バランスファンド

米国分散投資戦略ファンドが見せた暴落からの驚異的な回復力

米国分散投資戦略ファンドは、グローバル3倍3分法ファンドの成功に続こうと組成された(と思われる)、レバレッジ型バランスファンドです。1倍、3倍、5倍コースがあります。

米国分散投資戦略ファンドの仕組み

引用:目論見書

米国分散投資戦略ファンドが売買するのはケイマン籍の「TCW Qアルファ・レバード・US・ディバーシフィケーション・ファンド」で、これに5倍のレバレッジがかかっています。投資対象は次の4資産です。

米国分散投資戦略ファンドの投資対象資産

引用:目論見書

  • 1倍コースは資産の20%でそのケイマン籍のファンドを買います。残りの80%で国内籍投資信託を買いますが、ほぼ現金と思っていいでしょう。20%の5倍で100%だから1倍という言い方をしています。
  • 3倍コースは資産の60%でケイマン籍のファンドを買います。60%の5倍で300%だから3倍という言い方をしています。ここまでの説明でがっかりした人も少なくないでしょうね。
  • 5倍コースは資産のほぼ100%でケイマン籍のファンドを買います。レバレッジ5倍だから5倍コースですね。

この米国分散投資戦略ファンド、株価暴落から驚異的な回復力を発揮しています。でも僕の評価は良くありません。正直、悪いです。

ボッタクリ感が強い信託報酬

信託報酬は税込み1.1825%とアクティブファンド並の高さです。主にケイマン籍のファンドを売買するだけでこんなに高い信託報酬を取るなんて、ボッタクリ感が強いと思うのは僕だけではないでしょう。

さらにケイマン籍のファンドの経費率(のようなもの)が年率0.7%もかかります。よって、実質的な税込み信託報酬はこうなります。

  • 1倍コース:1.3225%
  • 3倍コース:1.6025%
  • 5倍コース:1.8825%

楽天全米株式がVTIを売買するのに、信託報酬税込み0.132%+VTIの経費率0.03%で実質的な税込み信託報酬が0.162%なのとは、文字通り桁が違います。

また、税込み3.3%の購入手時数料を販社が設定可能になっています。証券会社を選ばなければしれっと請求されるということです。

最悪なのは、米国分散投資戦略ファンドも信託期間が10年しかない点です。償還日は2029年11月12日です。米国分散投資戦略ファンドに手を出す人はこのことを忘れてはいけません。

1倍、3倍、5倍コースの値動き

次は米国分散投資戦略ファンドの、設定日直後を避けた2019年12月2日から2020年4月24日までのリターン比較です。

米国分散投資戦略ファンドの1倍、3倍、5倍の値動きのグラフ

5倍コースが基本で、3倍コースと1倍コースは値動きの少ない資産(ほぼ現金)を40%、80%混ぜただけです。これは、楽天バランス3姉妹の値動きの違いのようなものです。

楽天バランス3姉妹のリターン比較グラフ、2020年年初から

話がそれましたが、米国分散投資戦略ファンドは株価暴落から信じられない回復力を見せています。

1倍コースと楽天バランス(債券重視型)のリターン比較

次は米国分散投資戦略ファンド(1倍コース)と楽天バランス(債券重視型)のリターン比較です。

米国分散投資戦略ファンド(1倍コース)と楽天バランス(債券重視型)のリターン比較グラフ

赤のラインが米国分散投資戦略ファンド(1倍コース)、緑のラインが楽天バランス(債券重視型)です。株価暴落開始前は互角でしたが、米国分散投資戦略ファンドは株価暴落の影響をあまり受けていません。どうしてこんなことができたのでしょうか。

3倍コースとスリム先進国株式のリターン比較

次は米国分散投資戦略ファンド(3倍コース)とスリム先進国株式のリターン比較です。

米国分散投資戦略ファンド(3倍コース)とスリム先進国株式のリターン比較グラフ

暴落をものともしないこの値動き、あり得ないですよね。

5倍コースとスリム米国株式(S&P500)のリターン比較

次は米国分散投資戦略ファンド(5倍コース)とスリム米国株式(S&P500)のリターン比較です。

米国分散投資戦略ファンド(5倍コース)とスリム米国株式(S&P500)のリターン比較グラフ

いやいや、これはおかしいでしょ。そんなうまい話はそうそうないはずです。

AIが判断するアクティブファンド

株価暴落をどう切り抜けたのか、こちらの資料でネタばらしされています。次はその資料からの引用です。

基本ポートフォリオ(1倍コース)のリスク資産の推移

「基本ポートフォリオ(1倍コース)」は、「レバレッジ5倍のケイマン籍のファンドの米国債券以外」と読み替えて下さい。

株価暴落開始後、株式とリートを大量に売却し、金を大幅に買い増ししています。このポートフォリオ変更をAIの判断で行ったとありますが、これはファンドマネージャーがAIに変わっただけで、アクティブファンドに他なりません。そのAIがどれだけ優秀で、また強運を備えているかは分かりませんが、市場に勝ち続けられるとは思えません。(そう思えるなら、米国分散投資戦略ファンドは買いです。)

今回の株価暴落に対して、これまでのところは非常にうまくポートフォリオを変更できています。いずれ、株式やリートの割合を増やす時がくるでしょう。その時に、AIは高報酬のファンドマネージャーより適切な判断ができるでしょうか。また、運(ツキ)に恵まれるでしょうか。怪しいですね。もし怪しくないなら、アクティブファンドのファンドマネージャーは全員直ちに転職活動を始めるべきですね。じきにAIに仕事を奪われること確実です。

売れ行きは

次は米国分散投資戦略ファンドの、設定来の総口数の推移です。

米国分散投資戦略ファンドの、設定来の総口数の推移グラフ

5倍、3倍、1倍の順で売れています。純資産総額は順に、121億円、37億円、3.45億円です。やはり1倍は売れていません。5倍、3倍の純資産総額はいいとして、ラインの形状は頭打ちの傾向を示しており、今後厳しくなるかも知れません。

現在のパフォーマンスは、株価暴落のさなかにあって驚異的なので、かつてのグローバル3倍3分法ファンドのように人気を獲得できてもよさそうなものですが、どうして頭打ちになっているのかは分かりません。単に株価暴落で顧客の心理が冷えているだけからかも知れません。

まとめ:おすすめしません

アクティブファンド好きな方にはいいかも知れませんが、僕はおすすめしません。リスクを負う代わりに高いリターンを期待するとしても、他の選択肢の方が良いと思います。

でも米国分散投資戦略ファンドの今後(値動き、売れ行き)がどうなるか、とても楽しみです。

おすすめの関連記事

-バランスファンド

© 2020 個人事業主が節税してインデックス投資 Powered by STINGER