楽天全米株式、楽天全世界株式は高い人気を獲得しましたが、その一方で楽天米国高配当株式は人気の獲得に苦戦しています。そもそも投資対象であるVYMが魅力的なETFではないのでしょう。
にもかかわらず、SBIアセットマネジメントはSBI・VシリーズにSBI・V・米国高配当株式を追加してきたのでびっくりしました。信託報酬が安くても、楽天米国高配当株式の状況を激変できるとは思えません。
どちらも人気はイマイチですが、SBI・V・米国高配当株式の方が売れています。
更新情報
参照しているデータを最新版に更新しています。
SBI・V・米国高配当株式
楽天米国高配当株式に4年5ヶ月遅れの2021年6月29日に、税抜き信託報酬0.118%(VYMの経費率を含みます)で設定されました。ETFの経費率を除いた信託報酬部分は、SBI・V・S&P500、SBI・V・全米株式と同率です。
- VYMを買うだけのインデックスファンドです。VYMから年4回得られる配当金は国内課税なしでファンド内で再投資されます。
- 表面的には、楽天米国高配当株式の低コスト版と言えます。(実際の運用は違います。)
- SBI証券、auカブコム証券、松井証券で扱っています。楽天証券は扱っていません。
- 現在、iDeCoでの扱いはありません。
VYMが連動する指数がつみたてNISAの指定インデックスではないため、SBI・V・米国高配当株式はつみたてNISA適格ではありません。
楽天米国高配当株式との違い
楽天米国高配当株式は2020年7月から株式先物を利用しています。それには深い理由があります。
一方、SBI・V・米国高配当株式は株式先物を利用していません。株式先物の利用によって得られるパフォーマンスの改善がごくわずかであるとしても、楽天米国高配当株式の方が一歩先を行っていることは確かです。
運用コスト
次は第一期運用報告書から計算したトータルコストです。楽天米国高配当株式と比較しています。
信託報酬が支配的で、SBI・V・米国高配当株式の方が低コストです。隠れコストもSBI・V・米国高配当株式の方が安いですが、これはあまり真に受けない方がいいです。
SBI・V・米国高配当株式も、他のSBI・Vシリーズ同様、売買委託手数料をゼロとしています。
これを信じるかどうかは受益者次第ですね。それでも、楽天米国高配当株式より低コストであることは確かです。それは、リターン比較結果から分かります。
楽天米国高配当株式とのリターン比較
次は楽天米国高配当株式とSBI・V・米国高配当株式のリターン比較です。SBI・V・米国高配当株式の設定直後を避けた2021年7月15日から2023年3月10日までです。
青のラインはSBI・V・米国高配当株式ー楽天米国高配当株式です。比較期間の前半は、SBI・V・米国高配当株式のトータルコストは、楽天米国高配当株式とほぼ同じか、時期によっては楽天米国高配当株式より高かったのですが、2022年春以降は楽天米国高配当株式の方が高くなっています。
このグラフから、現在ではSBI・V・米国高配当株式の方が低コストであると判断できます。
売れ行きは
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産価額は213億円です。
設定日の純資産価額が約20億円ありましたが、これは事前募集分です。そのうちいくらかは運用側の初期投資かも知れません。
設定直後に資金流入が頭打ちに変わっていますが、あの不人気な資産クラスに良くこれだけの資金流入があるなと思いました。その後一定の資金流入が続いていますが、楽天全米株式やSBI・V・S&P500に比べると低調、不人気です。
次は楽天米国高配当株式もプロットしたものです。純資産価額は121億円です。SBI・V・米国高配当株式にあっさり抜かれてしまいました。
楽天米国高配当株式の資金流入の様子からすると、SBI・V・米国高配当株式は良く売れていると思います。後発なのに楽天米国高配当株式をあっさり追い抜いているところに驚いています。楽天米国高配当株式より低コストであるところが評価されたのでしょう。
評価:VTIかS&P500で十分では
SBI・V・米国高配当株式の投資対象であるVYMはパフォーマンスでVTIに負けているので、米国株式インデックスに投資するならVTIからS&P500で十分ではないでしょうか。楽天全米株式、SBI・V・全米株式、スリム米国株式(S&P500)、SBI・V・S&P500などの良い選択肢があります。
VYMが投資対象として不人気なのは明らかです。SBI・V・米国高配当株式は(楽天米国高配当株式も)つみたてNISA適格ではないことも、人気が出ない要因かも知れません。
それでもVYMに手軽に投資したいのであれば、楽天証券では買えませんが、楽天米国高配当株式よりSBI・V・米国高配当株式の方がいいですね。