米国のリート(不動産投資信託)に手軽に投資したい人にとって、SMT米国REITは長らく良い選択肢でした。現在ではNZAMベータ米国REITもありますが、どちらも不人気です。
更新情報
第11期運用報告書の内容を反映させました。
SMT米国REIT
2015年10月23日に税抜き信託報酬0.55%で設定されました。先進国リートインデックスの最安水準が0.3%台になる頃でしたが、十分にローコストな設定だったと思います。
- ベンチマークはS&P米国REIT指数です。
- 金融機関を選ばないと、上限税抜2%の購入時手数料を徴収されてしまいます。
- 解約時信託財産留保額0.05%が設定されています。
S&P米国REIT指数はつみたてNISAの指定インデックスですが、SMT米国REITは株式に投資しないため、つみたてNISA適格要件を満たせません。そのため、SMT米国REITはつみたてNISA適格ではありません。
S&P米国REIT指数
先進国リートインデックスの多くはS&P先進国REIT(除く日本)指数を採用しています。その米国比率は約73%です。残り約27%が、日本と米国を除いた先進国になります。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。連動する指数が同じNZAMベータ米国REITと比較しています。
SMT米国REITは隠れコストが異様に高いですが、NZAMベータ米国REITはもっと高いです。トータルコストは共に1%を超えています。アクティブファンド並ですね。
次は隠れコストの明細です。高い項目を赤字にしています。
SMT米国REITの売買委託手数料は安くなりましたが、NZAMベータ米国REITは高いです。保管費用はどちらも高いです。
リターン比較
連動する指数が異なる商品のリターン比較には注意が必要です。
NZAMベータ米国REITとの比較
次はNZAMベータ米国REITの設定直後を避けた2020年4月1日から、2021年3月12日までの、SMT米国REITとの比較です。
青のラインはリターン差で、SMT米国REITーNZAMベータ米国REITです。運用報告書から計算したトータルコストはほぼ同じです。互角か、SMT米国REITの方がリターンが高いか、というところでしょう。NZAMベータ米国REITにはもっと頑張って欲しいですね。
eMAXIS先進国リートの比較
次はSMT米国REITの設定直後を避けた2015年11月5日から2021年3月12日までの、eMAXIS先進国リートの比較です。
青のラインはeMAXIS先進国リートーSMT米国REITです。時期によって有利不利が変わりますが、この比較期間だと互角と言っていいでしょう。
S&P米国REIT指数とS&PグローバルREIT(除く日本)指数の比較
次はS&P米国REIT指数とS&PグローバルREIT(除く日本)指数の、直近10年間の比較です。(トータルリターン、円換算後です。)本当はS&P先進国REIT(除く日本)指数と比較したかったのですが、データを取得できませんでした。
青のラインはS&P米国REIT指数ーS&PグローバルREIT(除く日本)指数です。時期によって有利不利が変わりますが、この比較期間だと互角と言っていいでしょう。
不人気です
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は2.4億円しかありません。
左端が1億円から始まっていますが、これは運用側による初期投資だと思われます。そして2017年9月に資金を引き上げたのではないでしょうか。
資金流入は継続していますが、流入額が少いですね。
次は世代が近いニッセイグローバルリートと、たわら先進国リートもプロットしたものです。
緑のラインがニッセイグローバルリート、青のラインがたわら先進国リートです。こうやって見ると、SMT米国REITは絶望的ですね。
おすすめしません
S&P500米国REIT指数に投資したいなら、SMT米国REITとNZAMベータ米国REITの二択になります。どちらも高コストで、現状のパフォーマンスは互角ですが、将来への期待を込めてNZAMベータ米国REITの方がいいと思います。
SMT米国REITは設定から5年以上経過したのに、満足に売れていません。繰上償還のリスクが高いと思います。NZAMベータ米国REITも同じような苦難の道を歩むことになるかも知れません。それでも、NZAMベータ米国REITの方が(まだ)いいと思います。
S&P500米国REIT指数へのこだわりがないなら、よりローコストな選択肢が豊富な先進国リートインデックスが無難でしょう。