NISA

【全力解説】インデックス投資はつみたてNISAから始めるのが良い理由

インデックス投資で資産形成したいけど、何から始めればいいのか分からない、そういう人は少なくないはずです。僕は2014年に始めましたが、全く何も分からなかったので、Fund of the Year 2013に上位入賞していたものから2つ選びました。その後、自分の好みが分かるようになって、他の商品に乗り換えました。

投資可能予算が年間40万円以下なら、迷わず、つみたてNISAから始めるのが良いです。他の選択肢を提示して自社製品・サービスを売り込む媒体もたくさんありますが、無視した方がいいです。それらの目的はみなさんの資産形成を助けることではなくて、売上を増やすことです。

更新情報

iDeCo口座の評価記事へのリンクを追加しました。

つみたてNISAは少額非課税制度

つみたてNISAは「少額非課税制度」で、年間40万円の非課税枠と20年間の非課税期間をセットにしたものが、毎年付与されます。現行制度では非課税枠が付与されるのは2037年までとなっています。

たとえば2021年にスリム全世界株式(オール・カントリー)を毎月33,333円積み立てたとします。年間で399,996円です。これを2021年を含めて最長20年間、非課税口座で保有できます。非課税というのは、利益に課税されないことを意味します。

非課税口座でない場合、通常、特定口座(源泉徴収あり)を利用しますが、その場合は利益に20.315%の譲渡税がかかります。利益の2割が課税により減るということです。オール・カントリーの場合、運が悪くなければ20年後の評価額は元本の2倍を超えていてもおかしくありません。利益率100%です。特定口座だと手に入る利益は80%に減ります。

利益を全額非課税で手にできるか、課税により2割減るかはむちゃくちゃ大きな違いです。せっかく金融庁が一般人の資産形成のために用意してくれた少額非課税制度ですから、最大限有効活用したいものです。

一般NISAよりつみたてNISA

つみたてNISAと一般NISAは年度ごとに変更可能ですが、同一年度はどちらか片方しか選択できません。年間の投資可能予算が40万円を大きく超えているなら、または、年齢が高くて投資期間20年は長過ぎるという場合は、一般NISAも選択肢になります。

でも、一般NISAには受益者保護の観点が欠落しているので、商品選択時に注意が必要です。自信がないなら、つみたてNISA一択です。(次年度から一般NISAに変更もできます。)

つみたてNISAが優れている点

つみたてNISAは、「俗に地雷と呼ばれるような商品が排除されている」と表現されます。投資信託は6,000本以上ありますが、高コストのボッタクリ商品や、長期投資による資産形成に向かない商品が多数存在します。つみたてNISAは、厳しい適格要件を設けることで、そういう不適切な商品を制度として排除しています。

金融機関は古くから、チャンスさえあれば高い手数料をボッタクろうとしてきました。そのことへの怒りが、つみたてNISAの厳しい認定要件につながったと思っています。

信託期間が無期限か20年以上

人気の高い商品であっても、信託期間が10年しかないものは普通に存在します。つみたてNISAは長期投資を目的として設計されているので、最低でも20年以上の信託期間を求めたのは当然です。

分配頻度が毎月でないこと

毎月分配型という、資産形成に向かないクソ商品を排除するために設けられた制約です。でもこれだと隔月決算型は適格となってしまいます。僕としてはもっと厳しくして欲しかったです。

実際には非課税枠の制約があるため、頻度はともかく分配はものすごく非効率です。配当金はファンド内で再投資し、無分配を貫くのが理想ですが、それを適格要件にできないことは理解しています。

連動するベンチマークが決められている

つみたてNISA適格商品は、指定インデックス投資信託と、それ以外に分かれます。(ETFもありますが、この記事では無視します。)指定インデックス投資信託は、つみたてNISAが指定しているインデックス(ベンチマーク、指数)に連動する資産のみで構成されなければなりません。

この大きな制約により、(長期投資による)資産形成に向かない商品の多くを排除しています。おかしなものを適格にできないのです。

信託報酬の上限が決まっている

税抜き信託報酬の上限が決められており、そもそも話にならないボッタクリ商品が排除されています。

  • 国内資産を対象するもの:0.5%以下
  • 海外資産を対象するもの:0.75%以下

現在の感覚だと、この条件はかなり緩く感じますね。でも2018年のスタート当時としては、いい落とし所だったと思います。

ノーロードであること

現在ではノーロード(販売手数料ゼロ)が当たり前ですが、金融機関を選ばないとしれっと徴収される商品もたくさんあります。金融庁がノーロードを適格要件にしたのは素晴らしい判断でした。

株式に投資しないとダメ

さらに、主たる投資対象資産に株式を含んでいなければなりません。債券ファンドは対象外です。これも資産形成を重視した結果ですね。リスクを取って長期間保有し、資産形成につなげて欲しい、制度設計に関わった人達の気持ちを感じます。

アクティブファンド枠の条件はもっと厳しい

指定インデックス投資信託以外は、アクティブファンド枠とも呼ばれますが、インデックスファンドも含まれます。たとえばNYダウ指数はつみたてNISAの指定インデックスではないため、eMAXIS NYダウはアクティブファンド枠で適格となっています。

