国内債券も主要なアセットクラスのひとつです。一般的なバランスファンドにはたいてい国内債券が含まれますが、単独での需要もあります。現在はマイナス金利政策によってリターンが期待できず魅力に欠けますが、本来はポートフォリオ全体のリスクを下げるのに重宝する資産です。
スリム国内債券は設定来、信託報酬は最安水準を守ってきましたが、意外なことに一番人気ではありません。
更新情報
第四期運用報告書の内容を反映させました。また、参照しているデータを最新版に更新しています。
スリム国内債券
2017年2月27日に税込み信託報酬0.140%で設定されました。その後2回引き下げられ、現在は税抜き0.120%です。
確定拠出年金専用商品を除いて、税抜き0.120%の国内債券インデックスは5本あります。
債券100%のファンドはつみたてNISA適格になれないため、もちろんつみたてNISA適格ではありません。また、iDeCoナビによると、SBI証券(セレクトプラン)、松井証券で扱われています。
運用コスト=信託報酬+隠れコスト
運用コスト(トータルコスト)は信託報酬と隠れコストの合計です。次は運用報告書から計算したトータルコストです。
国内債券インデックスだと、運用報告書で売買委託手数料と有価証券取引税は計上しなくていいそうです。それもあって、隠れコストは極小になります。
リターン比較
登場する国内債券インデックスのベンチマークはみなNOMURA-BPI総合指数です。そのためリターン差は運用の上手い下手を含めた、運用コスト差を示します。
赤のラインがスリム国内債券、緑のラインが比較対象です。青のラインは、スリム国内債券ー比較対象です。
eMAXIS国内債券との比較
次はスリム国内債券の設定直後を避けた、2017年3月15日から2021年7月2日までの、eMAXIS国内債券との比較です。
マザーファンドが同じなので青のラインはきれいな直線です。
スリム国内債券とeMAXIS国内債券のトータルコスト差は約0.30%ポイントあります。次はスリム国内債券の運用コストを年率0.30%ポイント増量したものとの比較です。
青のラインはフラットになりました。このことから、スリム国内債券とeMAXIS国内債券のトータルコスト差は期待通りだと言えます。
iFree日本債券とのリターン比較
次はiFree日本債券との比較です。比較期間は同じです。縦軸のスケールを変えています。
現在の信託報酬は同率です。5ヶ月程度、スリム国内債券の方が信託報酬が0.02%ポイント安い時期があったのですが、他の要因の方が大きいようです。
たわら国内債券とのリターン比較
次はたわら国内債券との比較です。スリム国内債券は常時、たわら国内債券より低コストでした。
青のラインの形状は期待通りと言っていいです。
売れ行きは
次は設定来の資金流出入額の累計の推移グラフです。純資産総額は135億円です。
国内債券はマイナス金利政策によって魅力がない状態ですが、それを考えれば良く売れていると思います。135億円というのはスリムシリーズにしては少ないですが、ローコスト国内債券インデックスでは、たわら国内債券の185億円に次ぐ2位です。
たわら国内債券の税抜き信託報酬は0.140%です。次は税込み信託報酬が最安で並んでいる、ニッセイ国内債券もプロットしたものです。
青のラインがニッセイ国内債券、緑のラインがたわら国内債券です。たわら国内債券は信託報酬が最安ではないものの、人気の獲得に最も成功しています。(たわら国内債券はiDeCoで多く買われています。)
ニッセイ国内債券は2015年に設定され、信託報酬引き下げに積極的でしたが、人気の獲得ができなかったようです。純資産総額は82億円です。
評価:国内債券インデックスに投資するならスリム国内債券がおすすめ
僕は現在、国内債券インデックスを単独で買う意味はないと考えています。リターンが少ないのに、リスクが確実だからです。
それでも投資したいのであれば、一番人気ではないものの、信託報酬が最安で今後の引き下げも期待できるスリム国内債券をおすすめします。たわら国内債券は信託報酬が0.02%ポイント高く、信託報酬引き下げ競争から距離を置いているため、おすすめできないです。