先進国株式

SBI先進国株式の運用コストと評価

先進国株式インデックスファンドは、つみたてNISA適格のものだけでも17本あります。うち16本はMSCIコクサイをベンチマークにしています。残る1本は、FTSEディベロップド・オールキャップ・インデックスをベンチマークにしているSBI先進国株式です。

MSCIコクサイと大きく違うのは、日本と韓国を含んでいることです。

SBI先進国株式

2018年1月12日に設定されました。当時の名前は「EXE-i つみたて先進国株式」でした。その後「SBI先進国株式」に改名されました。愛称は「雪だるま(先進国株式)」です。

EXE-iつみたて先進国株式の税抜き信託報酬は0.1095%という驚異的な安さでした。2本のETFを組み合わせるだけだから実現できたと思われたこの信託報酬に、スリム先進国株式が対抗値下げしてから、スリム先進国株式は人気を獲得することに成功しました。(スリムシリーズは自発的に信託報酬を引き下げていなかったので、EXE-iつみたて先進国株式の登場は良いきっかけになったはずです。)

その後、ニッセイ外国株式とスリム先進国株式の税抜き信託報酬が0.0999%で並んでいた時に、SBI先進国株式は税抜き信託報酬を0.0965%に引き下げました。もちろんスリム先進国株式は同率に対抗値下げしました。

MSCIコクサイとの違い

次はSBI先進国株式とスリム先進国株式の4月度の月次レポートから作成した、投資対象国上位10ケ国とその投資割合の比較です。

投資対象国上位10ケ国とその投資割合の比較表

次の違いが目立ちます。

  • 米国の投資割合の差が大きいです。
  • SBI先進国株式は日本と韓国にも投資します。

MSCIコクサイよりもこの組成が好きなら、SBI先進国株式一択ですね。

FTSEディベロップド・オールキャップ・インデックス

目論見書にはベンチマークが「FTSEディベロップド・オールキャップ・インデックス」だとあります。それを次の2本のETFを組み合わせることで実現します。設定当初の比率はこうでした。

2本のETFを組み合わせて組成、その比率の表1

2020年2月から次の比率に変更されています。

2本のETFを組み合わせて組成、その比率の表2

引用:目論見書

でも、この2本のETFをある比率で混ぜて、FTSEディベロップド・オールキャップ・インデックスになるのでしょうか。そういうマニアックな話はいいやって方はここまで飛ばして下さい。

国別投資比率比較

国別投資比率を比較するのに、次の資料を参照しました。

  • FTSEディベロップド・オールキャップ・インデックスの国別投資割合はこちらから取得しました。
  • SPDRポートフォリオ・ディベロップド・ワールド(除く米国)ETFの国別投資割合はこちらから取得しました。

投資比率に大きな違いある行は色を変えてあります。

国別投資比率比較の比較表

この違いは許容範囲内なのでしょうか。

上位10銘柄の比較

米国株式への上位10銘柄を比較しました。Indexの列はFTSEディベロップド・オールキャップ・インデックスのものです。

上位10銘柄の比較表

微妙に違います。バークシャー・ハサウェイはIndexの上位10位には出てきませんでした。この違いがどれほど大きいのか、大きくないのか、僕には分かりません。

現物株運用で、ベンチマークに忠実な(コストを考慮して完全法でないにしても)売買をしているファンドマネージャーから見ると「これでいいわけないでしょう」となるかも知れません。最終判断は受益者がすればいいことなのですが、こういう違いがあるとは教えてくれません。

本当にこれでいいの?

SBI先進国株式は、2本のETFをある比率で混ぜることで、FTSEディベロップド・オールキャップ・インデックスに連動するとしているわけですが、僕はこれには無理があると思っています。ベンチマークはもう少し厳格なものではないでしょうか。

ベンチマークがFTSEディベロップド・オールキャップ・インデックスだと主張したい理由は、おそらく、つみたてNISA適格要件を満たすためでしょう。

運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。参考までにスリム先進国株式と比較しています。

 運用報告書から計算したトータルコスト表

ベンチマークが同じなら、ごまかしの効かない基準価額データを比較することで、トータルコストの大小を推測することが可能です。が、SBI先進国株式の場合、比較可能な対象が存在しません。

高コストだった第一期

運用報告書から計算したトータルコストは、第二期に大幅に削減されました。

SBI先進国株式の第1期と第2期のトータルコスト比較表

第一期は隠れコストが異様に高かったです。それが改善されました。

次は隠れコストの明細です。第二期で大きく改善したものを青字にしています。

SBI先進国株式の第1期と第2期の隠れコストの明細表

良くある話ですが、売買委託手数料と保管費用が大きく下がっています。特に保管費用が支配的ですね。

逓減型信託報酬制

SBI先進国株式は2020年2月13日より、スリムシリーズの受益者還元型信託報酬制度に相当する「逓減型信託報酬制」を導入しました。純資産総額が500億円、1,000億円を超えると信託報酬が漸減されますが、その漸減率は小さいです。

次はスリム先進国株式のものです。

スリム先進国株式の受益者還元型信託報酬制度の表

次はSBI先進国株式のものです。ETFの経費率を含んでいません。

SBI先進国株式の逓減型信託報酬制の表

漸減率を比べます。

漸減率を比較した表

スリム先進国株式もそうですが、この漸減率は小さすぎます。無いよりはマシ程度です。この程度の数値は、隠れコストの変動で吹き飛んでしまいます。

また現在、SBI先進国株式の純資産総額は21.85億円しかないので、逓減型信託報酬制が発動するのは(かなり遠い)未来の出来事です。

SBI先進国株式とスリム先進国株式のリターン比較

次はSBI先進国株式の設定日直後を避けた、2018年2月1日から2020年5月29日までの、スリム先進国株式とのリターン比較です。

SBI先進国株式とスリム先進国株式のリターン比較グラフ

2018年7月以降は、スリム先進国株式の方がリターンが高かったです。そもそもベンチマークが違うので、同列の比較はできません。

SBI先進国株式の三重課税問題

SBI先進国株式は、米国籍ETF2本に投資します。それらの40%程度は米国以外です。米国以外の地域の株式に投資することで得られる配当金には、現地と米国で二重に課税されてしまいます。これが三重課税問題の原因になります。

全世界の株式に投資するVTは、米国内が55%程度、米国外が45%程度です。その三重課税コストは0.1%程度だと推測しています。

そのことから、SBI先進国株式にも、無視する気になれないほどの三重課税コストが存在すると思われます。

売れ行きは

次はSBI先進国株式の設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は21.85億円です。

SBI先進国株式の設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

ほぼ一定のペースで増加していますが、先進国株式という人気のジャンルとしては厳しい状況です。

評価:投資対象国が好きかどうかで判断を

次の条件を満たせるなら、SBI先進国株式は選択肢になるでしょう。

  • MSCIコクサイとの投資対象国の違い、米国への投資割合が低いことは気にならない。
  • 目論見書でうたっているベンチマークと、実際の組成が異なるという点は許容できる。
  • 三重課税問題は気にならない。

そうでない場合、選択肢が豊富にあるMSCIコクサイ連動インデックスファンドを検討するのがいいでしょう。

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