読者の方から質問を頂きました。暴落するとSPXLはどうなりますか?というものです。SPXLはS&P500種指数の日々の値動きの3倍を目指すので、暴落すると悲惨なことになります。どれぐらい悲惨か、調べてみました。
SPXL
Direxion社の3倍ブル型ETFです。S&P500種指数に連動し、S&P500種指数が1%上がるとSPXLは3%上がる、に近い値動きをします。下がる時もほぼ3倍下がります。また、取引価格が上下動を繰り返す、いわゆるボックス相場の時には原理的に(数学的に)SPXLは下落します。
値動きの仕組み、特性については、2倍ブル型の投資信託であるiFreeレバレッジS&P500の目論見書に、とても丁寧な説明があります。
SPXLは米国株式を嗜好する人達には良く知られた存在です。その人気の高さに刺激されて、iFreeレバレッジS&P500が組成されたのではないかと思っていますが、iFreeレバレッジS&P500は不人気です。
対象的に、レバレッジを利用したバランスファンドが多数組成されており、グローバル3倍3分法ファンドは異常な人気を獲得しています。
S&P500とSPXLの取引価格の比較
次はS&P500種指数の投資するVOOとSPXLの、2011年からの取引価格の推移です。円換算しています。
赤のラインがVOO、緑のラインがSPXLです。マジですか?ってくらいの違いがあります。過去10年、S&P500種指数は絶好調で、時々調整はあったものの大きく成長できました。SPXLは大きく下落することもありましたが、下落より上昇した時期が長かったため、3倍ブル型の特性による恩恵を受けて、こういう値動きになったのです。
次は2017年からの比較です。2018年10月に始まった世界同時株安を黄色に塗っています。
赤の矢印の位置が2018年12月のクリスマスです。SPXLの下落幅の大きさが半端ないです。この値動きの激しさに耐えられない人はそもそも、SPXLに手を出すべきではありません。
VOOの値動きを3倍にしたものとSPXLの比較
次はVOOの日々の値動きを3倍にしたものと、SPXLの比較です。
赤のラインがSPXLです。同じにならない理由はいくつかあると思います。ここでは似たような値動きになるとしておきます。でないと話が続きません。
暴落パターン1
2019年年初に暴落が始まるパターンその1です。
下落率20%程度です。次の暴落はこの程度では済まないと、僕は思っています。
値動き3倍もプロットしました。
これぐらいなら、世界同時株安の時と大差ないので我慢できるでしょうか。
暴落パターン2
2019年年初に暴落が始まるパターンその2です。
下落率30%程度です。これぐらい十分ありえるでしょう。
値動き3倍もプロットしました。
緑のライン、暴落後の回復が遅いです。忍耐力が試されます。
暴落パターン3
2019年年初に暴落が始まるパターンその3です。
下落率37%程度です。あるかも知れませんね。
値動き3倍もプロットしました。
SPXLに投資したまま暴落をやり過ごすのは、暴落の規模によっては相当つらいと思います。
まとめ:SPXLは暴落したらとんでもない下がり方をします
SPXLが設定されたのは2008年11月で、リーマンショックによる暴落の後です。よって設定後に大きな暴落は経験していません。
そもそもS&P500種指数は暴落で大きく下がるのが必然なところ、それの3倍ブル型ですからとんでもない下がり方をします。そして、その数学的な特性上、回復するまでに長くかかる可能性があります。
現在SPXLを保有しており、不思議な株高で含み益が大きくなっている場合、大別して選択肢が2つあります。
- あまり欲を出さずにここらへんで売却し、利益確定する。暴落してから再度投資する。
- SPXLであってもガチホし、暴落をやり過ごす。暴落したら追加投資だ。
僕は少額なら暴落後に買ってもいいかと思いますが(筋金入りの海外ETF嫌いとは思えない発言)、暴落後にSPXLを買おうと思っている人はたくさんいるはずなので、流動性の問題により、買えないかも知れません。
いや、多分、そんなリスクの高い取引はしないで、全力でスリム先進国株式を買うでしょうね。