債券

米国ハイイールド債券インデックスの運用コストと評価

ハイイールド債券とは信用度が低い代わりに利回りが高いもので、ジャンク債とも呼ばれます。通常の債券よりも高いリターンが期待できますが、相応のリスクを負うことになります。受益者は、コロナショックによる株価暴落時にそのことを痛感したはずです。

米国ハイイールド債券に手軽に投資できる、インデックスファンドの選択肢が2つあります。

  • iシェアーズハイイールド債券インデックス
  • Funds-i 米国ハイイールド債券

iシェアーズハイイールド債券インデックス

iシェアーズハイイールド債券インデックスは「マークイット iBoxx 米ドル建てリキッド・ハイイールド・キャップト指数」をベンチマークにしています。自社の米国籍ETFを買っていますが、その経費率0.49%を含む信託報酬は税込み0.7585%です。設定されたのは2013年9月12日です。債券インデックスであることを考えると、高いですね。そもそもETFの経費率が0.49%もすることが商品の性格を表していると言えるでしょう。

なおこの記事では「iシェアーズハイイールド債券」と略します。

運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。

iシェアーズハイイールド債券インデックスのトータルコスト表

隠れコストは少し高めです。債券インデックスなので、売買委託手数料がほぼゼロ、有価証券取引税はゼロで計上されていることを考えるとなおさらです。

税込みトータルコストは0.8749%もします。

Funds-i 米国ハイイールド債券

Funds-i 米国ハイイールド債券は「ブルームバーグ・バークレイズ米国ハイイールド社債高流動性インデックス」をベンチマークにしています。税抜き信託報酬は0.80%です。2016年7月に設定されたにしては高額です。おそらく意図的な値付けでしょう。また、解約時信託財産留保額が0.2%かかります。

この商品には為替ヘッジありとなしの2タイプが存在しますが、この記事で扱っているのは為替ヘッジなしの方です。

運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。

Funds-i 米国ハイイールド債券のトータルコスト表

隠れコストは標準的です。債券インデックスなので、売買委託手数料と有価証券取引税は計上されていません。信託報酬が支配的ですが、税込みトータルコストは0.9029%と高額です。

リターン比較

iシェアーズハイイールド債券と米国ハイイールド債券の比較

この2つはベンチマークが異なることに注意が必要です。後から設定された、Funds-i 米国ハイイールド債券の設定直後を避けた、2016年8月1日から2020年10月16日までの比較です。

iシェアーズハイイールド債券と米国ハイイールド債券のリターン比較グラフ

いい勝負ですね。ベンチマークが異なるにしては、ほとんど差がありません。コロナショックによる株価暴落時は差が大きくなりましたが、その後差は縮小傾向です。

iシェアーズハイイールド債券とeMAXIS先進国債券の比較

先進国債券インデックスを代表してeMAXIS先進国債券と、iシェアーズハイイールド債券を比較します。2013年10月からです。

iシェアーズハイイールド債券とeMAXIS先進国債券のリターン比較グラフ

赤のラインがiシェアーズハイイールド債券、緑のラインがeMAXIS先進国債券です。青のラインはリターン差で、iシェアーズハイイールド債券ーeMAXIS先進国債券です。

iシェアーズハイイールド債券は、先進国債券と比較してそれほどパフォーマンスが高いわけではないですね。債券にしては変動率が高く、コロナショックによる株価暴落時には大きく下落しています。

iシェアーズハイイールド債券とiシェアーズ米国債7-10年ETFの比較

次はiシェアーズ米国債7-10年ETFの設定直後を避けた、2017年10月16日からの、iシェアーズハイイールド債券との比較です。

iシェアーズハイイールド債券とiシェアーズ米国債7-10年ETFのリターン比較グラフ

赤のラインがiシェアーズハイイールド債券です。この比較期間だと、コロナショックによる株価暴落で逆転されてしまいました。この2商品では求めるもの、期待するものが違うはずですが、ハイイールド債券は怖い印象です。

ハイイールド債が暴落した理由

コロナショックによる株価暴落で、iシェアーズハイイールド債券と米国ハイイールド債券インデックスは最高値から19%超下落しました。新型コロナウイルスの影響よりも大きいのが、原油相場の暴落だと思われます。新型コロナウイルスの蔓延により原油の需要が減っていた(価格は下落)ところに、OPECとロシアの間で原油減産(価格維持のため)の交渉が決裂、サウジアラビアが原油増産に踏み切りました。市場に需要を超える原油が出回るため、価格が暴落したのです。

米国ハイイールド債に占めるエネルギーセクターの比率が高いため、このような悲惨な結果になったのではないでしょうか。その後回復基調にありますが、まだ暴落前の水準は遠いです。

次は2020年年初からのリターンの推移です。

iシェアーズハイイールド債券と米国ハイイールド債券の2020年年初からのリターンの推移グラフ

高いリターンが得られるのは、高いリスクを負うからだという至極当然のことを、改めて認識させてくれますね。

不人気です

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額はiシェアーズハイイールド債券が5.9億円、Funds-i 米国ハイイールド債券が7.08億円です。

設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

赤のラインがiシェアーズハイイールド債券、緑のラインがFunds-i 米国ハイイールド債券です。緑のラインが浮いているのは、設定日の純資産総額が7.4億円あったからですが、そのうちいくらかは運営側の初期投資かも知れません。

どちらも伸び悩んでいます。パフォーマンスの高い、魅力的な資産クラスに低コストで投資できる、インデックスファンドの選択肢が増えたことを考えると、この2商品が人気を獲得するのは難しい気がします。

評価:そもそも投資対象が魅力的でないかな

米国ハイイールド債券インデックスの2商品はどちらも高コストです。信用度の低い債券に投資することで、高いリスクを負う代わりに高いリターンを目指すというのが分かっていても、コロナショックによる株価暴落を経験すると、そもそもそれは魅力的な投資対象ではないような気がしてしまいます。これは、人によって評価が分かれるところでしょう。

でも、どちらの商品も不人気なところを見ると、多くの人はハイイールド債券への投資に魅力を感じていないと思われます。

高いリターンを期待するなら株式で良い

高いリスクを負う代わりに高いリターンを期待するなら、わざわざハイイールド債に投資しないで、好きな株式クラスのインデックスファンドでいいのではないでしょうか。次はiシェアーズハイイールド債券とeMAXIS先進国株式の比較です。

iシェアーズハイイールド債券とeMAXIS先進国株式のリターン比較グラフ

緑のラインがeMAXIS先進国株式です。変動率(ボラティリティ)はずっと高いですが、長期投資を前提に許容できれば、ハイイールド債への投資よりずっと安心して買い持ちできる気がします。ええ、これは僕の好みが色濃く出た見解ですね。

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