楽天全世界株式は税抜き信託報酬0.12%+ETFの経費率という圧倒的低コスト、そしてあの憧れのVTに投資信託として投資できることから高い人気を獲得し、全世界株式インデックスの「標準」を変えました。楽天全世界株式の人気が、スリム全世界株式(オール・カントリー)の誕生につながりました。
楽天全世界株式は長らく先行者利益を堪能して来ましたが、ついに真の競合が現れました。SBI・V・全世界株式です。
SBI・V・全世界株式もVTを買うだけのインデックスファンドですが、税抜き信託報酬を0.058%に下げて来ました。信託報酬は楽天全世界株式より0.062%ポイントも安いです。
更新情報
参照しているデータを最新版に更新しています。
SBI・V・全世界株式
楽天全米株式に4年4ヶ月遅れの2022年1月31日に、税抜き信託報酬0.058%で設定されました。これはSBI・Vシリーズ共通です。設定当時のVTの経費率は0.08%でしたが、現在は0.07%なので、税抜き信託報酬は0.128%です。
- VTを買うだけのインデックスファンドです。VTから年4回得られる配当金は国内課税なしでファンド内で再投資されます。
- 表面的には、楽天全世界株式の低コスト版と言えます。(実際の運用は違います。)
- 販売会社はSBI証券、auカブコム証券、千葉銀行だけです。楽天証券では買えません。
- 現在、iDeCoでの扱いはありません。
SBI・V・全世界株式はつみたてNISA適格です。
楽天全世界株式との違い
楽天全世界株式は2020年7月から株式先物を利用しています。それには深い理由があります。
一方、SBI・V・全世界株式は株式先物を利用していません。株式先物の利用によって得られるパフォーマンスの改善がごくわずかであるとしても、楽天全世界株式の方が一歩先を行っていることは確かです。
運用コスト
次は運用報告書から計算したSBI・V・全世界株式のトータルコストです。楽天全世界株式と比較しています。
(計算上の)SBI・V・全世界株式の隠れコストは十分に安いです。信託報酬が楽天全世界株式より大幅に安いので、素直に考えればSBI・V・全世界株式の方が低コストです。
VTトータルリターンとの比較
次はこのブログで頻繁に登場するVTトータルリターンとの比較です。2022年4月1日から2023年4月28日までです。
青のラインはリターン差で、VTトータルリターンーSBI・V・全世界株式です。リターン差を示す青のラインは期待通り右肩上がりで推移しています。
次は同じ比較を楽天全世界株式でしたものです。グラフのスケールは同じです。
楽天全世界株式はVTだけではなくてVTIとVXUSにも投資するように変わりつつあるためだと思われますが、青のラインの形状が汚いです。この比較期間で言うと、SBI・V・全世界株式の方が低コストです。
楽天全世界株式とのリターン比較
次は楽天全世界株式とSBI・V・全世界株式の比較です。2022年4月1日から2023年5月12日までです。縦軸のスケールは同じです。
青のラインはSBI・V・全世界株式ー楽天全世界株式です。SBI・V・全世界株式の方が低コストだったけど、直近では楽天全世界株式のコストが下がってきていい勝負になったように見えます。
SBI・V・全世界株式は不人気
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。楽天全世界株式もプロットしています。SBI・V・全世界株式の純資産価額は225億円、楽天全世界株式は2,755億円です。
緑のラインが楽天全世界株式です。楽天全世界株式の圧勝です。信託報酬に大きな差があるにも関わらず、SBI・V・全世界株式は不人気です。
評価:純粋にVTに投資するのが好みならSBI・V・全世界株式一択です
過去の経緯を端折って言うと、SBI・V・全世界株式はローコストで素晴らしい商品です。トータルコストは楽天全世界株式より安かったです。
ところが楽天全世界株式は2022年4月15日からVTに加えてVTIとVXUSにも投資するように変わり、純粋にVTに投資するだけではなくなりました。その効果でトータルコストがSBI・V・全世界株式に変わらない水準になってきたようですが、そういう運用を好まない場合、純粋にVTに投資するインデックスファンドが好みなら、SBI・V・全世界株式一択です。
が、SBI・V・全世界株式は不人気です。楽天証券やiDeCoで買えないことがその背景にありそうですが、それにしても売れ行きが良くないです。