その成功に続けと、レバレッジを利用した類似商品が濫造されました。が、株価暴落開始後は苦戦しています。パフォーマンスが類似商品に劣後し、人気が頭打ちになっています。

グローバル3倍3分法ファンドの仕組み

次の図は目論見書からの引用です。3分法とは株式、REIT(不動産)、債券の3つの資産に投資することを指しています。これは普通にあります。それを、先物取引などを使って純資産総額の3倍相当額で運用するのが3倍3分法です。

グローバル3倍3分法ファンドの仕組み1

値動きのイメージも説明されていますが、全く理解できません。

グローバル3倍3分法ファンドの仕組み2

隔月分配型は不要

グローバル3倍3分法ファンドは既存のインデックスファンドよりも高いリターンを狙う商品です。そういう性格で組成されるとたいてい「ボッタクリ感の強い」ものになりがちですが、これはそうでもありません。

  • 信託報酬は良心的と言える税込み0.484%です。
  • 販売手数料は税込み3.3%を上限にして販売会社が設定可能にしてあります。楽天証券では無料です。窓口で販売している金融機関だと無料ではないかも知れません。
  • 信託財産留保額はありません。

が、グローバル3倍3分法ファンドには1年決算型(これは普通)と隔月分配型があり、後者の存在そのものがこのファンドの印象を悪くしています。わずかでも金融リテラシーがあれば隔月分配型を避けるはずなので、それを設定した意図を想像すると、どういうアプローチで販売しようとしているのか、昔のままの不誠実な姿勢が透けて見えるようでがっかりです。隔月分配型など設定しないで、「新しい試み」で勝負すれば良いと思うのです。

償還まで10年ありません

信託期間は2028年9月21日までです。あと8年4ヶ月しかありません。どうしてそんな短期間の設定としたのか分かりませんが、信託期間が終わればその時の基準価額で売却されてしまいます。もし含み損なら損失が確定します。含み損だけど我慢してガチホして世界経済の復調を待つということができません。

このことだけで、僕は投資する気になれません。これだけ高い人気を獲得したのですから、受益者本位で信託期間を無期限に変更して欲しいものです。たとえばiFree NEXT FANG+インデックスがそうしたように。

異常だった人気も頭打ちに

次は設定来の総口数の推移です。1年決算型は3,739億円、隔月分配型は1,999億円もあります。(うち1.5億円は運用会社による初期投資です。)

設定されてから5ヶ月間は全く売れませんでした。2019年3月中旬からの急激な立ち上がりがすごいです。

設定来の総口数の推移グラフ

隔月分配型の人気は1年決算型ほどではないですが、これだけ売れていることに不安を覚えてしまいます。

でも、今回の株価暴落開始後に頭打ちになってしまいました。僕が想像する理由は次の2つです。

  • リスクについて良く考えずに、儲かると言われて買った受益者が相当数いた。
  • 冴えないパフォーマンスを嫌気した。

暴落したグローバル3倍3分法ファンド

2月21日に始まった株価暴落では、あらゆる資産クラスが値下がりしました。それはレバレッジを利用しているグローバル3倍3分法ファンドにとって想定外だったようで、基準価額は激しく暴落しました。

次はグローバル3倍3分法ファンドの設定来の基準価額の推移です。

グローバル3倍3分法ファンドの設定来の基準価額の推移グラフ

次はグローバル3倍3分法ファンドの設定来の、最高値からの下落率をプロットしたものです。

2018年年末のブラック・クリスマスでの下落率がマイナス10%未満だったのに、今回の暴落ではマイナス37.1%です。株式100%インデックスファンドよりも大きく下げました。

対抗商品とのリターン比較

この記事で取り上げる、グローバル3倍3分法ファンドの対抗商品で最も遅く設定された、米国分散投資戦略ファンドの設定日から2020年5月8日まででリターン比較を行います。グラフの右端に余白を追加しています。

赤のラインがグローバル3倍3分法ファンド、緑のラインが比較対象です。青のラインはリターン差で、グローバル3倍3分法ファンドー比較対象です。青のラインがプラス圏内にあれば、グローバル3倍3分法ファンドの方がリターンが高いということになりますが、残念ながらその逆の結果です。

グローバル3倍3分法ファンドとウルトラバランス世界株式のリターン比較

グローバル3倍3分法ファンドとウルトラバランス世界株式のリターン比較グラフ

以前、ウルトラバランス世界株式のリターンはグローバル3倍3分法ファンドに劣後していたのですが、最近は逆転しています。明らかにウルトラバランス世界株式の方が良いです。

グローバル3倍3分法ファンドと米国3倍4資産リスク分散のリターン比較

米国3倍4資産リスク分散の僕の印象は悪いです。高額な信託報酬(税込み1.1275%)、高い分配指向、短い信託期間(10年)は典型的なボッタクリ商品を類推させます。次は、年2回決算型との比較です。

グローバル3倍3分法ファンドと米国3倍4資産リスク分散のリターン比較グラフ

(それでも)明らかに米国3倍4資産リスク分散の方が良いです。

グローバル3倍3分法ファンドと楽天米国レバレッジバランスのリターン比較

僕は、今回取り上げた商品の中では、楽天米国レバレッジバランスがいちばん好感が持てます。

グローバル3倍3分法ファンドと楽天米国レバレッジバランスのリターン比較グラフ

明らかに楽天米国レバレッジバランスの方が良いです。

グローバル3倍3分法ファンドと米国分散投資戦略ファンドのリターン比較

米国分散投資戦略ファンドには、1、3、5倍コースの3商品があります。米国分散投資戦略ファンドは信託報酬が高い(税込み1.3222%から1.8821%)、信託期間が10年しかないと印象悪いです。

1倍コースはリターンが低すぎるので無視します。また、縦軸のスケールを変えています。

次は3倍コースとの比較です。マジですか?ってくらい株価暴落からの回復が速いです。

グローバル3倍3分法ファンドと米国分散投資戦略ファンド(3倍コース)のリターン比較

次は5倍コースとの比較です。さらに株価暴落からの回復が速いです。

グローバル3倍3分法ファンドと米国分散投資戦略ファンド(5倍コース)のリターン比較グラフ

米国分散投資戦略ファンドが見せた、株価暴落からの驚異的な回復力の理由を次の記事に書きました。

理由が分かると、この比較結果は気にしないでいいと思ってしまいます。

グローバル3倍3分法ファンドはこの苦境を乗り越えられるのか

グローバル3倍3分法ファンドがどうやって多額の資金を集めたのかは分かりませんが、どんなリスクがあるか理解することなく、大きな利益が得られそうだからという理由で投資した人が多数いたのではないでしょうか。今回の株価暴落はグローバル3倍3分法ファンドの組成にとって都合の悪いものだったようですが、この苦境を乗り越えて再度資金流入をプラスに変えていくことができるでしょうか。

おすすめの関連記事

-バランスファンド

© 2020 個人事業主が節税してインデックス投資 Powered by STINGER