米国株式

楽天全米株式(楽天VTI)とVTIのどちらがおすすめですか?

楽天全米株式の圧倒的な利便性、配当金の再投資効率の高さを考慮すると、楽天全米株式の運用コストの高さは負担する価値があると思います。え、楽天全米株式の運用コストって高いのですか?インデックスファンドとしては超ローコストですが、VTIの経費率の低さにはかないません。

では楽天全米株式とVTIのどちらがおすすめなのか、その判断材料となる現実的なシミュレーションをお見せします。

楽天全米株式(楽天VTI)

米国株式に投資するインデックスファンドは、楽天全米株式登場前からありましたが、不人気でした。潮目を変えたのは、あのVTI(バンガード社のETF)に日本円で、しかもインデックスファンドとして投資できるようにした、楽天全米株式でした。VTIを買うだけのインデックスファンドなので、楽天VTIとも呼ばれます。

VTIの経費率を除いた税抜き信託報酬は0.12%と、驚異的な低コストで高い人気の獲得に成功しました。

楽天全米株式の現在のトータルコストは0.209%です。運用は安定していますし、100円から投資可能、つみたてNISA適格で、iDeCoでも買えます。あの憧れのVTIに投資するのに、これ以上の商品があるでしょうか。

VTI

ベンチマークはCRSP USトータル・マーケット・インデックスで、全米の株式3,600銘柄に投資します。経費率はわずか0.03%です。でも米国籍ETFなので、多くの制約があります。

  • 一株の取引価格の倍数でしか買えません。現在一株18,000円程度です。予算が5万円の場合、2株買えて余りが14,000円程度となります。
  • VTIを買うには円をドルに替える必要があります。その際の為替手数料は、一般的には1ドルあたり25銭です。SBI証券と住信SBIネット銀行のあわせ技で4銭です。(1銭は0.01円です。)
  • VTIは一株単位でしか買えませんから、配当金の再投資も一株単位でしかできません。また、配当金は国内課税されてしまいます。
  • 証券会社を選べば購入時手数料はゼロですが、売却時には手数料がかかります。また、売却後にドルを円に替えるのに為替手数料がかかります。
  • つみたてNISA、iDeCoでは買えません。

めんどくさいことがたくさんありますね。それでも、経費率0.03%は魅力的です。

楽天全米株式のメリット

楽天全米株式には、VTIに自分で投資する場合に比べて多くのメリットがあります。そんなことはもういいやって方は、ここまで飛ばして下さい。

なお、特定口座で売買する場合の話です。

積み立て投資における機会損失がない

毎月予算5万円で積み立て投資をしたいとします。楽天全米株式なら5万円ぴったりに、無駄なく買うことができます。VTIは変動する取引価格の倍数でしか買えませんから、予算に対して必ず端数が出ます。その端数は翌月に回して、翌月に5万円+端数でVTIを買うとしても、毎月いくらかの端数が発生します。

VTIの取引価格は右肩上がりで成長することが期待されているため、基本、早く資金を投資した方が有利です。そのため、端数の発生は機会損失となります。

100円から購入できる

これも大きなメリットです。VTIは約18,000円の倍数でないと買えません。100円以上1円単位で買えるのは、ポイントの活用でも重宝します。(これができる証券会社は限られます。)

売買時に余計な手数料が発生しない

楽天全米株式は、売買そのものでは手数料が発生しません。あらゆる手数料は信託報酬に含まれており、毎営業日純資産から天引きされています。

VTIを買うには為替手数料が必要ですし、売却時に手数料がかかります。

配当金の再投資効率が高い

VTIを保有すると年4回、配当金が出ます。配当金は米国で10%、国内で20.315%課税されてから、ドルで口座に振り込まれます。資産形成のためには配当金を再投資するのが良いわけですが、VTIは取引価格の倍数でしか買えないため、配当金の再投資は簡単ではありません。

VTIの保有額が600万円から800万円程度あれば、配当金が出る都度一株再投資できると思われます。保有額が少ないうちは、配当金が出ても再投資できず、次回の積み立て時の予算に追加することになります。

楽天全米株式は、原資産であるVTIから得た配当金を、国内課税しないで再投資しています。課税の繰り延べをしているのです。配当金の再投資効率はほぼ100%です。

楽天全米株式のデメリット

楽天全米株式に対してVTIが有利なのは、保有コストの低さです。

楽天全米株式は保有コストが高い

VTIの保有コスト(売買を伴わない、ホールドしている時にもかかるコスト)は経費率0.03%だけです。楽天全米株式は0.209%です。その差である0.179%ポイントだけ、楽天全米株式はVTIに対してリターンが劣化します。

保有コストは資産全体にかかるため、資産額が大きくなるにしたがって(比較した場合)重く感じるはずです。

現実的なシミュレーション

楽天全米株式とVTIのどちらがおすすめか、その判断のために現実的なシミュレーションをしました。

  • 楽天全米株式は、月額予算が5万円なら、毎月初に5万円ぴったり買います。普通の積立投資です。
  • VTIは、月額予算が5万円なら、毎月初にそれをドルに替えて、VTIを買えるだけ買います。端数はドルのまま口座に残して、翌月に繰延べます。翌月は、前月の端数と新規資金の合計で、VTIを買えるだけ買います。端数は翌月に繰り延べます。
  • VTIから配当金が得られたらドル口座に入れ、端数と合わせた結果VTIを買えるならすぐに買います。すぐに買えない場合は、翌月月初の購入資金に加算されます。
  • VTIの期待リターンを年率6%とします。
  • VTIの配当金実績から、米国での10%課税後の配当金の利率を年率1.72%とします。
  • 1ドルは107円固定とします。
  • 楽天全米株式の運用コスト(VTIの経費率を除きます)を0.18%とします。
  • SBI証券を想定して、為替手数料は1ドルあたり4銭、買付手数料はゼロとします。

