米国株式

楽天レバレッジNASDAQ-100の運用コストと評価

ある組成のファンドが高い人気を集めると、それを真似した商品が他社から登場するのは、この業界で普通に見られる光景です。NASDAQ100指数に2倍のレバレッジをかけたiFreeレバレッジNASDAQ100が大人気ですが、2匹目のどじょうを狙って登場したのが楽天レバレッジNASDAQ-100です。

同じ指数に連動するインデックスファンドでも、後発組ながら時代にあった信託報酬設定と時流に乗ることで圧倒的な人気を獲得することがあります。楽天レバレッジNASDAQ-100は先行するiFreeレバレッジNASDAQ100の人気に迫ることができるでしょうか。

更新情報

参照しているデータを最新版に更新しています。

楽天レバレッジNASDAQ-100

2021年11月17日に税抜き信託報酬0.7%で設定されました。iFreeレバレッジNASDAQ100が0.9%なので、0.2%ポイント安いです。そのため楽天レバレッジNASDAQ-100に飛びついた人もいるようですが、運用の中身が違います

  • 連動債券と株価指数先物取引を組み合わせて運用します。その比率は流動性を考慮して決められます。
  • 主に連動債券部分でNASDAQ100指数の日々の値動きの2倍を目指し、資産の全額を振り向けなかった分は株価指数先物取引でカバーしているようです。
  • 円で為替ヘッジされます。
  • 購入時手数料税抜き3.0%が設定可能で、証券会社を選ばないとしれっと徴収されますが、現在は楽天証券でしか販売されていないので無料です。

もちろん、つみたてNISA適格ではありません。

設定されてから5ヶ月経過し、それなりに売れていますが、販売会社は楽天証券だけです。

レバレッジをかける仕組み

次はiFreeレバレッジNASDAQ100の組成内容です。

iFreeレバレッジNASDAQ100の組成内容

引用:iFreeレバレッジNASDAQ100の目論見書

iFreeレバレッジNASDAQ100は、E-mini NASDAQ100種株価指数先物取引(図の右上)を利用することで2倍のレバレッジをかけています。

次は楽天レバレッジNASDAQ-100の組成内容です。

引用:楽天レバレッジNASDAQ-100の目論見書

楽天レバレッジNASDAQ-100は、円建ての連動債券と株価指数先物取引を組み合わせて2倍のレバレッジをかけます。連動債券を運用しているのはハープ・イシュアー・ピーエルシーで、その管理費が別途必要です。残念ながら連動債券の管理費は公開されていませんが、これが0.2%程度なら楽天レバレッジNASDAQ-100の実質的な運営管理費用はiFreeレバレッジNASDAQ100と変わらないことになります。

僕は組成内容がシンプルなiFreeレバレッジNASDAQ100の方が好感が持てます。NASDAQ100指数にレバレッジをかける場合、E-mini NASDAQ100種株価指数先物取引が利用できるので、わざわざ別途管理費が必要な連動債券を売買する必要性は低いと思うのです。楽天レバレッジNASDAQ-100は株価指数先物取引も使っているので、100%それで運用すればいいと思うのですが、どうしてこんなめんどくさい組成内容にしたのでしょうか。

信託報酬の内訳

信託報酬はたいてい3種類から構成されます。その内訳は、受益者には直接関係しないのですが、その商品の狙いが見えることもあります。

次はiFreeレバレッジNASDAQ100と楽天レバレッジNASDAQ-100の比較です。

iFreeレバレッジNASDAQ100と楽天レバレッジNASDAQ-100の信託報酬の内訳表

この場合受託会社は信託銀行で、まあこの程度の比率です。運用会社は大和アセットマネジメント、楽天投信投資顧問のことです。販売会社は楽天証券とかSBI証券ですね。

通常は、iFreeレバレッジNASDAQ100のように、運用会社と販売会社の取り分に大きな差がないことが多いのですが、楽天レバレッジNASDAQ-100は販売会社の比率を大きくしています。販売会社の取り分をiFreeレバレッジNASDAQ100と同率にしたかったのかも知れないですね。

愛称は「レバナス」で楽天レバナス

iFreeレバレッジNASDAQ100は、自然発生的に「レバナス」と呼ばれるようになりましたが、その呼称は大和アセットマネジメントによって押さえられていなかったようです。楽天投信投資顧問は公式に、楽天レバレッジNASDAQ-100の愛称を「レバナス」としています。なかなか強烈です。

巷ではiFreeレバレッジNASDAQ100と区別して、楽天レバレッジNASDAQ-100を「楽天レバナス」と表現するようです。

iFreeレバレッジNASDAQ100より休場日が少ない

楽天レバレッジNASDAQ-100のファンド休場日は一般の商品と比べて特段多いということはなさそうです。が、iFreeレバレッジNASDAQ100を含む、大和アセットマネジメントが運用している主なレバレッジ型ファンドは、ファンド休場日が多いです。次の条件に一致する日はファンド休場日になっているようです。

