バランスファンド

トラノコファンドの運用コストと評価

「トラノコ」というサービスを知っていますか?主に若い人をターゲットにしていると思われるもので、買い物時に発生するおつりをカウント、その累積額で毎月1回選択してある投資信託を購入する、というものです。投資に縁遠い人を取り込むことを狙いにしていると思いますし、それは良く分かるのですが、金融リテラシーがわずかでもあればそもそも選択しないような内容です。

サービスの仕組み

買い物をした時におつりを計算する端数の選択肢が3つあります。100円、500円、1,000円です。330円の買い物をした場合、100円なら400円払っておつりが70円、500円なら500円払っておつりが170円、1,000円なら1,000円払っておつりが670円、という計算をします。その金額を「おつり」として積算します。

積算した金額を毎月1回、指定した銀行口座から引き落として選択してある投資信託を購入します。5円以上1円単位です。上限金額を設定できるので意図せず投資しすぎることを防げます。こうすることで買い物をするたびに投資されるような感覚を楽しめます。

投資に縁遠い、特に若い人を取り込むことを狙ったサービスだと思います。でも問題がたくさんあります。

問題点1:サービス利用料が高い

トラノコのサービスを利用するには月額税込み300円のサービス利用料を支払う必要があります。買い物時のデータ収集、銀行口座からの引き落としなど、発生するコストがあるのは分かりますが、月額税込み300円は高いです。年間3,600円ですよ。

サービス料負担は、保有資産が100万円の場合で0.36%、30万円だと1.2%にもなります。それに加えてトラノコファンドの運用コストもかかるわけです。

問題点2:出金にも費用がかかる

投資信託を一部解約して現金を得るのに、税込み300円の出金手数料がかかります。何ですと?振込手数料のようなものだと思いますが、楽天証券やSBI証券ではかからないはずです。これは受益者をナメてると思います。

問題点3:投資信託が3択しかない

選べるのはトラノコ・ファンド3兄弟だけです。みなバランスファンドです。

引用:おつりで投資 トラノコ

よくあるバランスファンドの資産割合を変えて、リスク許容度に合わせて最適なものを選んで下さいというアプローチです。

引用:おつりで投資 トラノコ

資産比率は固定ではなく、パフォーマンスを追求して変更するアクティブファンドです。税抜き信託報酬は0.30%です。次のETFを購入します。

投資対象ETF一覧

引用:おつりで投資 トラノコ

もちろん、トラノコファンドはつみたてNISA適格ではありません。それにそもそも、トラノコサービス専用商品で、月額税込み300円のサービス利用料を払わないと買えません。

組成内容

トラノコファンドは債券比率が高いです。大トラですら40%を超えています。でもアクティブファンドだし、一般的なバランスファンドと同列では比較できないでしょう。

組成内容一覧表

運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。

運用報告書から計算したトータルコスト表

隠れコストが高いです。特に小トラがひどいです。

次は隠れコストの明細です。

隠れコストの明細表

小トラは保管費用が異様に高いです。(純資産総額が極度に少ないため?)

トラノコファンドの第1期、第2期の運用コストはもっと高かったです。

トラノコファンドの運用コストの三期比較表

大トラ、中トラは第1期から半減しましたが、小トラは高止まりしています。ダメですね。

リターン比較

トラノコファンドとリターン比較をするなら、やはりバランスファンドを対象にするのがいいでしょう。

3タイプの違い

まず3タイプの値動きの違いを見ます。設定直後を避けた、2017年5月10日から2020年9月4日までの比較です。

トラノコファンド3タイプのリターン比較グラフ

赤のラインが大トラ、緑のラインが中トラ、青のラインが小トラです。良くある株式重視型、均等型、債券重視型の値動きに似ています。

セゾングローバルバランスとのリターン比較

次はセゾングローバルバランスとの比較です。

トラノコファンドとセゾングローバルバランスのリターン比較グラフ

紫のラインがセゾングローバルバランスです。トラノコファンドは歯が立ちません。トラノコファンドはアクティブファンドでいろいろ工夫しているようですが、セゾングローバルバランスの方がずっと優秀だということです。

スリムバランス(8資産均等型)とのリターン比較

次はスリムバランス(8資産均等型)との比較です。

トラノコファンドとスリムバランス(8資産均等型)のリターン比較グラフ

紫のラインがスリムバランス(8資産均等型)です。トラノコファンドのダメさがよく分かります。

楽天バランスとのリターン比較

楽天バランスの株式重視型、均等型、債券重視型と、トラノコファンドの大トラ、中トラ、小トラを個別に比較しました。

比較期間は楽天バランスの設定直後を避けた、2018年8月10日から2020年9月4日までです。青のラインはリターン差で、楽天バランスートラノコファンドです。

株式重視型と大トラの比較

株式重視型と大トラのリターン比較グラフ

これなら楽天バランス(株式重視型)で十分ですね。

均等型と中トラの比較

均等型と中トラのリターン比較グラフ

これなら楽天バランス(均等型)で十分ですね。

債券重視型と小トラの比較

債券重視型と小トラのリターン比較グラフ

これなら楽天バランス(債券重視型)で十分ですね。

不人気です

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。

設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

赤のラインが大トラ、緑のラインが中トラ、青のラインが小トラです。純資産総額は全部で18億円です。

純資産総額一覧表

資金流出入額の累計の推移を示すラインは反り返っていていいのですが、資金流入のペースが遅いです。この程度の人気では、月額300円のサービス料を徴収したところで事業を継続できるとは思えません。

また、ラインがノコギリ状ですが、これは決まった日にしか買付されないのと、常時売却している人がいるためです。次は大トラの直近1年間における、毎営業日の資金流出入額の推移です。

大トラの直近1年間における、毎営業日の資金流出入額の推移グラフ

常時売却している人がいるというのは、このサービスの利用者の属性によるところが大きいのかも知れません。

評価:WealthNaviの方が良い

投資に縁のない若い人が「おつり」をキーワードにしたサービスをきっかけにして投資を始めてみるのは悪くないと思いますが、トラノコは費用負担が大きいです。また、トラノコファンドは高コスト低パフォーマンスでいいところがないです。

僕は、本当に少額でもいいので、楽天証券+つみたてNISA+楽天カード決済で、自分にあった普通のインデックスファンドを買うのが良いと思います。でも投資に縁のない若い人にそう言っても面食らうのも分かります。

WealthNaviは税抜き手数料が1.0%と高いですが、投資対象のETFの経費率は低いです。保有資産額が50万円以下なら、トラノコより安いと思います。そもそもサービスの狙いが違うので、この比較は不適切という気もしますが、若い人の投資への入り口としては、WealthNaviの方がいいですね。

トラノコはおすすめできないです。

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