マザーファンドがあればベビーファンドと新商品を組成するのは容易です。そのため、どこかの金融機関の専売商品が組成されることも珍しくありません。SMTAM NYダウインデックスもそのひとつですが、販売しているのは、あの「不適切投信」というパワーワードで世間を騒がせた、ゆうちょ銀行です。
SMTAM NYダウインデックスは不適切投信ではありませんが、ゆうちょ銀行に近付いてはいけません。
SMTAM NYダウインデックス
2014年9月9日に税抜き信託報酬0.69%で設定されました。運用会社は三井住友トラストアセットマネジメントです。以来、信託報酬は引き下げられていません。
SMTAMダウ・ジョーンズ・インデックスの姉妹品です。マザーファンド、信託報酬は同じですが、SMTAM NYダウインデックスは、あの悪名高いゆうちょ銀行専売商品です。
- 購入時手数料税抜き2%(上限)が設定されています。購入金額などによって変化します。
- 解約時信託財産留保額0.2%が設定されています。
- つみたてNISA適格ではありません。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。SMTAMダウ・ジョーンズ・インデックスと比較しています。
隠れコストは期待通り同一水準です。信託報酬が同じなので、トータルコストも同一水準です。
リターン比較
SMTAMダウ・ジョーンズ・インデックスとの比較
次はSMTAMダウ・ジョーンズ・インデックスとのリターン比較です。SMTAMダウ・ジョーンズ・インデックスが分配金を出さなくなった、2015年4月21日から2020年12月11日までです。
青のラインはリターン差で、SMTAMダウ・ジョーンズ・インデックスーSMTAM NYダウインデックスです。運用報告書から計算したトータルコストは変わらないのに、SMTAMダウ・ジョーンズ・インデックスの方がわずかながらリターンが高いです。
iFree NYダウとのリターン比較
次はiFree NYダウとのリターン比較です。2017年4月10日から2020年12月11日までです。
緑のラインがSMTAM NYダウインデックスです。青のラインはiFree NYダウーSMTAM NYダウインデックスです。きれいな右肩上がりの直線です。なお、株価暴落時に凹んでいるのは正常です。
次はiFree NYダウの運用コストを年率0.36%ポイント増量したものとの比較です。
青のラインはほぼフラットになりました。運用報告書から計算したトータルコスト差は0.50%ポイントあるので、計算があいません。
そこそこ買われています
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は72億円です。そこそこ買われています。
NYダウ指数に投資するなら、もっとローコストな選択肢がありますが、それより心配なのは、ゆうちょ銀行の顧客になることです。SMTAM NYダウインデックスを買ったことをきっかけに、要りもしない営業をかけられて、もっとボッタクリな商品を買わされてしまうかも知れません。
評価:買ってはいけません
SMTAM NYダウインデックスはゆうちょ銀行専売商品なので、ゆうちょ銀行に近付かなければセーフです。そして、NYダウ指数に投資するなら、iFree NYダウがローコストで良いです。つみたてNISAで買うなら、もうしばらくはeMAXIS NYダウ一択です。
一部の金融機関は、(いまだに)顧客にボッタクリ商品を売りつけようとします。そういうのを避けるには、ネット証券で自分で選択した商品を買うことです。