なお、VTIの税引き後評価額を円で手にするには、売付け手数料と為替手数料が必要です。これは売り方で大きく変わるため、記事中では無視しています。

比較期間3年間

楽天全米株式の運用コストの重さを痛感する結果になりました。

比較期間3年間のグラフ

青のラインは税引き後評価額の差です。税引き後評価額の求め方はこうです。

  • 楽天全米株式は、含み益に譲渡税20.315%が課税された残りです。
  • VTIは、含み益(=保有株数✕株価ー元本)に譲渡税を課税した残り+ドルで口座に残っている端数です。

青のラインが左端で大きく暴れるのは、(計算式の)分母が小さいためで、正常です。安定した後は、最初はプラスですが、傾向は右肩下がりです。

青のラインにある氷柱(つらら)のようなものは、配当金が出たタイミングで再投資できたことで生じたものです。想定通りです。

このリターン差を生み出している主な要因です。

  • 運用コストは楽天全米株式の方が高いです。
  • VTIは買い付け時に為替手数料が必要です。
  • 楽天全米株式は毎月初5万円をきっちりリスク資産に投じることで、その全額がキャピタルゲインの恩恵を受けます。
  • VTIは取引価格の整数倍でしか買えないので、端数が翌月に繰り延べされます。その端数はキャピタルゲインの恩恵を受けません。これが機会損失です。

僕は、この機会損失はもっと大きいと思っていたのですが、2年程度で逆転されてしまいました。

比較期間10年間

10年間で0.33%ポイントの差が生まれました。明らかにVTIの方が有利です。

比較期間10年間のグラフ

元本600万円で税引き後評価額の差が27,809円です。そう言われると、楽天全米株式の運用コストが大きいと思ってしまいますよね。でも、それは楽天全米株式が提供してくれる圧倒的な利便性を享受するためのコストなのです。

楽天証券の場合

楽天証券の場合、為替手数料は25銭です。為替手数料がバカにならないことが分かります。

比較期間10年間のグラフ、楽天証券の場合

VTIに逆転されるまでの年数が伸びました。

楽天証券のサービスを活用した場合

楽天証券は大盤振る舞いのサービスを継続中です。

楽天カード決済で積み立て

月額5万円までですが、投資信託の積立投資を楽天カードで決済することで、1%の楽天スーパーポイントが付与される楽天証券のサービスは、ありえないレベルの大盤振る舞いです。これで付与されるポイントを再投資すると、利益率が1%改善されます。

シミュレーションの条件を次のように変更します。

  • 楽天全米株式を楽天カード決済で毎月5万円積み立てます。
  • 楽天全米株式を証券口座から毎月500円積み立てます。

VTIはSBI証券で買うものとします。

年率0.048%のポイント還元率

楽天証券でハッピープログラムを選択している場合、どんなにローコストの投資信託であっても、毎月の保有額10万円ごとに楽天スーパーポイントが4ポイントもらえます。10万円未満の端数は捨てられますが、それを無視すると年率0.048%のポイント還元率です。

シミュレーション条件を次のように変更します。

  • 楽天全米株式の保有資産額に応じて付与されるポイントを、付与される月に先取りで積立投資します。実際には毎月変化するポイント分ぴったりには再投資できませんが、シミュレーションではそれを正しく行います。

楽天カード決済で付与されるポイントのみ再投資

次は楽天カード決済で付与されるポイントだけを再投資した場合です。

楽天カード決済で付与されるポイントだけを再投資した場合のグラフ

青のラインが上方向にシフトしました。比較期間10年ではVTIに負けなくなりました。

年率0.048%のポイントのみ再投資

次は保有資産額に応じて付与されるポイントのみ再投資した場合です。

保有資産額に応じて付与されるポイントのみ再投資した場合のグラフ

依然VTIの方が有利ですが、リターン差が小さくなりました。年率0.048%のポイントの再投資だってバカにならないってことです。

2つの合せ技

次は楽天カード決済で付与されるポイントと、保有資産額に応じて付与されるポイントの両方を再投資した場合です。

楽天カード決済で付与されるポイントと、保有資産額に応じて付与されるポイントの両方を再投資した場合のグラフ

凄いですね。

比較期間を20年に拡大しました。

比較期間を20年に拡大したグラフ

VTIに負けません。

結論:普通に買うとVTIの方が有利です

利便性を無視すると、長期投資で普通に買うならVTIの方が有利です。それは楽天全米株式の運用コストが超ローコストと言っても、VTIの経費率の低さにはかなわないからです。

でも僕は楽天全米株式がもたらす圧倒的な利便性を考慮すると、その運用コストは負担する価値が十分あると思います。僕自身は100円も買っていませんけどね。

そして、いつまで続くか分かりませんが、楽天証券が実施中の大盤振る舞いのサービスを活用すると、VTIに負けなくなることが分かりました。特に楽天カード決済による投信購入は、積み立て額が5万円の時に最も有利となるため、シミュレーションをインチキくさいと感じた人もいることでしょう。そのような方は楽天証券のサービスのことは無視して判断して下さい。

おすすめの関連記事

-米国株式

© 2020 個人事業主が節税してインデックス投資 Powered by STINGER