バランスファンドは人気のジャンルであると当時に、組成の自由度が高いことから粗製乱造される傾向にあります。実際、つみたてNISA適格商品だけで77本もあります。これは全体の43.5%に相当します。
バランスファンドは商品によって組成内容がバラバラなので、自分にぴったりのものを選ぶのはむちゃくちゃ難しいです。株式100%だと値動きが激しすぎるから、債券を含んだ値動きがマイルドなものが良い、と漠然と思っていても、最適解は人それぞれです。この記事がその最適解を探す手助けになれば幸いです。
更新情報
リスクコントロール型バランスファンドを追加しました。
複合型
n資産バランスファンドと呼びにくいものを「複合型」としました。
セゾングローバルバランス
誰もが認めるキング・オブ・バランスファンドです。今ではすっかりハイコスト商品になってしまいましたが、圧倒的で安定した人気を誇ります。パフォーマンスは極めて「標準的」です。
僕はローコストインデックスファンドを応援したいこともあって、セゾングローバルバランスはおすすめしません。もっとローコストな商品で自分の好みにあった組成内容であり、かつ、純資産総額が100億円以上あるものから選ぶのがいいです。
楽天バランス
均等型、債券重視型、株式重視型の3タイプがあります。均等型はセゾングローバルバランスキラーになれると思ったのですが、甘かったです。
現在はあまりに不人気なので、積極的におすすめできません。楽天投信投資顧問には隠れコストの低減と、販売力強化に本気を出して欲しいです。
8資産均等型
n資産均等型の代表格です。
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)
8資産均等型ならeMAXIS Slimバランス一択でいいです。
eMAXISバランス(8資産均等型)
8資産均等型バランスファンドを買うなら、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)一択です。eMAXISバランス(8資産均等型)は過去の商品であり、新規投資する価値はありません。
つみたて8資産均等バランス
このブログの読者のみなさんはネット証券を利用しているでしょうから、そもそもつみたてんとうシリーズの対象顧客ではありません。でも世の中にはネット証券より金融機関の窓口を好む人も一定数いるのでしょう。そういう人にとっては、つみたて8資産均等バランスは良い選択肢になるでしょう。
iFree8資産バランス
8資産均等型バランスファンドに投資する場合、新興国株式の指数にこだわりがあってiFree8資産バランスを嗜好する場合を除いて、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)を選択した方がいいです。
たわらバランス(8資産均等型)
たわらバランス(8資産均等型)の組成が好きで、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)では満足できない、という場合を除いて、8資産均等型に投資するならeMAXIS Slimバランス(8資産均等型)一択でいいでしょう。
ニッセイバランス(8資産均等型)
絶望的に売れていないため、おすすめしません。
SMT8資産インデックスバランス
8資産均等型バランスファンドの税抜き信託報酬は0.22%が当たり前になった2017年に、2011年に設定されたeMAXISバランス(8資産均等型)と同率の0.50%で設定、しかもノーロードでないというやる気のなさは、嫌われて当然です。買う価値ありません。
6資産均等型
意外な気がしますが、6資産均等型はマイナーな組成です。三菱UFJ国際投信は6資産均等型を組成していません。
野村6資産均等バランス
6資産均等型なら野村6資産均等バランス一択です。
ニッセイバランス(6資産均等型)
ニッセイバランス(6資産均等型)は絶望的に不人気なのでおすすめしません。積立でしか買えませんが、野村6資産均等バランスの方がいいです。
世界6資産分散ファンド
紛らわしいですが、6資産均等型とは異なる6資産に均等に投資します。
高コストかつ不人気なのでおすすめしません。
4資産均等型
4資産均等型は不人気です。人気が出る組成にはそれなりの理由があるので、他の選択肢を検討した方がいいと思います。
ニッセイバランス(4資産均等型)
ニッセイバランス(4資産均等型)はトータルコストが最安です。4資産均等型に投資するなら、ニッセイバランス(4資産均等型)一択になります。
つみたて4資産均等バランス
4資産均等型に投資したいなら、つみたて4資産均等バランスよりニッセイバランス(4資産均等型)の方がいいです。
JP4資産均等バランス
4資産均等型に投資するとしても、JP4資産均等バランスは絶対に買ってはいけません。
eMAXISバランス(4資産均等型)
4資産均等型に投資するとしても、eMAXISバランス(4資産均等型)は高コストです。ニッセイバランス(4資産均等型)か、つみたて4資産均等バランスの方がいいです。
4資産バランスファンド
4資産に投資する、均等型ではない組成です。
三井住友DC年金バランス
そこそこ売れているのですが、資金流入が頭打ちになりそうなのが心配です。
DCニッセイワールドセレクト
伝統的な4資産に投資するバランスファンドが好みなら、DCニッセイワールドセレクトは良い選択肢になるはずです。
ダイワ・ライフ・バランス
伝統的な4資産に投資するバランスファンドが好みなら、ダイワ・ライフ・バランスは良い選択肢になり得ます。組成が似ているDCニッセイワールドセレクトとどちらが良いかは人によって分かれそうです。
iFree年金バランス
リスクが低めのバランスファンドを考えているなら、iFree年金バランスよりニッセイバランス(4資産均等型)をおすすめします。
5資産バランスファンド
これもマイナーな組成です。
Funds-i 海外5資産バランス
Funds-i 海外5資産バランスの組成が好きであっても、その高いコストを負担する価値はないと思います。
