米国株式

しんきんS&P500の運用コストと評価

人気のS&P500に投資して資産形成したい、でもインターネットは怖いから馴染みのある信用金庫でお世話になっているあの人に相談して買いたい。これは普通にある状況だと思われます。それは、信用金庫でしか販売されていない「しんきんS&P500」の売れ行きが証明しています。

そういうニッチな市場も存在するのです。

しんきんS&P500

2021年4月12日に税抜き信託報酬0.415%で設定されました。当時すでにスリム米国株式(S&P500)とSBI・V・S&P500の税抜き信託報酬は0.088%だったので、あり得ない高さです。

  • 運用会社はしんきんアセットマネジメントです。
  • IVV(S&P500種指数に連動するブラックロック社のETF)を買うだけのインデックスファンドです。現物株は買っていません。
  • IVVの経費率を含めた税込み信託報酬は0.4865%です。
  • ノーロードではなく、購入時手数料税抜き2.0%がかかります。
  • つみたてNISA適格ではありません。
  • 信託期間はもちろん無期限です。
  • 販売会社は信用金庫のみ12行で、ネット証券では扱われていません。

対象顧客を信用金庫利用者に絞り、高めの信託報酬でS&P500インデックスを販売するという、ニッチな商品です。

運用コスト

第一期運用報告書が公開される2022年2月までは、公式な運用コストは不明です。が、IVVトータルリターンとの比較でおおよその推測は可能です。

IVVトータルリターンとの比較

しんきんS&P500はIVVを買うだけのインデックスファンドです。そのためIVVの配当金に国内課税をしないで再投資したトータルリターンと比較することで、しんきんS&P500固有の運用コストを推測できます。

次はしんきんS&P500の設定直後を避けた、2021年4月20日から7月30日までの、IVVトータルリターンとの比較です。

しんきんS&P500とIVVトータルリターンの比較グラフ

赤のラインがIVVトータルリターンです。青のラインはリターン差で、IVVトータルリターンーしんきんS&P500です。青のラインの傾きがしんきんS&P500固有の運用コストを示しています。

途中にある大きなトゲは、IVVトータルリターンとしんきんS&P500で配当金の扱いが違うために生じたものです。無視して下さい。

次はIVVトータルリターンの運用コストを年率0.75%ポイント増量したものとの比較です。

IVVトータルリターンの運用コストを年率0.75%ポイント増量したものとの比較グラフ

青のラインはフラットに近くなりました。税抜き信託報酬が0.415%なので隠れコストが高いと思われますが、こういうことは珍しくありません。また、運用開始直後は運用コストが高くなるもの普通です。

つみたて米国株式(S&P500)との比較

次は金融機関の窓口を好む顧客をターゲットにしている、つみたて米国株式(S&P500)との比較です。2021年4月20日から8月20日までです。

しんきんS&P500とつみたて米国株式(S&P500)のリターン比較グラフ

つみたて米国株式(S&P500)の税抜き信託報酬は0.20%です。青のラインはつみたて米国株式(S&P500)ーしんきんS&P500です。明らかに、つみたて米国株式(S&P500)の方が低コストです。

意外と売れています

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は21.47億円です。

設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

ある時期から資金流入額を増やしています。次はつみたて米国株式(S&P500)と、eMAXIS S&P500もプロットしたものです。

つみたて米国株式(S&P500)とeMAXIS S&P500もプロットしたグラフ

緑のラインがつみたて米国株式(S&P500)、青のラインがeMAXIS S&P500です。これらの中では、しんきんS&P500が一番売れています。きっと販売戦略が巧妙なのでしょう。

評価:対象顧客には悪くない選択肢かな

しんきんS&P500は、信用金庫12行でのみ販売されている、対象顧客を限定した商品です。このブログの読者のみなさんには縁のないものです。金融機関の窓口を好む人向けの商品の中でも、信託報酬は高めだし、ノーロードでもなく、つみたてNISA適格でもありませんが、そもそも対象顧客の属性が異なります。

IVVを買うだけのインデックスファンドで、決してボッタクリではないので、信用金庫利用者でS&P500に投資した人にとっては悪くない選択肢だと思います。少なくとも、高コストで期待リターンが低いボッタクリ商品(信託期間が短くていずれより不利な商品に乗り換えさせられるようなもの)をつかまされるよりは圧倒的にいいです。

本当は、ネット証券でつみたてNISA口座を開設してスリム米国株式(S&P500)を買うとか、せめて、つみたてんとうシリーズを扱っている金融機関でつみたて米国株式(S&P500)を買う方がいいのですが、それができない人向けの商品ということですね。

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