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可変レバレッジドポートフォリオは暴落時にもパフォーマンスを発揮できたのか

近年、3倍レバレッジ型ETFが異様な人気を獲得していました。また、hiroakitさんが考案された「可変レバレッジドポートフォリオ」が話題になっていたので、耳にした人も多いことと思います。

3倍レバレッジ型ETFの代表格であるSPXLは、株価上昇時のリターンは凄まじいですが、株価下落時の下げっぷりも半端ないです。可変レバレッジドポートフォリオは、このSPXLにTMFとBNDを組み合わせ、四半期または半年に1回リバランスします。

可変レバレッジドポートフォリオは、2月21に始まった暴落でどうなったでしょうか。確認しました。

更新情報

コロナショックによる株価暴落から回復途上の様子を追記しました。

シミュレーション方法

  • SPXL、TMF、BNDの取引価格をドルのまま扱います。
  • 配当金は無視します。
  • 比較期間の最初で一括投資し、後は指定期間ごとにリバランスするだけです。追加投資はしません。
  • 最初の購入とリバランスは端株数でできるものとします。また、リバランスにかかるコストは無視します。(これは結構まずいですがご容赦を。)
  • VOOの取引価格(ドルのまま)と比較します。これも配当金は無視します。

最初に可変レバレッジドポートフォリオのリスク小、中、大と、リバランス期間の組み合わせで結果がどう変わるか見ます。そのあとで、VOOと比較します。

リバランスを3ヶ月毎に行った場合

次はリバランスを3ヶ月毎に行った場合のシミュレーション結果です。2018年年初から2020年3月25日までです。

リバランスを3ヶ月毎に行った場合のシミュレーション結果のグラフ

赤のラインがリスク小、緑のラインがリスク中、青のラインがリスク大です。利益率は順に、-3.3%、-3.8%、-4.5%と理論通りの結果になりました。

リバランスを6ヶ月毎に行った場合

次は同じ期間で、リバランスを6ヶ月毎に行った場合のシミュレーション結果です。

リバランスを6ヶ月毎に行った場合のシミュレーション結果のグラフ

利益率は順に、-3.7%、-4.1%、-4.7%と、リバランス間隔が伸びると株価下落時のパフォーマンスが下がるという、理論通りの結果になりました。

リバランスをしなかった場合

次は同じ期間で、リバランスをしなかった場合のシミュレーション結果です。可変レバレッジドポートフォリオはリバランス必須とあるので、これはダメな(非推奨の)ケースになります。

リバランスをしなかった場合のシミュレーション結果のグラフ

利益率は順に、-6.8%、-7.1%、-7.3%と、リバランスが必要であるという、理論通りの結果になりました。

2018年年初からVOOと比較

ここからはリスク中、3ヶ月毎にリバランスした可変レバレッジドポートフォリオと、VOOのリターンを比較します。次は2018年年初からの比較です。

リスク中、3ヶ月毎にリバランスした可変レバレッジドポートフォリオと、VOOのリターン比較グラフ、2018年年初から

赤のラインが可変レバレッジドポートフォリオ、緑のラインがVOOです。この比較期間の利益率は、VOOが-11.7%なのに対し、可変レバレッジドポートフォリオは-3.8%と優秀です。可変レバレッジドポートフォリオの暴落での下落率は半端ないのですが、それまでの上昇率が素晴らしいので、それが貯金になって含み損が少ないです。

次は可変レバレッジドポートフォリオの最高値からの下落率をプロットしたものです。

可変レバレッジドポートフォリオの最高値からの下落率をプロットしたグラフ

暴落での下落率は33.9%でした。

次はVOOの下落率です。

VOOの最高値からの下落率をプロットしたグラフ

暴落での下落率は29.7%でした。

では、SPXLがどれだけ下落したかというと、とんでもないです。

SPXLの最高値からの下落率をプロットしたグラフ

暴落での下落率は80.0%でした。SPXLに単独で投資していた人はかなり辛い思いをしていることでしょう。それから見ると、可変レバレッジドポートフォリオは期待通りと言ってもいいのではないでしょうか。

2019年年初からVOOと比較

同じ条件で、2019年年初からの比較です。

リスク中、3ヶ月毎にリバランスした可変レバレッジドポートフォリオと、VOOのリターン比較グラフ、2019年年初から

可変レバレッジドポートフォリオの圧勝です。利益率はVOOが-5.0%なのに対し、可変レバレッジドポートフォリオは7.3%とまだプラスです。

まとめ:期待通りだと思います

VOOがあれだけ暴落したのですから、可変レバレッジドポートフォリオだってそれなりに下げるでしょう。でも下落率はそれほど大きくは違わないし、特に2019年年初から始めた人は、その結果に満足しているのではないでしょうか。

むしろ、推奨されたETF比率でリバランスを適切に実施していたか、が問題になるような気がしました。セルリバランスはなかなか実施しにくいでしょうから、追加投資時にリバランスされるようにするのがいいかな、と思いました。僕にはそもそもチャレンジすらできないですけども。

でも暴落は始まったばかりです。これから先どうなるのか、暴落からの回復はVOOと比べてどうなのか、興味津々です。

株価暴落から回復中

コロナショックによる株価暴落から驚異的な回復を見せていますが、その様子を確認しました。次はリバランスを3ヶ月毎に行った場合のシミュレーション結果で、2018年年初から2020年9月30日までです。

リバランスを3ヶ月毎に行った場合のシミュレーション結果のグラフ、9月30日まで

赤のラインがリスク小、緑のラインがリスク中、青のラインがリスク大です。利益率は順に、34.4%、40.0%、45.6%と短期間で驚異的な回復力を見せています。

次はリスク中、3ヶ月毎にリバランスした可変レバレッジドポートフォリオと、VOOのリターン比較です。

リスク中、3ヶ月毎にリバランスした可変レバレッジドポートフォリオと、VOOのリターン比較グラフ

緑のラインがVOOです。きちんとリバランスした可変レバレッジドポートフォリオは期待通りの値動きですね。

参考までに、SPXL(配当金は無視)もプロットしました。

SPXLもプロットしたグラフ

SPXL単体のリスクの高さは半端ないです。

楽天米国レバレッジバランスとの比較

コメント欄で要望を頂きました。次は楽天米国レバレッジバランスとの比較です。楽天米国レバレッジバランスの設定直後を避けた、2019年11月25日からです。

楽天米国レバレッジバランスとの比較グラフ

緑のラインが楽天米国レバレッジバランスです。この比較は、条件が楽天米国レバレッジバランスに有利すぎるので公平とは言えないですね。

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