  • 祭日の直前の営業日(このパターンは確認済み)
  • 翌営業日が投資対象資産の取引所の休場日(このパターンは未確認)

この商品に興味のある人だと、休場日が少ない方がうれしいかも知れません。

運用コスト

第一期運用報告書が公開される2022年12月頃までは、正式な運用コストは不明です。が、ごまかしの効かない基準価額データを比較することで、iFreeレバレッジNASDAQ100と比べてどうなのかは分かります。

運用の実際

次は月次報告書から作成した、資産配分一覧です。

月次報告書から作成した、資産配分一覧表

円建債券(連動債券)に資産の100%投資するとそれでレバレッジ2倍の200%になりますが、これまで80%程度です。投資しなかった残りは短期金融資産等に該当しますが、これを証拠金として株価指数先物取引(公開されていませんがおそらくE-mini NASDAQ100)を行っています。その合計は当初200%を超えていました(つまりレバレッジが2倍を超えていました)が、最近はほぼ200%になっています。

iFreeレバレッジNASDAQ100とのリターン比較

次は運用が安定していることが分かっているiFreeレバレッジNASDAQ100とのリターン比較です。楽天レバレッジNASDAQ-100の設定直後を避けた、2021年12月1日から2022年4月15日までです。

楽天レバレッジNASDAQ-100とiFreeレバレッジNASDAQ100のリターン比較グラフ

青のラインはリターン差で、iFreeレバレッジNASDAQ100ー楽天レバレッジNASDAQ-100です。右肩上がりで推移しているので、iFreeレバレッジNASDAQ100の方が低コストです。え?期待値と真逆ですね。

楽天レバレッジNASDAQ-100の方が低コストだと考えて飛びついた方、あてが外れましたね。

0.2%ポイントのトータルコスト差

楽天レバレッジNASDAQ-100の方が信託報酬が0.2%ポイントも安い、約2割も安いのは大きいと言って飛びついた人もいるようです。それは連動債券の管理費を無視していますし、運用はピンきりなのでそんなに単純な話ではありません。

次はiFreeレバレッジNASDAQ100の運用コストを年率0.2%ポイント調整することで、トータルコスト差0.2%ポイントを視覚化したものです。グラフのスケールは同じです。

iFreeレバレッジNASDAQ100の運用コストを年率0.2%ポイント調整したものとの比較グラフ

わずかですが、青のラインは右肩下がりで推移しています。こうなるのが(楽天レバレッジNASDAQ-100に飛びついた人の)期待値ですが、運用の実態が大きく違うこともあり、実際どちらが低コストなのかはある程度長い期間比較してみないと分からないです。新設された投資信託には飛びつかない方がいいです。

売れ行きは

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産価額は245億円です。新規設定されたファンドに、わずか5ヶ月でこれだけの資金が集まるのですからレバナス人気の高さが分かります。

楽天レバレッジNASDAQ-100の設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

左端が約50億円から始まっていますが、これは事前募集期間に集まった資金+運用側の初期投資だと思われます。ラインの形状は頭打ち傾向に見えますが、それは最近の株価の動向を反映しているためではないでしょうか。

次は大先輩であるiFreeレバレッジNASDAQ100もプロットしたものです。

iFreeレバレッジNASDAQ100もプロットしたグラフ

緑のラインがiFreeレバレッジNASDAQ100です。iFreeレバレッジNASDAQ100の方が勢いがあります。楽天レバレッジNASDAQ-100は設定直後は良かったですが、頭打ちの度合いはiFreeレバレッジNASDAQ100より強いです。

次は楽天レバレッジNASDAQ-100の設定来の資金流出入を比較したものです。

楽天レバレッジNASDAQ-100の設定来の資金流出入を比較したグラフ

どちらも頭打ち傾向ですが、緑のラインのiFreeレバレッジNASDAQ100の方が良く売れていることが分かります。

評価:様子見がいいでしょう

楽天レバレッジNASDAQ-100の信託報酬はiFreeレバレッジNASDAQ100より0.2%ポイント安いものの、連動債券の経費率(数値は非公開)が余計にかかることを考えると、トータルコストは変わらないかも知れません。そしてごまかしの効かない基準価額データの比較結果は、iFreeレバレッジNASDAQ100の方が低コストであることを示しています。これが現実です。現状で楽天レバレッジNASDAQ-100に飛びつくのは得策とは言えないでしょう。様子見がいいですね。

また、楽天レバレッジNASDAQ-100は運用形態がiFreeレバレッジNASDAQ100より複雑で、僕の印象は悪いです。iFreeレバレッジNASDAQ100のシンプルな組成内容の方が好感が持てます。

おすすめの関連記事

-米国株式

© 2022 河童のインデックス投資 Powered by STINGER