同じ指数に連動するインデックスファンドなら、10年前に設定された高コスト商品よりも、最近設定されたローコスト商品の方が資金流入が多い(人気が高い)と思いがちですが、そうでもないケースがたくさんあります。ネット証券しか見ていない人には分からない、販売力の差が作用しているのかも知れません。
SMTAMダウ・ジョーンズ・インデックスもそんな商品のひとつです。高コストなのに、まだ売れ続けています。
SMTAMダウ・ジョーンズ・インデックス
2009年4月30日に税抜き信託報酬0.69%で設定されました。運用会社は三井住友トラストアセットマネジメントです。以来、信託報酬は引き下げられていません。
- 購入時手数料税抜き3%が設定可能で、金融機関を選ばないと徴収されてしまいます。
- 解約時信託財産留保額0.2%が設定されています。
- 取扱金融機関は72社もあります。
- つみたてNISA適格ではありません。
- 何度か分配金を出したことがあります。2015年4月21日以降は無分配を続けています。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。iFree NYダウと比較しています。
SMTAMダウ・ジョーンズ・インデックスの隠れコストは驚くほど安いです。でも信託報酬が高いので、トータルコストは0.78%もします。
リターン比較
DIAトータルリターンとの比較
NYダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ)に連動するETFにDIAがあります。SMTAMダウ・ジョーンズ・インデックスは現物株運用で、DIAとは無関係ですが、DIAトータルリターンと比較することで運用コストの大小が分かります。
次は2018年年初から2020年11月30日までの、DIAトータルリターンとの比較です。
次はDIAトータルリターンの運用コストを年率0.59%ポイント増量したものとの比較です。
青のラインはほぼフラットになりました。運用報告書から計算したトータルコスト差からすると、もう少し増量が必要です。おかしいですね。
iFree NYダウとのリターン比較
次はiFree NYダウとのリターン比較です。2017年4月10日から2020年12月11日までです。
緑のラインがSMTAMダウ・ジョーンズ・インデックスです。青のラインはiFree NYダウーSMTAMダウ・ジョーンズ・インデックスです。きれいな右肩上がりの直線です。なお、株価暴落時に凹んでいるのは正常です。
次はSMTAMダウ・ジョーンズ・インデックスの運用コストを年率0.34%ポイント増量したものとの比較です。
青のラインはほぼフラットになりました。運用報告書から計算したトータルコスト差は0.50%ポイントあるので、計算があいません。
まだ売れています
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は492億円です。今ではすっかり高コストになってしまいましたが、ローコスト商品より売れています。
SMTAMダウ・ジョーンズ・インデックスも、コロナショックによる株価暴落時に資金流入額が激増しています。
eMAXIS NYダウとiFree NYダウもプロットしました。
青のラインがeMAXIS NYダウ、緑のラインがiFree NYダウです。SMTAMダウ・ジョーンズ・インデックスの圧勝です。
評価:買う価値ありません
SMTAMダウ・ジョーンズ・インデックスは2009年から運用されている、歴史のある商品です。今ではすっかり高コストになってしまいましたが、2019年月5月に税抜き信託報酬0.60%で設定されたOne NYダウとは事情が異なります。
特定口座で買うならiFree NYダウの方がローコストで良いですし、つみたてNISA口座で買うならeMAXIS NYダウ一択です。わざわざ高コストなSMTAMダウ・ジョーンズ・インデックスを買う価値はありません。