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【満期償還済み】SBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベアの運用コストと評価

FANG+指数が暴落したら大儲けできるかも知れない商品だったSBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベアは、予定通り満期償還されました。信託期間はたったの2年でした。

この商品は受益者にほとんど利益を提供することなくその短い一生を終えました。

更新情報

参照しているデータを最新版に更新しています。もうこの記事を更新することはありません。

SBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベア

(後日分かりましたが、コロナショックによる株価暴落から回復基調になった)2020年4月14日に税抜き信託報酬0.83%で設定されました。FANG+指数の3倍ベア型ファンドです。つまりFANG+指数の下落を期待して投資する商品です。

  • 運用会社はSBIアセットマネジメントです。
  • 販売しているのはSBI証券、auカブコム証券、あかつき証券だけです。楽天証券では扱われていません。
  • 証券会社を選ばないと、購入時手数料税抜き3.0%が徴収されます。
  • 円で為替ヘッジされます。
  • 投資対象であるユーロ円債の管理手数料0.08%が別途かかります。
  • 信託期間がたったの2年しかなく、2022年4月21日に償還されました。
  • もちろん、つみたてNISA適格ではありません。(でもNISA対象です。)
  • SBIアセットマネジメントは、この商品のブル版を扱っていません。

信託報酬は、この商品に投資したいと思う人なら許せる(気にならない)水準だと思います。でも信託期間がたったの2年しかないのはひどいです。ベア型だから短期でギャンブルしましょうね、ということだと思います。

組成内容

3倍ベア型を実現するのに、米国次世代テクノロジー関連銘柄・インバース型3倍レバレッジ連動債(ユーロ円債)に投資します。

SBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベアのファンドの仕組み

引用:目論見書

ファンドの仕組みは、iFreeレバレッジFANG+(こちらはFANG+指数の2倍ブル型)に良く似ています。

運用コスト

次は運用報告書から計算したトータルコストです。税込み信託報酬にはユーロ円債の管理手数料0.08%を加算しています。

運用報告書から計算したトータルコスト表

隠れコストのあまりの高さに絶句しました。2%を超えています。トータルコストは3.1%もします。

次は隠れコストの明細です。

隠れコストの明細表

投資対象が債券なので、売買手数料と有価証券取引税が計上されないのは普通(しなくて良いルール)です。

その他費用があり得ない高さです。その他費用の「その他」は印刷費用です。純資産総額が少ないことが影響しているかも知れませんが、保管費用も監査費用も高すぎます。

FNGDとのリターン比較

FNGDは2018年1月に設定された、NYSE FANG+指数の3倍ベア型ETN(米国籍)です。ETNなので配当金は出ません。次はFNGDの取引価格(ドルのまま)と、SBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベアのリターン比較です。SBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベアの設定直後を避けた、2020年9月10日から2022年4月21日までです。

FNGDとSBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベアのリターン比較グラフ

青のラインはリターン差で、FNGDーSBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベアです。SBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベアは為替ヘッジされていますが、ドルのままのFNGDと比較してリターン差がほぼフラットになるということは、次のことを意味します。

  • 為替ヘッジは期待通り効いている。
  • SBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベアの運用は期待通りである。

iFree NEXT FANG+とのリターン比較

iFree NEXT FANG+はFANG+指数に連動するインデックスファンドです。SBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベアはそれのおおむね3倍逆の値動きになるのが期待値です。

次は2020年9月10日から2022年4月21日までの、iFree NEXT FANG+のリターンの推移です。

iFree NEXT FANG+のリターンの推移グラフ

コロナショックによる株価暴落後の強気相場により大幅に上昇したものの、2021年3月以降は期待外れな状態が続いています。

次はSBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベアもプロットしたものです。

SBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベアもプロットしたグラフ

次は縦軸を対数にしたものです。(この比較目的にはどっちもどっちですね。)

iFree NEXT FANG+とSBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベアのリターン比較グラフ、対数

緑のラインがSBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベアです。マイナス74.7%です。見事に逆相、しかもレバレッジが効いた形状です。

この値動きで、SBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベアに投資して満足なリターンを得られた人がいたとしたら天才ですね。多くの人は「そろそろ暴落するだろう」と思って買ったものの、予想が外れて後悔した、のではないでしょうか。

そしてこれから暴落しそうな雰囲気になったところで満期償還されました。誰のための商品だったのでしょうか。

案外売れていました

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額1.32億円で償還されました。右端に余白を追加しています。

SBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベアの設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

4億円を超える資金流入があったのに、純資産総額がその半分以下しかないのは、基準価額がゲロゲロに下がったからです。

評価:残念な結果に終わりました

僕は次のように評価していました。

3倍ベア型ファンドですが、投資した資金がほぼゼロになるとしても、追証を求められることはありません。そして今のバブリーな強気相場がずっと続くとは思えないので、暴落のタイミングが近いことに賭けるギャンブルをするなら、SBI証券とauカブコム証券で100円から買えることもあって、いい商品かも知れません。

でもSBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベアは、次の点がひどくダメなので、高い評価はあげられません。

  • 信託期間がたったの2年しかない。
  • 隠れコストがとんでもなく高く、トータルコストが3%を超えている。

あくまで、ギャンブルしたい人にはいいかも、という評価です。

が、SBI米国株 (NYSE FANG+) トリプル・ベアについてはギャンブルで儲けるチャンスはほぼありませんでした。これから米国ハイテク株が暴落しそうな雰囲気ですが、その前に満期償還になってしまいました。でも目論見書通りだし、運用も期待通りだったので、商品そのものに非はありません。

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