バランスファンド

米国ABC戦略ファンドの運用コストと評価

投資信託は粗製乱造され、売れないと容赦なく繰上償還されます。その悪しき慣行は、2021年の今でも続いています。

大和アセットマネジメントは、米国分散投資戦略ファンドに加えて、米国ABC戦略ファンドというレバレッジ型バランスファンドを運用しています。が、その商品への取り組み姿勢は大きく違っているように見えます。

米国ABC戦略ファンド

2020年10月5日に設定されました。運用会社は大和アセットマネジメントです。運用会社が設定した信託報酬はコース共通で税抜き1.125%ですが、投資対象の投資信託の報酬を合算した、実質的な運用管理費用はこうなっています。

米国ABC戦略ファンドの実質的な運用管理費用

高いですね。

全コース、決算頻度は年2回です。目論見書には積極的に分配する姿勢が書かれており、実際に分配されています。どういう受益者層をターゲットにしているかが透けて見えますね。

  • 販売手数料は税抜き3%を上限にして販売会社が設定可能で、金融機関を選ばないと徴収されてしまいます。
  • 信託財産留保額はありません。
  • 信託期間は5年の2025年10月3日までです。

もちろんつみたてNISA適格ではありません。

20年で23倍?150倍?

レバレッジ型バランスファンドはどれもお約束のように煽情的な喧伝をしています。米国ABC戦略ファンドも負けじとド派手にアピールしています。

米国ABC戦略ファンドのパフォーマンスシミュレーション

引用:米国ABC戦略ファンドのプロモーションビデオ

3倍コースは20年で23倍、5倍コースは150倍です。もう笑っちゃいますね。これで信託期間が5年しかないのは詐欺レベルじゃないですかね

仕組み

1倍、3倍、5倍のコースごとに異なる連動債券に投資します。

米国ABC戦略ファンドの仕組み

引用:目論見書

困ったこと位、米国ABC戦略ファンドの目論見書には連動債券の中身の説明がほとんどありません。投資対象資産の比率を、景気サイクルに合わせて動的に変更するアクティブファンドのようですが、実際にどうしているかは不明です。すごく印象悪いです。

月次報告書によると現在の比率はこうなっています。3倍、5倍はレバレッジをかけてはいますが、比率は1倍と同じです。

引用:月次報告書

この比率を設定来どのように変更してきたかを記したレポートが見たいです。

運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。

が、残念なことに運用報告書に記載されている、信託報酬以外のコストは保管費用と監査費用だけです。連動債券を売買する上でかかった売買委託手数料、有価証券取引税は記載されていません。これは投資対象が債券のみのファンドでは珍しくないのでまあいいとしても、各連動債券の隠れコストが不明です。運用報告書で開示されていません。

そのため、実際のトータルコストはこれより高いと思って下さい。(さらに印象が悪くなりました。)

1倍、3倍、5倍コースの値動き

次は米国ABC戦略ファンドの、設定日直後を避けた2020年10月20日から2021年6月18日までのリターン比較です。

1倍、3倍、5倍コースのリターン比較グラフ

赤のラインが5倍コース、緑のラインが3倍コース、青のラインが1倍コースです。値動きの違いはそれらしいですね。

1倍コースと楽天バランス(債券重視型)のリターン比較

次は米国ABC戦略ファンド(1倍コース)と楽天バランス(債券重視型)のリターン比較です。

米国ABC戦略ファンド(1倍コース)と楽天バランス(債券重視型)のリターン比較グラフ

青のラインはリターン差で、米国ABC戦略ファンド(1倍コース)ー楽天バランス(債券重視型)です。

互角です。米国ABC戦略ファンド(1倍コース)のトータルコストは1.3%を超えます。ボッタクられていると思いますね。

3倍コースとスリム先進国株式のリターン比較

次は米国ABC戦略ファンド(3倍コース)とスリム先進国株式のリターン比較です。

米国ABC戦略ファンド(3倍コース)とスリム先進国株式のリターン比較グラフ

赤のラインが米国ABC戦略ファンド(3倍コース)です。この株式絶好調の相場で、レバレッジ3倍でこんなものですか?僕は魅力を感じないですね。

5倍コースとスリム米国株式(S&P500)のリターン比較

次は米国ABC戦略ファンド(5倍コース)とスリム米国株式(S&P500)のリターン比較です。

米国ABC戦略ファンド(5倍コース)とスリム米国株式(S&P500)のリターン比較グラフ

赤のラインが米国ABC戦略ファンド(5倍コース)です。2021年2月まではS&P500をアウトパフォームしていましたが、その後下落しました。最近は盛り返していますが、5倍のレバレッジをかけている、それだけ高いリスクを負っているにしてはパフォーマンスが平凡に見えます。

5倍コースとiFreeレバレッジS&P500のリターン比較

次は米国ABC戦略ファンド(5倍コース)とiFreeレバレッジS&P500のリターン比較です。

米国ABC戦略ファンド(5倍コース)とiFreeレバレッジS&P500のリターン比較グラフ

この比較には異論が出そうですが、この比較期間なら奇をてらったレバレッジ型バランスファンドではなくて、S&P500に2倍のレバレッジをかけただけで十分ではないか、と思いました。

米国ABC戦略ファンドの実力が発揮されるのは、景気のサイクルが変わった時のはずなので、その時どうなるか楽しみにしておきます。

不人気です

次は米国ABC戦略ファンドの、設定来の資金流出入額の累計の推移です。

設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

純資産総額は3コース合計で5.09億円です。

純資産総額一覧表

そもそも信託期間は5年しかないのですが、この様子だともっと早く繰上償還した方がいいかも知れません。

少ない販社数

米国ABC戦略ファンドを扱っている販社はたったの5社です。

  • SBI証券
  • 楽天証券
  • 松井証券
  • auカブコム証券
  • PayPay銀行

これでは売れないでしょ。(大和証券で扱わないのはなぜ?)

評価:買う価値ありません

たとえアクティブファンド好きな方であっても、僕はおすすめしません。リスクを負う代わりに高いリターンを期待するとしても、米国ABC戦略ファンドはやめた方がいいです。

  • 1倍コースは論外です。楽天バランスのどれかで十分です。
  • 3倍コース、5倍コースは期待通りのリターンが得られるならいいと思いますが、これまでのところ、高いコストに見合う価値があるとは思えません。
  • 信託期間が5年しかありません。なのにプロモーションビデオでは資産形成に向くとか言っています。
  • 高コストでボッタクリ感が強いです。

米国3倍4資産リスク分散より印象悪い

大和アセットマネジメントは、米国分散投資戦略ファンドというレバレッジ型バランスファンドも運用しています。個人の感想ですが、米国ABC戦略ファンドはもっと印象悪いです。最大の理由は、目論見書の内容です。同じ運用会社が設定した、レバレッジ型バランスファンドと思えません。

なお、パフォーマンスは米国3倍4資産リスク分散より米国ABC戦略ファンドの方が(レバレッジ3倍で見ると)いいです。

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