アクティブファンド枠なら指数は自由ですし、指数に連動しない「アクティブファンド」もOKです。ただし、かなり厳しい条件が課せられています。

  • 設定から5年以上経過していること。
  • 純資産総額が50億円以上あること。
  • 信託期間のうち、資金流入超の回数が2/3以上あること。

また、僕はかなり緩く感じますが、税抜き信託報酬の上限はこうなっています。

  • 国内資産を対象するもの:1%以下
  • 海外資産を対象するもの:1.5%以下

つみたてNISAを選択するだけで避けられる選択肢

つみたてNISAを選択するだけで、この記事が対象としている読者層が避けられる(言ってしまえば好ましくない)選択肢がたくさんあります。

海外ETF

VT、VTI、VOOなどの海外ETFに関する情報も巷に溢れています。が、それらを検討するのは、つみたてNISAの非課税枠を満額埋められてからで遅くはありません。

レバレッジ型商品

グローバル3倍3分法ファンド登場以降、レバレッジ型バランスファンドが多数組成されました。が、その多くは旬を過ぎた印象です。

iFreeシリーズはS&P500指数、NASDAQ100指数、NASDAQ Q-50指数、FANG+指数の2倍ブル型商品を運用しています。

僕はレバレッジ型ファンドは長期投資に不向きだと思っており、つみたてNISAを選択するだけでそれらを避けられることを評価しています。

WealthNaviのおまかせNISA

つみたてNISAを選択するとNISAは選択できません。これにより、ダメ商品「WealthNaviのおまかせNISA」を自動的に避けることができます。

まぎらわしいシリーズに注意

つみたてNISAでは厳しい認定要件をパスしたものだけが適格となっていますが、同じベンチマークに連動するのに信託報酬が異なる商品が混在しているものがあります。

  • eMAXISシリーズ、スリムシリーズ、つみたててんとうシリーズ
  • SMTシリーズ、i-SMTシリーズ、My SMTシリーズ
  • 農中<パートナーズ>シリーズ、NZAMベータシリーズ
  • ニッセイアセットマネジメントの一部商品

ベンチマークが同じなら負うリスクと期待リターンは同じですが、運用コストが高いとそれだけリターンが減少します。そのため(同じ運用会社の商品なら)より信託報酬が安いものを選択すべきです。(正しくは、よりトータルコストが安いものを、です。)

特にeMAXISシリーズとスリムシリーズを間違えないように注意が必要です。

できれば主要ネット証券で口座開設を

金融機関の窓口であっても、つみたてNISAを始めないままでいるよりは、はるかにいいですが、できれば最初から主要ネット証券でつみたてNISA口座を開設することをおすすめします。商品の選択肢が豊富ですし、不要な営業の電話がかかってくるリスクを減らせます。クレジットカード決済、ポイントサービスも馬鹿にできません。

また、セゾン投信やレオス・キャピタルワークスなどの独立系運用会社でつみたてNISA口座を開設するのは、後悔する可能性が高いのでやめた方がいいですね。(個人の感想です。)

あれやこれやで、自分にとって有利な選択肢の存在を知っているかどうかの違いは大きいです。

iDeCoよりつみたてNISA優先で

つみたてNISAよりiDeCoを優先すべきという人もいますが、iDeCoには制度設計上使いにくい、受益者にとって大きな制約があるため、僕はつみたてNISAを優先すべきとの立場です。

iDeCoを利用する場合はそのデメリットを正しく理解した上で、出口戦略も考えてからがいいです。でも、上手に活用できれば資産形成上強力なツールになるのは確かです。

そのiDeCo口座もピンキリです。

iDeCo口座の開設後に、そこではお目当ての商品が扱われていないことが分かった時のショックは大きいです。iDeCo口座は移管に手間と時間がかかるので、最初からお目当ての商品が扱われているところを選ぶのが正解です。いきなりそう言われても困るって方は、松井証券一択です。

12で割り切れない謎

つみたてNISAの年間投資上限金額が40万円で、12で割り切れず、毎月の投資可能上限が33,333円と半端です。これは 当初金融庁は60万円×非課税期間10年間の制度設計としていたのを、議論の結果40万円×非課税期間20年に変更して「落とし所」としたから(セゾン投信の中野晴啓の言葉)です。

ツイッターで教えていただいたのですが、こういう話もあるようです。

  • 非課税枠60万円×非課税期間10年
  • 非課税枠40万円×非課税期間20年

この2つなら後者の方が資産形成に向いていて、つみたてNISA制度としてより望ましいと言えます。より良い制度設計に尽力された人たちには感謝しかありません。

おまけ:金融庁に望むこと

次は僕の願望です。

  • ある時期以降に新規で認定を受ける場合の、信託報酬の上限を引き下げて欲しいです。認定済みの商品に引き下げを強要するものではありません。
  • 対象指数は慎重な判断のうえで、受益者の利益に貢献する可能性が高いものは追加できるようにして欲しいです。
  • 株式100%が良くてリート100%がダメなのには無理を感じます。リートのみを認めてもいいのではないでしょうか。
  • 目論見書でうたっているベンチマークとは無関係なETFを組み合わせただけの商品が存在します。商品の中身とベンチマークが違うのは、つみたてNISAの認定を受けるためだと思われます。そのような、受益者に有利誤認させかねない行為が今後行われないように、指定ベンチマークへの対応を厳格化して欲しいです。
  • レバレッジ型ファンドは対象外として欲しいです。

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