たわらNYダウはiFree NYダウより半年遅れて設定されました。税抜き信託報酬は同じでしたが、たわらNYダウは隠れコストが異様に高い問題児でした。隠れコストは決算期を経るごとに削減されましたが、投資信託は信託報酬だけを見ていたのではダメだという実例です。
たわらNYダウ
2017年3月21日に税抜き信託報酬0.225%で設定されました。先行していたiFree NYダウと同率です。以来、信託報酬は引き下げられていません。
たわらNYダウはつみたてNISA適格ではありません。また、iDeCoナビによると次の金融機関で扱われています。
- ソニー銀行
- マネックス証券
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。iFree NYダウと比較しています。
たわらNYダウは隠れコストが高めです。次は隠れコストの明細です。高い項目を赤字にしています。
高コストだった過去
次はトータルコストの4期比較です。
たわらNYダウの隠れコストは異様に高かったです。第4期でやっとまともになりました。主に保管費用の高さが目立ちました。
ETFも買っていました
たわらNYダウはDIA(NYダウ指数に連動するETF)を、2020年3月まで買っていました。4月以降は買っていません。DIAの比率は、高い時は9%を超えていました。
ギリギリ現物株運用と言える水準だったでしょうか。
リターン比較
DIAトータルリターンとの比較
NYダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ)に連動するETFにDIAがあります。たわらNYダウはほぼ現物株運用で、DIAの比率は高くても9%でしたが、DIAトータルリターンと比較することで運用コストの大小が分かります。
次は2018年年初から2020年11月30日までの、DIAトータルリターンとの比較です。
次はDIAトータルリターンの運用コストを年率0.26%ポイント増量したものとの比較です。
青のラインはほぼフラットになりました。同じ期間における、iFree NYダウとDIAトータルリターンの比較では、0.21%ポイントの増量が適量でした。その差は、運用報告書から計算したトータルコスト差に符合します。
iFree NYダウとのリターン比較
次はiFree NYダウとのリターン比較です。たわらNYダウの設定直後を避けた、2017年4月10日から2020年12月11日までです。
緑のラインがたわらNYダウです。青のラインはiFree NYダウーたわらNYダウです。きれいな右肩上がりの直線ではありません。なお、株価暴落時に凹んでいるのは正常です。
リターン差を示すラインの傾きは、運用コストの大きさを示しています。補助線を引きました。
リターン差のラインの傾きが小さくなっているのは、運用報告書から計算したトータルコストが決算期を経るごとに減少したことに符合します。
次は株価暴落から回復過程にある、2020年4月10日以降の比較です。右軸のスケールを拡大しています。
ほぼリターン差がありません。このことから直近では、たわらNYダウのトータルコストはiFree NYダウのそれと変わらないと思われます。
不人気です
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は36億円ですが、NYダウ指数連動商品としては不人気です。
設定日の純資産総額が3億円ありました。そのうちいくらかは運用側の初期投資かも知れません。
たわらNYダウも、コロナショックによる株価暴落時に急激に資金が流入しています。でも5月以降は頭打ちです。どうしてこんなおかしな買われ方をしたのかは謎です。
次はiFree NYダウもプロットしたものです。
iFree NYダウ圧勝です。実はiFree NYダウはiDeCoで多く買われていますが、たわらNYダウにはその傾向はありません。iFree NYダウの圧勝なのは、iFree NYダウがSBI証券の2つのプランで扱われているからではないかと、考えています。でもそれは、低コストで良質な組成だという基礎があっての話でしょう。
評価:iFree NYダウの方が安心できます
たわらNYダウのトータルコストは決算期を経るごとに安くなってきており、現在はiFree NYダウとの差が0.027%ポイントまで小さくなっています。コロナショックによる株価暴落後のリターン比較では差がありません。が、過去の実績と人気、純資産総額を考慮すると、iFree NYダウの方が安心できます。