ニッセイ・インデックス(内外・株式/リート)
運用コストが高く、絶望的に売れていないので買ってはいけません。
6資産バランスファンド
組成内容は商品によってバラバラです。
世界経済インデックス
たとえ世界経済インデックスの組成内容が好みであっても、他のもっとローコストなバランスファンドを考えた方がいいと思います。それでも世界経済インデックスがいいと思うなら、それがあなたにとっての最良の選択肢です。
SBI資産設計オープン(資産成長型)
新興国に投資しないこの6資産が好きという場合であっても、もっとローコストな選択肢の方がいいです。コストは確実にリターンを蝕むからです。
ブラックロックつみたてグローバルバランス
ブラックロックつみたてグローバルバランスは運用コストが高く、組成内容から考えてそれだけのコストを負担する価値はありません。
SMT世界経済インデックスオープン
これを買うということは、コスト意識が低いとナメられているのと同じです。似たような組成でもっとローコストかつ資金流入が期待できる商品を探した方がいいでしょう。
SBI資産設計オープン(つみたてNISA対応型)
新興国に投資しないこの6資産が好きという場合であっても、もっとローコストな選択肢の方がいいです。コストは確実にリターンを蝕むからです。
7資産バランスファンド
マイナーな組成です。
Funds-i 内外7資産バランス
バランスファンドで債券に為替ヘッジをかけているものは散見されますが、株式、リートにまでかけているのは珍しいです。対象資産への投資割合も含めてこの組成が好きなら、高コストですが選択していいと思います。
三井住友DCつみたてNISA世界分散
投資対象は、8資産均等型から新興国債券を外し、代わりに為替ヘッジありの先進国債券を追加したのと同じです。
この組成が好きだとしても、絶望的に売れていないのでおすすめしません。
ニッセイ・インデックス(内外・株式/リート/債券)
絶望的に売れていないため、買ってはいけません。
8資産バランスファンド
均等型でない8資産バランスファンドは不人気です。
つみたてバランスファンド
バランスファンドは組成内容を第一に検討・評価すべきです。この組成が好きなら良い選択肢になりますが、人気がそれほど高くないので、これから10年、20年という長期で考えた時に生き残るのは難しいでしょう。そのためメインの投資先にはしない方がいいと思います。
eMAXISバランス(波乗り型)
eMAXISバランス(波乗り型)が採用したトレンドフォロー戦略は失敗でした。
Smart-i 8資産バランス
隠れコストは少し高めですが、Smart-i 8資産バランスのこの組成が好みにぴったり、というのがあれば、選択していいと思います。が、売れていないので将来が心配です。
SBIグローバルバランス
トータルコストが1%を超えているだけで、買う価値ありません。
たわらバランス(積極型、標準型、堅実型)
8資産への投資割合のバランスが悪いこと、売れてない(不人気である)ことから、おすすめしません。
その他のバランスファンド
auスマートベーシック/auスマートプライム
auスマートベーシックの代わりになる、もっとローコストな選択肢があります。auスマートプライムは高コスト過ぎます。どちらも買う価値ありません。
ブラックロックインデックス投資戦略ファンド
アクティブバランスファンドです。つみたてNISA適格ですが、トータルコストが1%を超えている時代遅れな商品です。もっと良い選択肢がたくさんあります。
農中<パートナーズ>日米6資産分散
農中<パートナーズ>日米6資産分散には資産形成と安定運用の2タイプがあります。投資対象と為替ヘッジが一般的なバランスファンドと違っています。どちらも高コストで農林中央金庫専売商品なので、おすすめできません。
リスクコントロール型バランスファンド
リスクコントロール型バランスファンドはどれも、コロナショックによる株価暴落からの回復ができないでいます。
東京海上円資産インデックスバランス
リスクコントロール型は、配分変更が裏目に出た時のダメージが大きいです。リスクを抑えたいのであれば、自分のリスク許容度にあった、債券比率が高いバランスファンドを選択した方が良いと思います。
リスクコントロール世界資産分散ファンド
いろんな理由からおすすめできないです。
ワールドアセットバランス
資産はあっても投資信託に関する知識がないと、コスト意識が足りないと、こういうボッタクリ感の強い商品を買わされてしまうのでしょうか。
のむラップ・ファンド(積極型)
つみたてNISA適格商品であっても、これはボッタクリでしょって言いたくなる商品があります。こういうものを避けられるだけの知識を身につけたいものです。
純資産総額一覧
この記事に登場したバランスファンドを、純資産総額順に並べました。データ取得日は2020年11月27日です。長いので2分割しています。
次は横軸を順位、縦軸を純資産総額にしたグラフです。売れ行きに大きな偏りがあるのが良く分かります。
結論:eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)ではダメですか?
セゾングローバルバランスの人気には全く歯が立ちませんが、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)はローコストバランスファンドの中で生き残る可能性が高いと言えます。長期投資を考えると、その商品が生き残れるかどうかは重要な要素です。
売れる商品と売れない商品の差は拡大する傾向にあり、売れないと繰上償還のリスクが高まります。つみたてNISA適格商品であっても、繰上償還されない保証はありません。
8資産均等型でいいなら、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)一択です。他の組成を嗜好するなら、まず好きな組成の商品を探し、そのトータルコストが許せるかどうかを見ましょう。そして、できれば純資産総額が100億円以上あって、現在も資金流入が続いている商品だと安心です。