金融庁の遠藤長官は、つみたてNISAの恒久化を目指すと発言していました。
でもその夢は遠のきました。次の記事によると、現在進んでいるのは極めて限定的な「延長」です。
とっても残念です。
分かりにくい図
次の図は上記記事からの引用です。
つみたてNISA制度は2018年に始まりました。現在は非課税枠が付与されるのは2037年までです。そのため、2018年からつみたてNISAを利用開始した人は、非課税枠を最大20回もらうことができます。40万円✕20回で800万円です。でも2019年とか2020年に利用開始するともらえる非課税枠が40万円ずつ減ってしまいます。これが現行制度です。
改正案は、2019年から2037年のどこから利用を開始しても、非課税枠は20回付与しますよ、というものです。
分かったような気になりましたか?僕は誰が読んでも同じ結論に達する仕様書を書くように指導されてきたので、これでは納得できません。
制約のカギは開始年か非課税枠の付与か
たとえば2018年はつみたてNISAを利用し、2019年から2023年までは一般NISAを利用したとします。2034年からはつみたてNISAを再開します。その場合、2038年以降の5年間、毎年つみたてNISAの非課税枠が付与されるでしょうか。
証券会社がその個人に対してつみたてNISAの非課税枠を何回付与したか管理すれば、上記の場合でも20回分付与できるはずです。そうではなくて、つみたてNISA利用開始年から20年間が、非課税枠が付与される期間という管理だったらだめです。
そのどちらであるかは書かれていません。記事を書いた人は、疑問に思わなかったかも知れません。
つみたてNISAを始めちゃった人は不利?
我が家は良く考えた上で、2019年からも一般NISAを利用しています。
そして一般NISAは恒久化が見送られ、現行制度のままだと2023年までしか非課税枠が付与されません。これを時限付きで延長するという議論もあるようですが、どうなるかは分かりません。
僕は2023年まで一般NISAを利用すると思います。すると2019年から2023年までで120万円✕5回で600万円の非課税枠を手にできます。(世帯で言うとその倍です。)そして2024年からつみたてNISAを利用しますが、改正案が通れば非課税枠はプラス800万円です。
(もうお分かりの通り)ところが、余裕資金はあっても、一般NISAよりつみたてNISAの方が有利と考えて2018年、2019年につみたてNISAを利用した人は、2023年までしか利用できない一般NISAの非課税枠を捨てたことになります。
2018年以降に付与される非課税枠の合計で考えるとこうなります。
- 2023年まで一般NISAを利用、2024年からつみたてNISAを利用開始:600万円+800万円=1,400万円
- 2018年からつみたてNISAを利用:800万円
過去2年間、余裕資金があって一般NISAの非課税枠を埋めることもできたけど、あえてつみたてNISAを選択した人は悲しい気持ちになるかも知れません。
この比較は単に、2018年以降に付与される非課税枠の合計にしか着目していませんから、乱暴な議論です。でも、一般NISAの意味合いが変わることは確かです。
一歩前進
恒久化には程遠い内容ではあるものの、一歩前進するのは確かです。2037年までに利用開始すれば(実におかしな制約!)、非課税枠が最大20回付与されるようになるのですから。実に大きな進展です。制度改正に尽力されている方たちに敬意を表します。
そして、時間がかかってもいいので、つみたてNISA制度の恒久化を実現して欲しいです。その際は、譲渡税(現在は20.315%)の増税と組み合わせられるとしても、大多数の国民にはその方が税制として良いので受け入れます。